デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断 : インタビュー
ザック・ガリフィアナキス演じるトラブル男イーサンを向こうに回しながらも、貫禄の存在感を見せるロバート・ダウニー・Jr.と、「ハングオーバー!」に続いて全米大ヒットをキメたトッド・フィリップス監督が作品について語った。(構成・文:編集部)
■ロバート・ダウニー・Jr.「ザックと出会って、ようやくピッタリの相棒を見つけた気がする」
「僕は『アイアンマン2』の撮影を終えたばかりで、なにか違うことをしたかったんだ。『ハングオーバー!』は大好きだったし、トッド(・フィリップス監督)のことも知っていた。僕の友達はみんな、ザック(・ガリフィアナキス)に夢中になったしね」
アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」以来、初のコメディ映画となった「デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断」への出演について、ロバート・ダウニー・Jr.はこう語った。同作で彼が演じるのは、妻の出産を5日後に控えた建築家ピーター。曰く「彼はひどく神経質で、カッとなりやすいという欠点がある」男だ。そして、「そんな彼がトラブルに巻き込まれ、その解決に手を貸してくれる理想的(!?)な男」というのが……ザック・ガリフィアナキス演じるイーサンなのだ。
その共演者に、ダウニーは感心しっぱなしだったようだ。
「僕はザックと出会って、ようやくピッタリの相棒を見つけた気がする。ザックの演技には奥深さと複雑さがあり、彼は単に可笑しいだけの俳優じゃない。スタンダップ・コメディアンとしても素晴らしい才能がある。彼はあらゆる分野をネタにして観客に自分を知らしめながら、最終的には、ザックを知ることによって、観客たち自身が自分を知ることができる域にまでネタを持っていけるんだ」
確かに、観客である我々は当初、テンポのズレた2人の珍道中を他人事として笑い飛ばしているのだが、やがて彼らの人となり、抱える問題を知るにつれ、彼らが自分たちとなんら変わりがないことに気づいていく(もちろん、それはかなりオーバーに表現されてはいるのだけれど)。
「この作品では、僕もそうすることができた気がするよ。とても報われた経験だった」
ダウニーにとって非常に印象深い作品になった「デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断」。もちろん、観客にとってもそうなるに違いない。
■トッド・フィリップス監督「ロバートとザックのケミストリーは抜群だよ」
本作のメガホンをとり、「ハング・オーバー!」に続いてザック・ガリフィアナキスと組んだトッド・フィリップス監督。彼もまた、「僕はこれまで数多くのコメディ俳優たちと仕事をしてきたが、ザックには特別な資質がある。言葉で何と表現していいか分からないんだけど、とにかく、彼はどんなことでもうまくやってのける能力を持っているんだ」とガリフィアナキスをベタ褒めする。
そして、本作の成功の理由をこう述べた。
「(ザックのキャスティングに加えて)ロバート・ダウニー・Jr.のような役者を起用できるなんてまず無理と思っていたんけど、彼の出演が決まり、もう気が狂いそうになるほど喜んだね。この映画のなにがほかの映画と違うかというと、主役2人が自分たちの間にある“きまり悪さ”を絶妙なバランスで表現していること。それは、ロバートやザックのような俳優がいるからこそ可能なんだよ」
さらに監督は、2人の俳優が共鳴し合い、演技を高め合っていくさま(転じてスクリーン上では、それはお互いをけなし合い、ぶつかり合う演技となるのだが)を“ケミストリー(化学変化)”と表現する。
「ロバートとザックのケミストリーは抜群だよ。ロバートは世界的な名優なので、相手役とそれほどケミストリーが生まれない場合でも、なんとかそれを作り出すことができるんじゃないかな。ザックも、どんな共演者ともケミストリーを作り出せる。この映画の場合は、気まずい雰囲気でなにかやらかすことになるから、むしろ“アンチ・ケミストリー”だけどね(笑)」