小さな村の小さなダンサーのレビュー・感想・評価
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原書を見て気になっていた作品
国が国民を監視し、管理する社会の恐ろしさと息苦しさ、
そんな中でも、出会う人や環境に作られていく個々人、
信じるもののある強さ、
いろんなことを感じられる内容だけど、
それよりなにより、やっぱりダンスシーンが圧巻。
リー・ツンシンを演じるツァオ・チーも北京舞踏学校に通った後
イギリスに渡ってバーミンガム・ロイヤル・バレエ団に入った人らしい。
二人ともの舞台を生で見てみたくなってしまった。
●苦難の歴史を踊る。
中国人ダンサー、リー・ツンシンの激動の半生を描いたドキュメンタリー。時代に翻弄され、家族と引き離され、しかし今では世界的ダンサーとして活躍する。ラストは涙なくしては観られない。
原題は、’Mao's Last Dancer’ 正確には、毛沢東夫人、江青の文化政策によって、全国から集められたバレエダンサー候補。そのひとりが主人公のリーだ。
政治的には、文化大革命真っ只中の頃か。幼いリーは、大好きな家族と故郷から遠く離されてバレエを徹底訓練される。寂しいし、バレエなんて知らんし馴染めぬリー。そんな彼に、先生は本物のバレエの美しさを教え、その才能が開花する。しかし先生は、江青に反抗した疑いで先生は政府に捕えられてしまう。もちろん永遠の別れ。そんな時代。
だが時を経て、政治的には開放路線に転じる。バレエ研修でアメリカに渡るリー。
こういうのをホントのカルチャーショックと呼ぶのだろう。
何もかも180℃違う世界。悪の枢軸ではないのか。中華人民共和国が最先進国ではなかったのか。
新天地でリーの才能が本物であることが証明される。しかし悩むリー。エリザベスとは結婚したいけど、その先は中国当局が許すワケないし。彼の出した結論は。
ちょいちょい当時の映像が差し込まれて、ハッとさせられる。こんなことあったんだ、結構最近だなとか、リアルに引き込まれる。リー役のツァオ・チーは、バーミンガム・ロイヤル・バレエのプリンシパルだとか。先人を自身の経験に重ね、見事に演じる。バレエは圧巻。
実話ゆえの感動
バレエの舞台シーンがとにかく素晴らしい!ですが、ただのバレリーナのサクセスストーリーではありません。
文化革命の真只中の中国や亡命先アメリカとの対比、時代背景、思想とかとっても分かりやすく描かれています。
毛沢東の大きな肖像画の前でバレエのレッスンをしている光景や、主人公の母親が「政治が11歳の息子を私から無理やり奪ったのに、今度は反革命分子呼ばわりするのは勝手すぎる」と官僚を罵倒している姿が印象的でした。
ラストはそんなつもりでなかったのに、泣かされてしまいました。自分の夢を自由にかなえられる時代と国に生きていることの有難さを再認識させられた鑑賞となりました。おすすめです。
内容は少々難しい所もあるがラストは素直に感動、でも邦題に違和感を感じる
中国版「リトル・ダンサー」、と何かに書いてあったが、大分違う。
あちらはフィクションだけど、こちらはノンフィクション。
中国出身の世界的ダンサー、リー・ツンシンの半生の映画化で、恥ずかしながら初めてその存在を知ったが、何とドラマチックな人生。「世界仰天ニュース」でも紹介されていそう。
実話なだけに、当時の中国を背景にして(自分が勉強不足な為)少々分かりにくかった所もあり、「リトル・ダンサー」のようにすんなり感情移入が出来なかったが、ラストは実話の重みもあって素直に感動。
世界的ダンサーとは言え、その原動力は家族、それは皆同じ。
国境を越えた家族の絆と愛に救われた思いがあった。
リトルダンサーとは随分違うよね~でもこのラストが好きです!
遠く故郷を離れて、生活する事の困難が胸に切々と迫るこの映画は、世界的に有名だと言うリー・ツンシンのバレエダンサーとしての半生を描いた物語だ。
リーの生れ故郷は、中国の山東省にある小さな貧乏農家で有った。その山村の小学校に在る日、中国共産党主席毛沢東夫人の文化政策と称して各地から、将来が有望と見られる子供達のスカウトの一行がやって来て、この村には該当者無しと、一行が帰るところを、何故か、担任の教師がリーを指名した事から、彼のダンサーとしての運命が始まるのだ。彼は未だ小学生だと言うのに親元を離れ、遠く北京の舞踊劇団の訓練生となる。勿論中国共産党のプロパガンダの為に全国から集められた優秀な子供達の仲間入りをするリーは、バレエを踊った事も無いし、田舎の極貧家庭で育った彼は身体が貧弱で体力が無く、厳しい訓練から段々と落伍するが、或る日チェン教師からヌレエフのバレエのビデオを見せて貰う事から、バレエの本当の素晴らしさに目覚め、その後カオ先生の厳しい特訓にも耐えて、次第に上達する彼が、アメリカから来たバレエ団の一行の留学生として渡米する事を政府に承諾され、アメリカでバレエを習う事になるのだが、思わぬ運命が待ち構えると言う波乱の彼の前半生が描かれるのだが、実話であるだけに、とても話に迫力があり見ていてどんどん物語に引き込まれていく。幼少時代から、遠く故郷を離れて自分の踊りだけを頼りに生きて来たそんな彼でも、渡米した彼は、異文化、しかも今から30年も前の中国とアメリカである。バリバリの社会主義国で育った彼は、不思議の国に迷い込んだアリスさながら、総ての事柄にカルチャーショックしていくし、アメリカのヒューストンは確かに大都市ではあるが、地方都市で、80年代初頭では中国との貿易も盛んで無い時代で、アジア人差別も多くあった頃だ。そんなギャップの中での生活に大いに悩む彼の役をツァオ・チーが熱演する。彼はバーミンガムロイヤルバレエのプリンシバルだと言うからリーの人生に自分の人生を重ね合わせていたのだろうか?彼の表情が素晴らく、この映画を支え、引っ張っていくのだ!
