「人生を決める町」ザ・タウン Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
人生を決める町
総合80点 ( ストーリー:80点|キャスト:80点|演出:85点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
犯罪者集団をただの犯罪者として描くのではなくて、町が持つ気質を人々の人生に反映することによって彼らの人生を浮き彫りにするという手法を上手く用いていた。町に住み続けてこの気質を受け入れている者がいて、町を出ることを決めてこの伝統に別れを告げて人生を変えようとする者がいて、その対比によって犯罪活劇だけでなく人生の変遷までも描こうとしていた。家族や組織に加えて、彼らを追跡するFBIのほうもしっかりと描かれていた。
そして何よりも迫力のある演出が気に入った。犯罪現場の場面は言うまでもないが、カフェでの食事の場面といった何気ない部分でも緊迫感を盛り上げてくれていた。わざとらしい演技や演出が少なくて現実感のある場面が続いていた。
手に入れにくい自動小銃や警察の制服や救急車をどうやってそんな簡単に調達したのだろうかというような突っ込みどころはあるものの、全体としては十分に楽しめる映画になっていた。同じベン・アフレック監督の「ゴーン・ベイビー・ゴーン」もそうだったが、このような犯罪作品を撮らせればこの監督はかなり上手いようだ。監督自身がボストン育ちということで、街並みの撮影の仕方といいボストンに対する愛着も感じられる。
チャールズタウンにはバンカーヒルや旧海軍工廠といった観光客が大勢訪れる場所があり、私自身もこの映画作成前に訪問した時に治安が悪いという印象がなかったので、気になって外務省海外安全ホームページを調べてみた。それによると治安の悪い場所もあるようだ。今でも親から受け継ぐ伝統の職業としての強盗団がいるのかどうかは知らないが、昔はもっと治安が悪くて犯罪組織もたくさんあったのかもしれない。
外務省海外安全ホームページより
ジャマイカプレーン地区、サウスエンド地区、バックベイ地区、チャールズタウン地区
これらの地区の全域が危険な場所というわけではありませんが、近年、一部で強盗、強かん等の凶悪犯罪が発生しています。富裕層の多く居住する住宅地、高級ブディックやレストランが建ち並ぶ繁華街と人気が少なく麻薬密売の温床となっているような危険地域との色分けがはっきりしており、近年、後者の危険地域の範囲が徐々に拡大しています。土地勘の無い人が事情を知らずにこれらの危険地域に迷い込むと思わぬ被害に巻き込まれる恐れがあり、また、「昼間は安全な地域でも夜間の顔は別。不必要な夜間の行動は慎む」という心構えが必要です。