「This is our last dance. コウテイペンギン・エフェクトが世界を繋ぐ。」ハッピー フィート2 踊るペンギンレスキュー隊 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
This is our last dance. コウテイペンギン・エフェクトが世界を繋ぐ。
踊るペンギン、マンブルの活躍を描くアニマル・ミュージカルアニメ映画『ハッピー・フィート』の続編。
地球温暖化の影響で氷床が崩れ、コウテイペンギンたちの住むエンペラー帝国が陸の孤島と化してしまう。
偶然国の外にいたマンブルとその息子エリックは、仲間のペンギンたちを救おうと努力するのだが…。
監督/脚本/製作はジョージ・ミラー。
○キャスト
マンブル…イライジャ・ウッド。
ラモン/ラブレイス…ロビン・ウィリアムズ。
新たなキャストとして、自我に目覚めたオキアミのウィルを演じるのは『セブン』『オーシャンズ』シリーズの、名優ブラッド・ピット。
ウィルの相棒、ビルを演じるのは『オーシャンズ』シリーズや『ボーン』シリーズの、名優マット・デイモン。
なおラモン/ラブレイスの日本語吹き替えは前作ではブラザートムが担当していたが、本作では『魔女の宅急便』『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの山寺宏一に変更されている。
まず、映画そのものの内容とは違うところに文句を一つ。
日本語吹き替えの声優が『1』と全っ然違うっ!!
主人公マンブルやラモン/ラブレイスなどの主要キャストの声がガラリと変わってしまっており、とっても違和感を覚えた。
マンブルの声優について、初めは「あっそっか。手越くんだからか…」なんて思ったが、手越くんはこの映画公開時はまだ不祥事を起こしてない。
ラモン/ラブレイスの声優について、初めは「あっそっか。ブラザートムだからか…」なんて思ったが、ブラザートムはこの映画公開時はまだ不祥事を起こしていない。
…なんかスキャンダラスなキャスティングだな💦
手越祐也→劇団ひとり、ブラザートム→山寺宏一に変更。まぁ劇ピンも山ちゃんも上手かったんだけど、こっちは旧キャストに耳が慣れちゃってるわけだから、上手いとか下手とか関係なくノイズになってしまう。
一番許せなかったのはマンブルの妻グローリア。園崎未恵さんからクリスタル・ケイに変わったわけだが、これがド下手っ!!もうどうしても耐えられなくって、途中で音声を英語に切り替えちゃいました。
グローリアに関しては本家の方でもブリタニー・マーフィからP!nkに変わっているわけだが、これはブリタニーが2009年に亡くなってしまったから。別に日本語吹き替えは変えなくても良いわけです。
前作の日本語版は芸能人吹き替えもかなりハマっていてなかなかにクオリティが高い出来だったのだが、今回はダメダメ。
ブラピ&マット・デイモンのコンビが演じていたウィルとビルをバナナマンに吹き替えさせるというのもセンスがなさすぎ😮💨『オーシャンズ』シリーズで共演している超一流俳優の2人が、生態系の最底辺であるオキアミを演じているというのがミソなのに…。
ブラピとデイモンの声は彼らの吹き替えを多く担当している堀内賢雄&平田広明コンビに任せておけばよかったと思うし、もし芸能人に吹き替えさせたいのならば原語版のキャスティング意図を汲み取って、竹野内豊&反町隆史とか舘ひろし&柴田恭兵とか、「おっ!まさかあのコンビを復活させるとは…」と観客が驚くくらいのアンサンブルを見せて欲しかった。
いや本当に今回の吹き替え版は最低だった…🌀
前作を吹き替えで観た人ほど今回は字幕で鑑賞することをオススメします。
ここから映画本編に話を移しますが、うーん…。これはガッカリ続編の部類に属する映画かも。
退屈で堪らん、という訳ではないんだけど、別に作らなくっても良かったんじゃない?という気持ちは終始拭えず。
そもそも、マンブルは『1』ですでに英雄的な存在にまで成長しきってしまっている。双六でいえば上がりの状態。つまりマンブル自体にはもう語るべき物語は残っていないのです。
そこで今回、新たなキャラクターとしてマンブルの息子エリックを投入。エリックは踊ることに興味を示さず、その代わりに空を飛ぶことを夢見る雛。本作ではマンブルとエリックの確執、成長そして和解という父と子のドラマが展開していく。
…なんだけど、ぶっちゃけそこがあんまり上手く描けていない。エリックの空への憧れがどうなったのか結局曖昧なまま終わっちゃったので、父と子が本当に理解し合えたのかどうかがイマイチ伝わってこない。
クライマックス。ペンギン&ゾウアザラシ&オキアミといった南極オールスターズによる大協奏は確かにアガる。
演奏する楽曲もクイーン&ボウイによる超名曲「アンダー・プレッシャー」で、ここは素直に「いやー、今日は良いもん観たなー!😆」なんて思える出来な訳なんだけど、ド派手なパレードで誤魔化すことによってマンブルとエリックのドラマを描き切ることを放棄してしまった感は否めず。
モチモチっとしたエリックはとても可愛らしかったので、いっそのこと彼を主役にしてしまって、父子の物語ではなく少年が自分のアイデンティティーを獲得するまでの物語にした方が、映画に纏まりが出たんじゃないかなぁ…。
オキアミの物語をちょこちょこ挿入していたが、あれがマンブルの物語と繋がっておらず、ただの賑やかし以上の効果を発揮出来ていなかったのもうーんなポイント。
バタフライ・エフェクトならぬコウテイペンギン・エフェクトがオキアミをも動かした。いずれ人間にも届くかも…、という希望を描いているのかもしれないが、それならクライマックスにはあの南極調査中の人間たちにも加わって欲しかった。せっかくギターを持ってたんだから、最後はブライアン・メイばりのテクニックを披露してくれよ!!🎸⚡️
地球温暖化などの環境問題について描きたかったのはわかるのだが、それが上手く物語とコミットしておらず、チグハグな感じを覚えてしまった。
ジョージ・ミラーには是非とも『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994)を観ていただいて、アニメで環境問題×動物を描く際のコツのようなものを学んでいって欲しい。