邪悪な資本主義国家でリーがアメリカンナイズして反政府的な危険分子になる事を恐れ、リーの自由を剥奪しようと画策する中国政府。その一方でリーも恋もする年頃で、彼の結婚が普通の恋愛に寄る国際結婚か、グリーンカード修得の為の偽装結婚かと言う事で一大事件へと発展して行く。そう言えば「グリーンカード」と言うこの偽装国際結婚問題を描いたアンディーマクダウェルとJド・バルデューのラブコメが面白かったですね。是非こちらの映画も機会が有ったら観ても損は無い映画ですよ。
リーツンシンはきっと類い稀なる才能と努力の人だったのでしょうね、多くの人の助けをアメリカで得て、大成功をして、最後は生れ故郷に錦を飾る事が出来る嬉しいハッピーエンドの物語です。
それで思い出したのですが、米国のアイオワ大学で、銃の乱射殺人事件が起きた事を憶えておられる方はいますか?この惨劇を映画化した「アフター・ザ・レイン」と言うメリルストリープ主演の映画があります。こちらの映画は、米国で偏見と差別によって将来を閉ざされてしまった秀才中国人留学生が、その生真面目で、勤勉で不器用な生き方しか出来無くて、ついには、乱射事件で自己の生涯の幕を閉じる事になると言う最も救いの無い
悲劇の映画がありました。この原題から邦題が何故この名前になったのか、理解に苦しむところであります。名前がもう少し違っていたら観る人も多かったと思うのですがね。
この映画の原題は「DARK MATTER」とは、光を放たない惑星の事らしいのですが、自ら光を放っていない為に観測が困難であるけれども、確かに存在しているその、星の存在を研究テーマにしていた留学生の実話だと言うのも、何か運命的な物を感じるのですが、こちらの映画も、アメリカと中国の光と闇の世界を映した合わせ鏡の様な作品で、観比べてみるのも良いかと思います。今は国際化がどんどん加速し、留学する人も珍しく無い時代です。
若い人達が多数自国を離れ、留学する事は素晴らしい事ですし、留学しているその個人ばかりでなく、その人を取り囲む総ての人々にとって、有意義な機会で、国際理解への一歩は、こう言う普通の民間人の交流の積み重ねが有ってこそ、しかし夢の様な素晴らしい出来事ばかりでは無いのも現実なのだ。是非この2作品を観比べてみて欲しい。
誰のための才能か。
名画座にて。
リー・ツンシンの激動の半生を綴った自伝
『毛沢東のバレエダンサー』を映画化した伝記ドラマ。
毛沢東の文化政策により、幼くして家族と引き離され、
バレエの英才教育を受ける主人公、リー・ツンシンが
一流ダンサーとして花開くまでの軌跡が綴られている。
バレエのドキュメンタリー映画はよく観ているが、
これほど劇的な運命を背負わされたダンサーも珍しい。
中国という国の強烈な主張をこの作品でも見せられた。
ただ、作者でもあるリー氏の才能はそのバレエによって
開花し、オーストラリアで数々の公演を成功させたらしい。
実話ならではの感動があちこちに詰まっている佳作。
また、リーを演じた3人のダンサーたちが素晴らしく、
青年期のリーを演じたツァオ・チーは自身も中国出身、
バーミンガム・ロイヤル・バレエのプリンシパルだそうだ。
その身体能力や舞踊の素晴らしさも今作の魅力である。
彼の最初の妻を演じた女優を見た覚えがあって「?」と
思ったらなんと、「センターステージ」のA・シュルだった。
今作でも彼女は「才能がない」とか言われちゃって^^;
顔は可愛いので女優向きなんだろうか…分からないけど、
また観られて嬉しい。
バレエダンサーとして脚光を浴びるのは大変難しいこと
なのだろうが、その訓練を(中国のは怖いくらい殺人的)
積み重ねてやっと(才能あるものが)花開くことを知った。
芸術というのは得てしてそうなのか、
過酷な闘いとは正反対の感動がこちら側に与えられる。
彼は多くの苦しみを味わったが、同時に、自分を助ける
ために奔走する人たちの愛や思いやりにも触れている。
それが自身の踊りに反映されていたと信じてやまない。
(もし先生がリーを推薦しなかったら?…運命ってすごい)
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