「映像はスタイリッシュだが」ガールフレンド・エクスペリエンス k.moriさんの映画レビュー(感想・評価)
映像はスタイリッシュだが
日本で言えば、娼婦物、あるいは花柳界物ということになるのであろう。
NYを舞台にしているだけあり、映像的にいい感じだし、個人的にはこういった映像の色合いは好きである。NYの金持ち連中の会話もかなりリアリティーがある。恐らくストーリーの中に出てくる、金持ち達の会話のシーンは、実際にどこかに取材した(あるいは監督、脚本家の日常)実話に近いものであると思われる。
どことなく、アメリカ文明の浅薄さを皮肉っているようでもあり、かつて世界が憧れた、アメリカ文明の成れの果ての姿を、少し引いた立場から描いているようにも思われるが、そう言った表現部分に限って評価するならば、ソダーバーグ監督は、パラノイア的なマイケルムーアよりは、よほど風刺の才能があるような気もする。
しかし、主人公の娼婦を描くという面から言えば、人物描写が弱く、ちょっと安易な感じに終始しているように感じられた。こう言った、娼婦物、花柳界的な世界に生きる女性の描写という意味では、日本の数々の小説や映画のほうが、はるかに奥深く豊かな表現に満ちていて、味わい深いものが多い。結果、映画全体の評価という意味では、文化の違いによるものなのであろうとは思いながらも物足りなさを感じた。
しかし、この全体的なある種の空虚感とか浅薄感といった雰囲気そのものによって、NY社会を風刺しようとしていると言えなくもなく、もしかするとそこを狙っているのかもしれないが。
最後になるが、終わり方にあれこれ悩んだであろうことが伝わってくるような、多少消化不良気味のラストもちょっと気になった。
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