「素晴らしい!!!」キック・アス ts-39さんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい!!!
これほどの映画体験は、そうそうあることではない。最高のアメコミ映画であるだけでなく、最高の映画の一つと言ってよい。これをスルーする日本の映画配給会社の目は一体どれだけ節穴なのか。見る映画を決めるのは我々観客であって配給会社ではない。そして「キック・アス」は絶対に劇場で見るべき傑作だ。
主人公のアメコミファン高校生が、スーパーヒーローにあこがれてコスチュームに身を包み、悪者退治をするコメディー、…では終わらないのである。確かに学園青春コメディーとしても上出来なのだが、その中身は、「キル・ビル」のような激しいバイオレンス・アクションの復讐劇なのだ。「キル・ビル」との大きな違いは、ザ・ブライドには大して感情移入できないが、本作の登場人物は観客の心をつかんで放さないという点だ。ヒット・ガールことミンディーは、映画史上、最もかっこいい女の子であるのは間違いない。父親の特訓を受ける冒頭場面の可愛らしさから、終盤の恐るべき戦いぶりまで、片時も目を離せない。演技だけでなくほとんどのスタントもこなしたクロエ・モレッツの将来が約束された作品だろう。
脚本も非常によく出来ている。青春コメディーと復讐劇の組み合わせ、またコスチュームヒーローが四人いるという設定にもかかわらず、全ての登場人物の全ての話に意味がある、密度の高い物語になっている。前半のペースが遅めなのは計算ずくであり、後半で収束してクライマックスに突入する加速感が素晴らしい。音楽とのシンクロも完璧だ。
これが本当はどんな映画なのかを知らずに、見ない人がいるかもしれないが、それは映画ファンとしてはあまりに大きな損失である。しかし私のように、コメディーと思って見に行くのも良いかもしれない。常に観客を裏切ってテンションが上がっていく、非常に貴重な経験をするだろうから。
本当に震えるほど面白かった!