ぼくのエリ 200歳の少女のレビュー・感想・評価
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許してはならないぼかし
露わになったエリの股が実は去勢された傷跡であり少年だったという意味のある重大なシーンなのに、ぼかしを入れた事により露わになった少女の股にドキッとする少年という解釈違いを起こしてしまうのはとても勿体無い……。映画の解釈を誤った方向へ導いてしまうぼかしは果たしてどうなのか。
物語は好きなのにこういう部分でイラつきたく無いですね。
それに、邦題も200歳の少女ってただのネタバレだし上記の件に誤解釈を生む原因にもなってる。
これはひどい。リメイク版を先に観てしまったので、オリジナルがこんな...
これはひどい。リメイク版を先に観てしまったので、オリジナルがこんなつまんなかったなんてビックリ。 というかリメイクのうまさがすごい。素人作品をプロが作り直しましたって感じか。
☆☆☆★★★ ※ 鑑賞直後のメモから 虐められっ子の為に、心の奥底...
☆☆☆★★★ ※ 鑑賞直後のメモから 虐められっ子の為に、心の奥底では人を殺してしまいたい衝動を、持ち続けているひ弱な男の子。 生きる為には、人の生き血を取り続けなければならない宿命の女の子。 この2人による心の触れ合い。 低予算を逆手に取ったクライマックスでの惨劇は、アイデア抜群の面白さ。 クローネンバーグの『デッドゾーン』を思い出させる秀逸な場面も在り、ニール・ジョーダンが鮮烈なデビューをした当時を思い出した。 2010年7月21日 銀座テアトルシネマ
人を選びそうな映画
主役の子、素晴らしかったですね
あの2人の作り出す空気感とかもう凄い
彼らはすべて理解して演じてんじゃなかろうか
男の子の真っ白な感じとか無機質で非人間的で、女の子となんか対極のようで対極でない、、、言葉にできないけど、2人のシンパシーをすごく感じた
ラストも正解ってかんじでしたね
殺し方とか演出とかもいちいちおしゃれでした
ある意味純愛。でも…。
幼い?2人を見ていると切なくなりますね。 本当にお互い愛しているなら、人間の倫理を乗り越えてでも相手の為に行動するのですね。 ただ、未来のオスカー君は最初のおじさんみたいになるのかもしれないのかね…。 原作読むと違うようですが…それも切ないです。
刹那
オスカーが勇気を持ってイジメに屈しなかったのも、最終的にエリを選んだのも、自分の殻を破ったからです。
彼の様に殻を破り成長するには、大切な「誰か」の存在が必要なんですね。それが、永遠に報われないとしても。
刹那的にしか生きることができないエリ。
成長するオスカー。
エリだけ時が止まり、オスカーは時を刻んでいく。
人は歳を取りたくないというけれど、それは周りの人がいてこそ。
大切な人と時を重ねられないこと、永遠に終わらないということ、切ない作品です。
温まらないラブストーリー
見終わったあとに解説読まないと
何だかわからない映画。
解説を読んでいろいろと納得。
静かに冷たく残酷で、これはこれで
素敵なラブストーリーだと思った。
オスカーも最初の血を調達していた
男性と同じ道を歩むのだろう。
本人はまるで想像していないように見えたけど。
血を調達していた彼の血を吸い、
窓から転げ落ちていくとき
エリは何を思ったのだろう。
男性はどんな思いで息を引き取ったのだろう。
男性はエリを愛していた?だから今夜は少年に会わないでくれと頼んだ?
エリが去勢した理由は?
オスカーに対する本当のエリの想いは?
いろいろ考えたら止まらない。
これはひどい。リメイク版を先に観てしまったので、オリジナルがこんな...
これはひどい。リメイク版を先に観てしまったので、オリジナルがこんなつまんなかったなんてビックリ。 というかリメイクのうまさがすごい。素人作品をプロが作り直しましたって感じか。
邦画でもアメリカ映画でもイギリス映画でもない、スウェーデン映画独特の雰囲気がとてもよかった。
映像が、役者が、言葉が美しいスウェーデン映画。 物語のキーとなる部分をモザイク処理してしまった問題は仕方ないにしても、邦題がよくない。少女だなんて、嘘だもの。 ハリウッドリメイクされてるらしいということで予告編をみてみた。が、ナイフが銃に変わってる時点で、 この 柔らく 頼りない 淡くて 残酷で なおかつ 美しい空気感は決して反映されてないことを悟った。 邦画でもアメリカ映画でもイギリス映画でもない、 スウェーデン映画独特の雰囲気がとてもよかった。
私もエリに恋をした。
でたよ。邦題問題(てか副題問題)
勝手に「これ、判り難い映画でしょう?説明してあげるね」的な、余計な副題をつけないで!
