「狂気に笑いが加わると、常識を超越する破壊力を持つ。それが赤塚マンガなのだ!」これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
狂気に笑いが加わると、常識を超越する破壊力を持つ。それが赤塚マンガなのだ!
実際は、原作者の武居氏は男性であるが、今作では、キュートな堀北真希に性転換されており、女性の視点から、ギャグ漫画の製作工程やバカ道に没頭する赤塚の魂を見つめるスタンスになっているのは、赤塚ファンには興味深い構造だった。
編集者サイドでありながら、同性故かアシスタントとして出逢い、結婚した登茂子夫人にも近い。
その特異な立ち位地が、溺愛していた母親との確執や家庭に省みない赤塚への寂しさetc.不条理喜劇から覗かせる複雑な女心を浮かび上がらせていく。
『ゲゲゲの女房』とは、また違う哀愁が面白可笑しく盛り込まれていて、見終わった後、赤塚がギャグ以上に愛を欲していたクリエーターなのやなと胸を熱くさせた。
ストイックに漫画読者争奪戦の渦へ飛び込み、作風をめぐり打ち切りをタテにする出版社と衝突を繰り返していくウチに、とうとう自我が崩壊。
家族、学生、出版社を巻き添えに、支離滅裂なバトルロイヤルが大爆発していく展開は、斬新なるアイデアを量産しなければならない苦しみを背に全力疾走する己の運命に対しての赤塚の叫びそのものだったのかもしれない。
“バカバカしいことを一生懸命やる”
そんな人生に憧れながら、最後に短歌を一首
『ギャグに燃え 打ち切りなんか コンニャロメ〜! バカに殉ぜよ これでいいのだ!!』
by全竜
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