「生きることは・・・諦めないこと」岳 ガク nanaoさんの映画レビュー(感想・評価)
生きることは・・・諦めないこと
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雪山の映像だけでもスクリーンで見る価値がある。この景色はぜひ観てほしい。音楽も素晴らしい。
映画は何を優先するか。人の心の流れの緻密さが見られない映画は映画でないという人には、このストーリーは物足りないかもしれない。でも違う気もする。
なぜならその斜め上をいく、小栗扮する三歩がいるからだ。主人公には珍しい受け身ながら揺るがない圧倒的存在感で観客を引き込む。
三歩とは逆に、動的存在新人救助隊員久美を演じる長澤まさみ。揺れる心、頑なさ弱さふがいなさ、できなくて悔しいという表情がとてもいい。自然なのだ。だから最後の最後に見せるプロとして「はい」と言うときの顔がとても良く映える。三歩のぶれなさがあるから、久美が成長していく過程がより引き立つ。他キャストもそれぞれの仕事をきちんとしているから、予定調和であっても映画を見たーという気持ちにさせてくれる。
付け足すならば、ストーリー自体も決して悪くはないのだ。それぞれのエピソード、後半の展開、要所要所ではっとさせるシーンも割とある。三歩の過去を知った久美が自分の心を打ち明けるシーン。
何かにつまづき落ち込むことは、私たちにもよく経験があることだろう。久美はいわば普通に生きている人たちの代弁者でもある。強い三歩に久美が問いかける。だか三歩は決して大げさなことは言わない。
これに対するアンサーは、劇中で三歩が自分の名前を使って答えてくれているのではないかと、そう思わせるシーンがあることに数日後気付いた。
それは久美だけへ答えているのではなく、観客みんなへの応援賛歌になっている。
老若男女年代を問わないのは、三歩のよう。
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