しかも、映画の中では性別をわざわざ言及してないのに、"少女"って?これ、観ないでタイトルつけちゃうパターンでしょう?
こういうの、大嫌い!
雪深い、太陽が低い、寒い、冷たい、氷の結晶のような町ストックホルム。
離婚したオスカーの両親は、彼が陰惨な虐めにあっていることを知らない。しかもオスカーには、そのことを話す友人もいない。
エリは見た目は12歳の少女ですが、ヴァンパイアです。
エリが一緒に暮らしている男は父親のふりをしているだけで、エリの食事(血)調達係です。その男も、顔に硫酸をかけられた状態で死にます。
オスカーは孤独で、エリも永遠の孤独の中にいる。そんな二人が、少しずつ気持ちを通わせていく姿に、(ネット上では)小さな恋のメロディのヴァンパイア版との指摘が散見されます。ですが、本作はもっと残酷なラブストーリー(?)だと思いました。
オスカーはエリに「ガールフレンド」になってと云い、エリは「少女」でなくても構わないか?と問います。それでも、好きでいてくれるか?勿論エリは12歳ではないですし、女性でも男性でもないのです。そのことが明らかになるシーンがあります(映倫さんのせいで観客には分かりません。その際の台詞で推測)。
12歳でもない、少女でもない、少年でもない。そんな異形の者との恋を、オスカーはどう決心するのか?
オスカーの決心は、ラストのシーンで分かります。列車に乗るオスカーの横には、大きな木箱があります。ここで、モールス信号の伏線が回収される。素晴らしいです。
このシーンは、オスカーがエリと一緒に生きて行く決心をしたことを表していますが、と同時に、彼の運命が決まった瞬間でもあると思いました。オスカーも、顔を焼いたあの父親役の男と、同じ運命を辿るかも知れない……。あの男も、昔はこんな美しいオスカーだったかも。
印象的なシーンが、二つあります。
一つは冒頭にも書きましたが、舌にまだ血がまだ残る唇で、エリがオスカーに口吻るシーンです。湿った音を立てながら、エリが瞳を閉じて、また開ける。瞼が開けられる度に、少女の戸惑い、獲物を仕留めた獣の目、哀しみ、支配、愛情がくるくる浮かびます。こんなに心に迫るキスシーンは、初めてです。
次は、プールでいつものように虐められるオスカーが、水に沈められるシーン。水の中で苦しそうに藻掻くオスカーの周りに、千切れた手足が浮かぶ。オスカーが漸く顔を上げると、凜と微笑むエリがいました。この瞬間、私もエリに恋をしました。
この二人は全くの新人の子役さんのようで、演技のぎこちなさがリアルに繋がっているように思いました。
さて、原題が「(スエーデン語)Låt den rätte komma in」です。意味は「正しき者を招き入れよ」らしいです。これは、ヴァンパイアは「入っていい」と言われないと、部屋の入れないことに由来します。うーん。
この映画でペドという言葉を覚えました
色々とグッとくる、とても素晴らしい作品でした(≧ω≦)b ロリコンも、ショタコンも、スプラッタコン(?)も、バンパイアコン(⁇)も、みんながワッショイ出来る。 特にラストのプールのシーンが最高!何度も観たくなる名シーンだと思う。 原作みないと説明が足りない所が多いようですが、それはそれでイイ(°∀°)
孤独な少年の恋
多くは語らず画面で見せるような作品でした。 かなり雰囲気が◎ ヴァンパイアものというとトワイライトシリーズやインタビューウィズヴァンパイア等がありますね。これらはファンタジー色が強く少し派手な印象をうけます。 でも"ぼくのエリ"はダークで静か。こんなヴァンパイアものが見たいと思っていました。 ただ、このタイトルの副題と劇中にあるモザイクは良くないかと…。 わりと重要なことをかなり勘違いしてしまいました。
上質のヴァンパイア映画。
少し前に、Twitterで“お気に入りのヴァンパイア映画”を数本挙げたんだけれど、そのベストいくつかの中の1本に 「ぼくのエリ 200歳の少女(原題 Let the Right One In)」 を入れました。 この作品にとても惹かれます….私的には、「インタビュー・ウィズ…」のルイとクローディアがヴァンパイアとして何世紀も生き続けなければならない哀しみ・苦悩の部分に通じるものがあるから好きなんですね。 「ぼくのエリ」は12歳のヴァンパイア、エリ(リーナ・レアンデション)と人間の少年オスカー(カーレ・ヘーデブラント)が出会い、さまざまな出来事を経てお互いを受け入れ、認め合いながら果てしない旅へ出発する姿を描いた作品です。 