「少女たちの運命に戦争の不条理を問う」日輪の遺産 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
少女たちの運命に戦争の不条理を問う
昭和20年8月、真柴少佐は陸軍からある密命を受ける。陸軍が奪取したマッカーサーの財宝を隠匿せよ。価値にして900億、今後の日本再興となるべく資金。任務遂行の為に集められたのは、真柴を含む3人の軍人と、一人の教諭と20人の少女たち…。
浅田次郎の小説を、「半落ち」の佐々部清監督が映画化。
極秘任務に関わった軍人に堺雅人、中村獅童、福士誠治、少女たちの先生にユースケ・サンタマリア、この話を語る現代の老女に八千草薫…真摯な演技に心打たれる。
でも、この映画の真の主役は20人の少女だろう。
マッカーサーの遺産の移送・隠匿の任に集められた少女たち。
だが、少女たちには事実は伏せ、武器と偽る。
微塵も疑わず、日本の為と信じ、懸命に働く少女たち。
その健気な姿には、任務に関わった真柴ら周囲の大人でなくとも、感情移入してしまう。
真柴たちと少女たちの間に交流が生まれ、任務終了直前、真柴にある命令が下る。
教諭と少女たちに毒を盛り、口封じせよ。
真柴たちが取った行動は…。
この話が史実でなくて良かったと心底思った。
あまりに不条理過ぎる。
戦争の不条理…それが当時の日本では暗黙の了解だったのだろう。
しかし、それに抗い、少女たちの思いを守ろうと奮起し固く誓った真柴たちの心を信じたい。
僕はこういう戦時中の映画を見る度思う事は、今戦争映画を作る意義は反戦映画である事。
戦争映画はド派手な戦場シーンを描いて人気だが、正直そんなのは要らない。
本作でも派手な戦場シーンは一切登場しない。戦争に運命を翻弄された人々を通して、戦争の罪を問う。
この映画は有りだ。
おはようございます。
最近はショッキングなことが多くて、ニュースから目が離せなくなってきましたよね。
とりあえず映画.comでは映画に多少でもかかわってるかただけ注目してます。