劇場公開日 2010年10月23日

  • 予告編を見る

「観客が、このボケェェェェ~と突っ込みを入れたくなるほどのもどかしい演出でした。」脇役物語 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0観客が、このボケェェェェ~と突っ込みを入れたくなるほどのもどかしい演出でした。

2010年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 短編から商業映画に初挑戦の緒方篤監督ですが、またまだ実力に思えました。脇役俳優が主役を掴むまでのユーモアを交えて描くサクセスストーリーです。この手の作品としてどうしても比べたくなるのは、『蒲田行進曲』。あのパワー感、命落としてでも、役を掴む執念に、観客を惹き付けるパワーがありましたが、本作には全く感じられません。
 せっかくの主役のチャンスをもらったものの、素直に受けるとドラマにならないので、何とか小ネタを挟んで97分間を繋いでいったような感じなのです。

 ドタバタにならないテンションを押さえた自然な笑いを取りに行った演出を指示されたと試写会ゲストの出演者は口々に語っていましたが、どうにも間が抜けた感じで、苦笑せざるを得ませんでした。
 だいたいどこに行っても絶えず人違いされるという強引な主人公の設定。そして3日間連続で、誘拐犯や万引きなどの犯人に間違えられて、同じ警官に続けて逮捕されるというところも馬鹿げています。それをわざと仕掛けているのは、海外経験が長く、作中でもウディ・アレンをリスペクトして設定に組み込む監督だけに、何処かフランス映画のワンシーンを切り取ったようなシュールな可笑しさを狙っているようなのです。けれども日本向けにカスタマイズされていないので、まるで突っ込みのないボケ漫才をずっと見せられているかのような緩慢さなのです。もう観客が、このボケェェェェ~と突っ込みを入れたくなるほどのもどかしい演出でした。
 そんなものですから、同じ役者仲間のアヤに接近しようと四苦八苦するところも、わざとダロダメさを見せつけるのです。結局なんだかはっきりせず、ラストになって念願の映画主演を実現し、アヤとの恋もいきなり進展してハッピーエンドという感じです。

 ホンダが企業協賛し、出演しているメンバー主演クラスの大物(主演:益岡徹、共演 永作博美、津川雅彦、松坂慶子、柄本明、前田愛、イーデス・ハンソン、佐藤蛾次郎ほか)がずらりと並ぶ贅沢なキャストなのに、本当にもったいない限りです。
 特に20歳も年下のとの恋に落ちる松阪慶子の役どころも、なくてもいいぐらいの付け足しになっていまいました。
 せっかくなんだから、マキノ雅彦監督に任せた方が、もっと面白い作品となったのではないでしょうか。

 まぁ、試写会では舞台挨拶の前にトイレに飛び込んだところ、津川雅彦と佐藤蛾次郎と並んで3人だけでションベンできました。マキノ監督のファンなので、隣にいた監督へ一声かけたかったですね。蛾次郎さんとは、銀座でご自身が経営していらっしゃるお店で、以前長時間にわたり、映画談義を交わし、カラオケを共に歌ったことがあります。すれ違っても蛾次郎さんは覚えてくれていませんでした。
 余談ですが蛾次郎さんの店に、コミュのみんなで押しかけると面白いと思います。カラオケ月で4000円ぽっきりでしたしね。
 そしててトイレを出たら、松坂慶子とすれ違いました。みなさんオフの時は、オーラが出ていなく、なかなかひと目ではそのひとと気がつきにくいものですね。益岡徹がすぐそばにいたはずなんですが、全然気がつきませんでした。

 ということで、この程度のレビューでご勘弁ください_(._.)_

流山の小地蔵