舞台はスウェーデン。時代はブレジネフ書記長がニュースで流れているので1970年代だと思います。 最近の作品だと「ドラゴン・タトゥの女」がスウェーデンが舞台でした…雪とメタルグレーの空そこにヴァンパイアには不可欠な夜の闇、そんな風景が静寂さを際立たせております。 雪の中に透き通るような白い肌にブロンドの髪の美しい少年オスカーがまるで妖精のようなのですよね。 まさにヴァンパイア映画に不可欠な中性的、そして耽美的なエロティシズム満載のシーンがちりばめられています。 血なまぐさい部分も多々ありますが、オスカーとエリの透明感、そして余分なセリフを削った淡々とした映像で浄化されているようです。 そしてヴァンパイア=耽美的=同性愛。 まさに映画の中には所々にその気配が漂っているんです。 エリが人血を味わった後の血まみれの口でオスカーくんと唇を重ねるシーンもゾッとするほど美しい! もう、公開されてからだいぶ経ってメジャーになっているし、この問題点はすでに広まっている様子なので書いてしまいますね。 エリの下半身が映るときのボカシ、あれはやっちゃダメです! 内容が変わっちゃうのです、アレを見せるか見せないかで。 エリは、何度か自分の口からオスカーに対して「私は女の子じゃないから」って公言してますね。 一方、オスカーも周りの男の子たちに比べても普通の少年には見えない、(まるで堕天使のよう)彼の父親も“そちらのけ”があるような描かれ方をしていたので、遺伝なのかもしれません。 もしかしたらエリはそういうタイプの人間を自分の「連れ人(つれびと)」として選んでいるのかもしれない。 とすると、エリとともに町にやってきた老人もそうだったのでしょうね。 エリに見入られた当時その老人は、おそらくオスカーのような美しい少年だったのでしょう…10年、20年、30年と月日が流れても彼女は常に12歳のままなのに連れ人はどんどん年老いて行き「狩り」をするのもおぼつかなくなってくる。ヘマが多くなり役立たずになれば、自らの命を絶ち自分の血をエリに差し出すしか手段はなくなります。 ラスト近くのプールサイドでオスカーとエリが見つめ合う時の表情、目の美しさ。 そして最後の電車のシーン。 新たな出発、旅の始まり… エリにとって何世紀も繰り返されて来た、そしてこれからも繰り返されていく終わりのない旅と考えてしまうと悲劇的なんですよね、このループは。 出会い、旅立ち、出会い、旅立ち...そしてまた....の繰り返し。 「連れ人」の手で、果てしない旅の物語を終わらせることも可能だと思うのです。 でも、エリが選んだ男たちはそれをすることはなかった、ここに監督がモリッシーの曲から頂いたという原題の「Let the Right One In」にこめられているものが1つの意味だけではないのかなって思うんです。 「ぼくのエリ」はアメリカでもリメイクされました、クロエ・グレーズ・モレッツ主演の「モールス」です。 こちらの作品は、セリフなども忠実に表現されているものの全く別もの、性質が違う作品に仕上がっています。 原作が持つ繊細さ、悲しさは半減しています。 クロエのヴァンパイアに豹変した姿を売りにしているためか、エリの中性的な部分もなくなっていますね。 (モールスでは、アビーという役名になっています。時代は1980年代に置き換えられています) 何世紀も生き続けて精神的には年老いたであろうあの目で語る演技は、スウェーデン版のエリの表情には負けているかも。 それにしても そもそも邦題が、おかしいと思います…200歳だなんて全く出てこないですから。 タイトルはさておき、 この映画はヴァンパイア映画の王道的作品であり、傑作といえるでしょう。
【ホラーやサスペンス】と解釈するか‥【男児の初恋物語】と‥
俺は後者‥ 【男児の初恋物語】と解釈した('◇')ゞ だから‥ ‥そのつもりでレビューするッ(^-^)v♪ なるほど‥ ‥皆が言うように ‥こちら素晴らしい作品だ~ヽ('ー`)ノ~ 北欧‥ ‥陽の差さない地域で‥ まだ‥ ‥性的に目覚めてない男児と/同じく胸も膨らんでない女児(実は200歳以上‥)‥ の‥ 心通う物語└|∵|┐♪┌|∵|┘ これは‥ ●小さな恋のメロディか‥? ●マイガールか? いや素晴らしい(^-^)/~ ペース?が遅々としててモドカシイけど‥ 映画の空気感/て事だよね/(.^.)\ ☆評は‥ DVD\80水準にて‥(^-^) DVD買う度⇒③★★★ モ、1回見たい度⇒②☆☆ オススメ度⇒③♪♪♪ デートで見る度⇒【不明】 観る相方o(^o^)o】一人見が良いンかな(o^-')b 観た後の飲み物】ブラッディマリー ◆◇◆◇◆◇◆◇ いぢめ問題が騒がれてる昨今‥ この作品は年頃の子をお持ちの方には辛いかも知れないヽ('ー'#)/ なるほど‥ CGモレッツ‥●モールスも見てみよう~ヽ('ー`)ノ~
