「三谷監督、尺にも気を使ってください!」ステキな金縛り gsacraさんの映画レビュー(感想・評価)
三谷監督、尺にも気を使ってください!
とある夜に発生した殺人事件。その容疑者とされた男は「金縛りで動けなかった」とのアリバイを主張、その証人として連れてこられたのは400年以上前に死亡した落ち武者の幽霊だった!
というなかなか奇想天外な設定の本作。
深津恵理のコミカルな演技にキレのある動き、落ち武者装束で気持ち悪い外見のはずの西田敏行が時折見せる可愛らしさ、そして今私が最も好きな日本人俳優の阿部寛、などなど、キャラの立ち方、見せ方から演技まで皆素晴らしい。
三谷幸喜作品に慣れた人ならよく見たことのある出演陣にニヤリとするシーンも連なっており、笑いの絶えない観劇でした。
・・・90分経過くらいまでは。
これまでの三谷作品では、いつも「舞台ならきっと面白いだろうけど、これは映画じゃないな~」という不満がありました。
今回はメインシーンが法廷という閉ざされた空間ということもあり、三谷監督の舞台っぽさが活かされやすいのでは、という期待を持っていました。実際に作品を見ても、今までのモノとは違ってちゃんと「映画」になっていたのは良かったです。
ただ今度は尺が長すぎですね。監督が入れたいものを全部入れたためと思いますが、残り40分くらい(六兵衛さんに大きな変化が起こったあたり)から最後までが長すぎました。私だけでなく周囲にもアクビをしている方が複数おりましたので、多分皆さん同じ気持ちだと思います。
と、ここまで書いたところで映画のパンフの監督インタビューを見たら、三谷さんはご自分の映画が舞台っぽかったことは分かってらっしゃったようですね。更に法廷ものは自分に合うとも思ってたそうです。
ここまで気付くことのできる頭の良い方であるなら、次からは観客の視点から作品の編集にも気を使うようにお願いします。
邦画でコメディを見たい、というときに選びうる一本ですが、「良かったですか?」「面白かったですか?」と聞かれたら「あんまり・・・」とお答えします。