「シネコンの箱庭世界だと楽しさは半減。いわんや家庭での視聴では…。」TSUNAMI ツナミ 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
シネコンの箱庭世界だと楽しさは半減。いわんや家庭での視聴では…。
無理矢理な吹替版での上映を敢行する様なので、都内2館のみの字幕版上映を事前に確認。コリアンタウン間近の新宿ミラノの大スクリーンでならば楽しめるかも?と思い歌舞伎町まで。
いやこれはシネコンの箱庭世界だと楽しさが半減するでしょうね。いわんや家庭での視聴では…。
なかなか“それ”はやって来ず。その場面に至るまでは、数多く貼られた愛と家族の物語を散々見せられる。
普通ならばうんざりする位な量の人間関係なのですが、個人的にはもの凄く整理されていたので、全然退屈はしませんでしたね。尤も観ていて、「これだけ色々とエピソードを広げてしまうと。殆どの人が退屈してしまうかも…」と、思いながら観てもいましたが…。
主な愛のドラマとしては3組。幼なじみらしきカップルの恋愛事情に、元夫婦による現在の間柄。それと救助隊に勤務する男と女子大生との出逢いと恋愛関係。
元夫婦以外はオープニングにて、過去に有った事故で大事な人を救助出来なかった悲しい事実から、お互いの感情が少しずつもつれている様子が窺える。
もう1人過去の事故を経験している男がおり、映画の中では恋愛関係には至らないが、幼い弟を抱え母親からは絶えず心配されている。父親的な働きをする場面も在れば、この母親の子を想う愛のドラマが終盤に生きて来る。
この対象として子供を巡る話として全面に出るのが、先程の元夫婦の関係。2人の間には可愛い娘がおり、この女の子を救うドラマが1つの見所にもなっている。
一見して重苦しいエピソードが進んで行きながらも、救助隊員と女子大生の恋愛場面では、何度も吹き出してしまう様な笑いの場面も散りばめられている。そんな笑いの要素が一番目立ったのが、いよいよ“あれ”がやって来た後の大陸橋でのスペクタクルシーン。
スペクタクルとは言いつつも、実際は低予算での製作だったらしく。製作費をカバーする為のアイデア勝負の場面は楽しかったですね。
あれ程物凄い津波がやって来て。「どう見たってお前達全滅して当たり前なのに、何で生き残れるんだよ〜!!」と、ついつい思ってしまう事間違い無し(笑)まあその辺りは、映画だから…って事で納得するしか無いですね。
それよりも、男がまだ明るい内に呼び出されたのに、次のカットでは夜になっていたり。女子大生に付き纏う男は何でも無かったり。元夫婦の女の方と行動していた男は、結局誰だったんだ…等々。幾つかの理由不明の場面の方が問題有りでしょうかね。
人に対して「助けたい!」と、頑張る人の方が実は…。
死にたく無いと、必死に逃げるだけの人の方が実は結果的には沢山の人を救っていたとゆう皮肉。
ス○ーフや時計。ライターの火に靴。それに“午後○時”等。数々の伏線も巧みに貼られていたと思います。
(2010年9月28日ミラノ座)