少女の瞳がすばらしかったです
2008年スウェーデン映画。115分。2011年37本目の作品。「モールス」のオリジナル版でリメイク版ともどもに世界中から絶賛されたという希な作品。 内容は; 「モールス」とほぼ一緒です。 唯一違うのは「モールス」では刑事だった設定の人が本作ではただののんだくれ不良おっさんなことくらい。そして、個人的にはこの設定の違いがリメイクの方が上と思わせた要因の1つ。というのも、リメイクでは物語の重要人物であるこのキャラクターを刑事にしたことで、緊張感が増したからです。 ただ、それ以外を見ても、リメイクの方が無駄な要素をはぶきギュッと詰めていた感じがありました。だから集中力を切らさずに見れた。 本作で輝いていたのはリメイクでクロエ・モレッツが演じた少女役を演じた女優さん。クロエとは違った意味で雰囲気あったし、むしろこちらの方が説得力があった気がする。何百年も生きているって深い表情しています。 でも、切なさっていう点でもリメイクの方がよく表現されていたなあ。ま、こういうのは後に観た方が不利なのかどうか分かりませんがね。
凛として、輝く
北欧スウェーデンから届いた、ベストセラー小説の映画化作品。
孤立、孤独、そしてその中に小さく強くある希望を、力強く描く。吸血鬼という古典かつインモラルなテーマに主題を置きながらも、その裏で華奢な、そして繊細な一人の少年が辿る心の成長物語という側面を丁寧に、熱を持って作り上げていく、端正な佳作。
北欧スウェーデンの作品では、昨今「スウェーディッシュ・ラブストーリー」をはじめとした魅力満載の作品が日本で続々公開され、映画市場としての地位を確立しつつあるが、その多くの作品に貫かれる寂しさ、空虚な空気感は、日本にある曖昧さに通じるものがあり、心地よい。それが、スウェーデン映画に日本人が惹かれはじめている一つの理由なのかもしれない。
特に、目を見張る場面がある。それは、バンパイアとして常に血を求めている少女、エリのため、彼女の父が一般人を捕獲し、木に吊るし、血を収集する場面。ただ残忍に他人の血を吸い取る光景を見慣れている私達にとって、この場面は違和感の極みである。一瞬の殺戮から生まれる美学を超え、バンパイアが息を潜めて生きていく、その焦り、生々しさが凝縮される。他のバンパイア映画が目を背けてきた生活感が切り取られ、ただ狼狽させられる。これが、吸血鬼が生きていくということであり、バンパイアが凛と輝くための道なのだ。
題材・ストーリーに目新しさは無いかもしれない。だが、この作品にはバンパイアを神格化せず、一つの生き物として見つめる視線がある。これは、数多の類似品には真似できない、私達の思考への挑戦である。
混沌とした現代に、その中を生きる私達に突きつける物語への挑発。見事にはめられた先にある満足感、そして幸福感は予測を遥かに超える。吸血鬼は、物語の中で生きていく。焦りと、飢えと、その先にある輝きをもって。
大人向けバンパイアサーガ
いや~久々に来ましたね。これを観てしまうと 何だか「トワイライト サーガ」が子供騙しに観えてしまいます。本格的な大人向けバンパイア映画が出来たと思います。(それにしても、本編に登場するのは12歳の男女2人だというのに大人向けって不思議ですけどね) スウェーデンに住むいじめられっ子のオスカーはある夜不思議な少女エリと出会う。エリは自分が何百年も生きてきた正体を隠したままオスカーと友達になるのですが、何と二人の間には恋心が芽生えてしまいます。 注目はゆっくりとした作品のテンポとダークな世界観です。特にテンポがいいですね。時間が進むにつれ明らかになって行く新事実の数々。その明かし方が実に素晴らしい。観いてる側はとにかくハラハラドキドキさせながら観てしまいました。もうはっきり言って吸い込まれそうでした。 それから、世界観もお見事でした。最近いいホラー映画を観ていない私にとってはこのくらいダークで不気味な世界観がちょうど良かったです。逆にここまでやらないともはやホラー映画とは呼ばないと思います。つまり怖いと感じないとホラー映画とは呼ばないということです。 私的にはこの映画は大満足だったのですが、弱点というか欠点があるとすれば、オスカーの反撃が遅すぎるという事とエリの協力者は何者だったのだろうという点です。 それから、くれぐれも言っておきますが、この手の作品が苦手な人は何が何でも避けてください。人によっては“グロテスク”という言葉でこの作品を簡単に片付けられてしまうでしょう。私としてはそれが非常に残念です。しかし、最近いいホラー映画を観ていない方やバンパイア物が大好きという方にはオススメの一本です。是非、ご覧ください。
