劇場公開日 2011年1月29日

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「実際の事件をモデルにした狂気の物語」冷たい熱帯魚 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5実際の事件をモデルにした狂気の物語

2020年6月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

実際に埼玉県で発生した「埼玉愛犬家殺人事件」をモデルとした映画だという程度の事前知識で鑑賞。多くの映画ファンから高い評価を受ける作品ということで期待は高かったものの、エロありグロありのR18作品ということで、グロの苦手な私はちょっぴり緊張しながらの鑑賞です。

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小さな熱帯魚店を営む冴えない男性である主人公の社本。妻とは死別して新しく別の女性と結婚するも、前妻の娘である美津子は新しい母親を快く思わず、また後妻の妙子は美津子に対して後ろめたさを感じており、家庭環境は冷え切っていた。
ある日美津子がスーパーで万引きを行い、社本夫婦は謝罪に訪れる。激しく憤るスーパーの店長をたまたまスーパーに来店していた村田という男が店長を宥め、事なきを得る。
偶然にも村田も熱帯魚店を経営する男だったため社本と意気投合。お互いの店を見せ合ったり美津子が村田の熱帯魚店でバイトを始めたりして親交を深めているうちに、社本は村田からビジネスの誘いを受けるのだが、ここから事態は急速に動き始めるのであった。
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大規模な熱帯魚店「アマゾンゴールド」を経営する村田は人当たりが良くて社交的な中年男性という感じ。しかし、若くてセクシーな奥さんを連れて高級外車を乗り回したり、自分の店の従業員に「フーターズ」のような露出の高い服を着せて接客させたりするあたりに、彼の裏の顔がチラリと垣間見えます。

社本が同席する場所で平然と行われる殺人と死体処理。突然の出来事にパニック状態で言葉も発せない社本とは対象的に、談笑しながら死体の解体を行う村田夫婦。社本と村田が対比的に描かれることによって、村田の猟奇性が際立って感じられる見事な描写です。

私個人はグロテスクな描写が苦手なのですが、死体解体のシーンはあまりにもグロテスクすぎて一周回って作り物感が強かったせいで、逆に大丈夫でした。でも、グロ苦手な方は注意です。

終盤に向けて、社本の心理描写が丁寧に描かれてます。彼がどんどん精神的にも疲弊している様子だったり冴えない父親だったのに亭主関白のような言動をするようになるなど、切羽詰った状態にある彼のギリギリの精神状態が感じられる、恐怖すら覚える描写でした。

ラストシーンはイマイチよく分からなかったですね・・・すんません。

出演する俳優陣も素晴らしかったですね。
主人公の社本役の吹越満さんも素晴らしかったが、やはり一際異彩を放っていたのが猟奇殺人犯である村田を演じたでんでんさん。いつも笑っているお調子者のオッサンから殺気を放つ猟奇殺人犯までを演じる幅の広さと切り替えの早さ。画面越しにも伝わる恐怖感がありました。日本アカデミー賞の助演男優賞を受賞されたのも納得です。

といぼ:レビューが長い人