「後味の悪い、でんでんと黒沢あすかの映画」冷たい熱帯魚 きのこの日さんの映画レビュー(感想・評価)
後味の悪い、でんでんと黒沢あすかの映画
冷たい熱帯魚というか悲しい熱帯魚。
わたし、基本的にハッピーエンドの映画が好きなのです。
どんなに途中悲しいことがあっても、最後せめてわずかに救われるような。
嘘くさくてもうまくいきすぎでもハッピーエンドが好きなんです。
現実世界も悲しいことばかり、うまくいかない事ばかりなのに映画の中でくらい幸せに居させて欲しい。
なのでハッピーエンドが好きです。
こんなにも救いようのない映画を見たのは久々でした。
後味の悪さ500%
映画って、ラストシーンが大切だと思うんです。
フルコースのおデザートみたいに。
でもちょっとこのラストシーンはあまりにもあまりで。。
というか今回「鬼才」という意味について非常に考えさせられました。
人間のおかしな部分とかバイオレンスな部分、狂気を描けば鬼才なのだろうか。
今回、素敵な人が一人も出てこなかった。。
わたしが平凡すぎるだけなのかもしれないけれど狂気がすごすぎて正直分からなかった。
むしろ平凡な主人公がラストで豹変してしまうところで誰しもがそういった狂気をうちに秘めているということをテーマにしているのか。うむ。。
とりあえず、どんな映画レビューにもあるように、でんでんの演技が秀逸。
映画の内容は本当にショッキングというか2時間半、人が殺されてるか血まみれになってるかそんなシーンばかりですが、この方の演技をみるというだけでも意味があるほど素晴らしい。
村田という狂気に包まれた存在をあくまでも「自然」に表現している。
俳優陣は本当に素晴らしいです。個人的には黒沢あすかもすごくよかった!そこらへんに本当にいそうな、なんつーか愛人っぽい色気がいいんだな~。本当に失礼な言い方ですが美人過ぎない感じがいい。芸能人というより本当に近所の奥さんとして存在したらエロいなぁって感じの人。
でんでんと黒沢あすかが死体をバラバラにするシーンとかまじでホントの犯罪現場を見ているような恐ろしさ。そしてそれを悪と思っていないであろうあっけらかんとした空気。こわい。。
ということで俳優陣の演技はそらもう素晴らしい。そして個人的にこの監督作品のカメラワークが好きです。テンポもいいし。
ただ、ラスト20分くらいかな、どーしても、どーしても、ううううううんんん。。。。
と思っていろいろ調べてたら監督のこんなインタビュー見つけたが『もし再編集することが可能なら、でんでん演じる男が吹越満演じる男に刺殺され、黒沢あすかが笑っているくだりでエンドロール、という形にしたい』と言っていたらしい情報をみつけた。
でそのくだりで終わるところを想像してみた。
最高!確かにそこで終わって欲しかった。それがよかった~。
ほんと映画監督って大変ですね。
最終的に、正直どの人も魅力的に見えなかった。唯一素敵だったのは、渡辺哲演じる筒井高康という弁護士の付き人の男の子。唯一すてきだったよ。
でもその男の子もあっけらかんと、ほんとうにあっけらかんと殺されてしまう。
でもあの男の子いなかったら多分わたしこの映画好きになれなかった。
何の希望もない。
何の光もない。人生はいたい。
死にたいわけじゃない。生きたい。
だけど何の希望もない。
そんな映画。