永遠に続く孤独な旅の道連れ
「血と薔薇」のようにぞくっとする程美しく、「シベールの日曜日」のように
せつない映画を期待して、夫と娘と親子3人で見た。
映像は美しかったが耽美的というほどではなく、生き血をすする姿などリアル過ぎるほどで
狩猟民族の悲哀さえ感じられるし、
最後の場面、幸せそうなオスカーとエリは長い2人旅に出るのだから、
孤独な魂が呼び合うせつなさも無い。
少し物足りない思いで劇場を後にした帰り道、夫が「あの男の子は自分で硫酸をかぶった男
の代わりになるんだな」とぼそっとつぶやいた。
そうだったんだ。言われてみればその通りだ。それなら面白く、恐ろしい。
男が木に吊るした獲物から生き血を抜く場面で、こんなやり方で集め続けられるのだろうかと
余計な心配をしてしまったが、
エリの世話をしていた彼は疲れきっていて、終わりの時を待っていたのかもしれない。
「考えすぎかもしれないが」と夫が続けて言う。
「エリはオスカーに催眠術をかけたんじゃないだろうか。
死んだ男にもかかっていたが、エリに病室で血を飲ませた時に男の催眠術は解かれ、
彼は本来の自分を取り戻して死んでいったんだろう」
永遠に12歳のままで旅を続けるエリは、絶え間なく続くいじめに苦しむオスカーを
次の道連れに選んだ。
エリは彼に恋をしたのだろうか、オスカーは便利な世話人として洗脳されていくのだろうか。
映画ではオスカーの心情しか描かれていないので、エリの本心は読み取れない。
しばらくは、2人の蜜月が続くのだろう。
その後、どんな苦しみが彼に訪れようと、至福の時を過ごした記憶が彼に残るのだろう。
~~ ~~~ ~~ ~~~ ~~ ~~ ~~~
余談ですが、ウチの娘は映画を見た夜、エリにかみつかれるのではないかと恐くて
眠れなかったらしい。
「日本には雪女や座敷わらしは居ても、吸血鬼はいないから大丈夫」と言うと、
「魔物だから海ぐらい飛んで来れるかもしれないよ!
日本で映画撮るなら、12歳頃のAKBのあっちゃんと神木隆之介君がいいな!」
と、結構気にいったようだ。
エリの映像のモザイクは、パンフレットに答があると聞き、楽しみにしていたが
売り切れでがっかり・・。
もしかして両性具有かと思っていたが、エリは人間として生きていた時は男の子だったらしい。
身震いするホラーに出来る内容だが、ホラーは全くダメな私でも大丈夫だった。
ハリウッドリメイク版の方は、ホラー映画になっているのかも。
イノセントとバイオレント
この映画で描かれてることって、道徳や正義や人の道や、そんなところとは全く無縁ですよね。 正直言って、残酷です。誰かを犠牲にしてでも生き永らえる吸血鬼の物語。 ヒロインのエリは吸血鬼で、人を襲うし、人を殺す。 彼女に魅入られた中年男性を従えて、街から街へと渡り歩く。 そんな200歳の少女に、少年オスカーは出会う。 お互いの孤独と寂しさにシンパシーを抱き合う。 切ないまでのボーイミーツガール。 やがて、2人の間に絆が生まれる。 オスカーはエリのおぞましい姿を目の当たりにしても、彼女を愛すと決めた…… そして、あのラストですか。 何とも云えない余韻が残りました。 舞台には延々と雪が降り積もります。その純白の世界に、凄惨極める血しぶきが飛び散る。 白と赤。無垢と残虐のコントラスト。イノセントとバイオレント。 この世界を、一体どう受け止めたらいいんでしょうね。 自分なら、エリの生きるルールを受け容れられないでしょうし。 もう一度、12歳に戻れば、オスカーの様な考えに及ぶんでしょうか。 無理だなあ。あのモザイク(賛否あるそうですが)に込められた意味全てひっくるめて… 答えなんか、きっとないんですね。
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