「チェンジ!ザボーガー!GO!」電人ザボーガー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
チェンジ!ザボーガー!GO!
オリジナルは1974年〜1975年に放送されたTV特撮ヒーロー。正直、知らなかった。
基本となるストーリーは単純。悪の組織“Σ(シグマ)”に父を殺された“秘密警察”所属の大門豊が、父の遺した変形型バイクロボット“ザボーガー”を駆使して戦う。
全編、チープさ全開で堪らない!(笑)
一応、リメイクなのだが、ただのリメイクではなく一捻り加えている所が面白い。
2部構成で、第1部は“青年期”。父の復讐を誓った大門の戦いの始まりからある悲劇の末路まで。第2部は“中年期”。25年後。秘密警察を辞め冴えない中年男となっていた大門が再びΣと対し、立ち上がるまで。
当然、オリジナルでは中年期など描かれない。中年期=ヒーローのその後を描いた事で非常にユニークな構成になった。
先に軽く述べた通り、チープさ全開、つまりナンセンスな笑い満載なのだ。(パロディと言ってもイイくらい)
一応話は真面目に展開。大門の正義の心の葛藤を軸に、悪徳政治家の汚職、大門と悪の組織の女幹部との恋、意外な家族の関係、大門とザボーガーの絆…。
だけど、真面目にやればやるほど滑稽に見えておかしくなってくる。
そして、このチープ感。
ザボーガーや敵キャラクターのデザインが超レトロ(笑)
役者たちの真面目なオーバー演技。青年期の大門は正義感強く暑苦しく、板尾創路演じる中年期は哀愁たっぷり。悪の組織のボスに柄本明、大門の父に竹中直人と無駄に豪華。
演出も音楽も往年の特撮ヒーロー番組を完璧に再現。シャキーン!…なんて効果音、今じゃ何処も使わないでしょ(笑)
CGも多用しているが、CG感丸出しなのが最高。
監督はカルトな作品で知られる井口昇。ツボを抑えた作りを心得ている。
オマージュ愛に満ち溢れ、現代風にシリアスにアレンジされるより、こういう風にユニークにリメイクされた方が作品冥利に尽きるというもの。
この真面目な馬鹿馬鹿しさ万歳!
チェンジ!ザボーガー!GO!