「成仏してね。」ステキな金縛り yuki-yo@ybfbwさんの映画レビュー(感想・評価)
成仏してね。
まず、
設定が、ブレまくってる。
幽霊が見えても、基本、一体だけだったり、だけじゃなかったり。
あの世とかこの世とか、
非現実で常人には未知のものを出す場合、設定こそがしっかり固定されてないと駄目なのだが、
そこがブレてるから、よくわかんないことに、つまり、ストーリーに説得力がなくなっておる。
個人的にヒドいなーとおもったのは、
阿部寛が演じた主人公の上司の突然死。
あ、体調悪かったんだ?
え、死ぬの? 今? みたいな感じで亡くなるんだけど、
これ、いくらコメディだからって、あまりに扱いが粗略すぎるし、意味もないのが、ヒドい。
要するにコメディとしての体も守れてないし、映画としても歪つなんだわ。
そんでまた、長い。
二時間半もある、150分!
内容が詰まってるわけでもなく、明らかに無駄だとわかるシーンばかり。
進行もダラダラしてるから緊張感なんかないし、テンポも悪い。
繋ぎも雑。
しかも、ストーリーの大きな着地点の一つでもある、
西田敏行演じるところの、
落ち武者の悲願、名誉挽回と慰霊碑による成仏が、驚くべきことに、本編では描かれない。
ほぼ主役級のキャラなのに!
スタッフロールで完成した慰霊碑の写真が、一応出るけれど、そんな扱いなのかと。
んで、主人公のその後とかもスナップで一緒に流されるけどもー、落ち武者、ぜんぜん成仏してねーの。
いままでの話は何だったんだよ!
なんでもアリかよ! ってゆーか、どーでもいいのかよ! と。
この『ステキな金縛り』って映画は、
どーでもいいわいって、三谷幸喜が頭をぱっくり開いた状態で作ったとしかおもえない映画。
オレの頭の中を覗いてくれよって。
そこに辻褄とか洗練とか、あるわけないし。
あのオープニング、ミニチュア丸出しでアニメかと錯覚しそーになるお屋敷のシーンを観れば、
どのレベルで鑑賞すべきか、わかるんじゃないかな。
主人公を演じる、深津絵里の演技だって、
おそらくたぶん、意図的に過剰さをアピールした、
誰も感情移入できないキレたキャラにしたんだとおもいますよ。おそらくたぶん。
これは狂った映画なんだと、気付かせるために。
個人的には、戸田恵子のイヤな女将役がよかったなぁ。
ホントに、嫌々しいのが。
と、ま、そんなわけで。
観る際には、頭のネジが弛まった、
そーですね、心地よく疲労したぐらいの時に、観るのがオススメですよ。
長いけどね。