「大場栄大尉、素晴らしい人ですね。」太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 りりーさんの映画レビュー(感想・評価)
大場栄大尉、素晴らしい人ですね。
クリックして本文を読む
太平洋戦争末期、サイパン島。
「生きて捕虜の辱めを受けず」
「おめおめと生きて帰って来た」
「生き恥をさらす」
こんな言葉が、まかり通っていた時代。
死ぬことが立派とされていた時代。
たまたま、生き残った兵士の中で、自分が一番上の大尉だったことから、民間人を含め200人もの人を守り抜いた大場栄さん。
敵が攻めて来るのに、何もない、何もできそうにない。
そんな状況で、突然、全てを判断し、指揮しなければならない立場になったら、何ができるんだろう。
それなのに、水も食料もないサイパン島で512日も生き伸び、人々を守った。
蒸し暑いであろうサイパン島が、うすら寒くさえ感じる。
冷静でいることほど、大切なことはないだろう。
狂ってしまっても可笑しくない状況の中、冷静であり続けた大場大尉。
彼の人となりは、アメリカ軍のルイス大尉の心をも動かしていく。
生きて帰ることを≪恥≫とする時代に、生きることを選んだことは、スゴイことだ。
究極の選択だったことだろう。
「私は、誇れるようなことは、何一つしていません」
この言葉が、胸を打つ。
ただ、竹野内豊さんの演技が、冷静さを貫いたとみるか、陰影がたりないとみるか、意見がわかれそう。
この作品を鑑賞にきていた、たくさんのおじいさん達。
兵士としてではなくとも、少なくても民間人としては、太平洋戦争を体験しておられるのだろう。
そんな彼らの背中を見ながら、生きぬくことが大切なのだよという時代になって良かったね、と思った。
コメントする