「髪型のカルテ。」神様のカルテ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
髪型のカルテ。
冒頭から作品の深みをぶち壊すようで申し訳ないが^^;
あの桜井君のパーマは、なんとかならなかったのか??(汗)
予告からかなりの違和感(あれじゃどう見てもオバサンパーマ)
幾ら朴訥な青年医師とはいえ、ないですよねぇ、あの頭は^^;
さて、原作未読且つ、友人待ちで、やっと鑑賞できた一本。
待った甲斐あったかというと、確かにほわっとしたいい話で、
これといって大事件が起こるわけでなく、地方医療の在り方を
声高に問うような押しつけ感もない。地方病院の医師が日々を
淡々と迎えながら、医療と向き合い、患者と向き合う話である。
ヒーロー感もなければ、うわ♪カッコいい(あの髪型ですからね)
なんて間違っても、ない^^;…ジャニーズですけどねぇ。
原作がどうなのかはまだ未読なので分からないが(読んでみよう)
本屋大賞にノミネートされたくらいだから、かなり興味がある。
夏目漱石をモチーフに、やたら古臭い言い回しをする主人公と
一風変わったアパートの住人など、登場人物は変わり者ばかり^^;
また全体のトーンがかなりゆったりめで鈍いので(プーさんか?)
私の映画ライフを引き延ばしてくれた友人も、隣で寝てしまった…
なんだかなぁ~^^;と思うところだが、
この作品、観所は脇を固める名優たちで、彼らの演技を堪能する
に尽きる。主人公はボソリボソリと喋るだけの存在であるため、
キビキビとした動きは看護師や大学病院での風景くらいである。
とはいえ、中身は優秀な医師!という設定なので、大学からの
研修のお誘いは引っ切り無し!担当日は患者が列を作るほど!の
主人公・イチの魅力がもっと描ければ…観応えあったかも知れず。
タイトルの「神様のカルテ」、その実体がラストに明かされるが、
患者にとって、病と真摯に向き合ってくれる医師は確かに心強い。
何ができるか、助けられるか、まずはその選択なのだろうが、もし
手遅れになり手術不可能になっても、死ぬまでその命は患者の物。
性格にも因るのだろうが、最期をどう迎えたいかは人それぞれだ。
医師は患者の深層心理までは入り込めないだろうが、できる範囲、
その分野で精一杯の尽力を施すことが使命なのではないだろうか。
年中無休365日体制で救急医療をこなす医師がいる一方で、矛盾が
生じるリアルな現場体制、頼られるも恨まれるのも医師の側である。
だけど。何とかせめて、受け入れ拒否だけは…
生きたいと思う人間がいて、命を助けたいと思う人間がいる。
それだけで成立する関係がビジネスを念頭に置くと途端に変わる。
今作にはその描写がまるでなかった。経営者も出てこない^^;
ホッとするような、んなわけないだろうがというか、不思議な感じ。
昨年亡くなった義母も、間際にはナースステーションのすぐ近くの
部屋になった。あのシーンを観ていたら思い出して涙がこぼれた。
監督の演出と脚本の設定にもう少し、頑張りが欲しかった気がする。
名俳優陣の演技だけに頼ってしまった感のある作品。
(何を大切に思うかは人それぞれ。才能と本能は重なったり離れたり)