「最高傑作の一歩手前」ザ・タウン SAOSHIーTONYさんの映画レビュー(感想・評価)
最高傑作の一歩手前
正直に言います。この映画は素晴らしい作品です。アフレック監督の前作「ゴーン ベイビー ゴーン」のように重くて考えさせられるような作品ではなく今回はエンタメ重視の作品を作ったと思います。そして、私もラスト10分位までは楽しく拝見させていただいていたのですが、その10分間の間にアフレック監督はミスをいくつか連発し最高傑作には至りませんでした。
舞台はアメリカ・ボストンにある一角・チャールズタウン。銀行強盗事件が発生し強盗団は女性支店長を誘拐します。彼らはその後も彼女を監視し続けるのですが、彼らのうちの一人ダグ(ベン アフレック)が彼女(レベッカ ホール)と恋におちてしまいます。
注目はベン アフレックとレベッカ ホールとの間に起きるラブストーリー。ダグの友人を演じた「ハートロッカー」のジェレミー レナーの演技。そして、迫力のアクションシーンの数々。
アフレックとホールとのラブストーリーは観た事のあるようでないタイプのラブストーリーでした。変にメロドラマにならず丁度いい感じだったと思います。それからジェレミー レナーの演技は主役のベン アフレックを完全に食う凄まじいものでした。とても「ハートロッカー」と同じ人とは思えませんでした。そして、何と言っても圧巻だったのはアクションシーンの数々。クライマックスの銃撃戦もすごかったのですが、さらによかったのが中盤の「RONIN」を彷彿とさせるカーチェイスです。
しかし、アフレック監督は決定的なミスをラストで犯してしまいました。アフレックとホールとの最後の電話の会話から始まり、海外テレビドラマ「マッドメン」のジョン ハム演じるFBIエージェントの意味不明な台詞へと続き、ラストには「ショーシャンクの空に」を下手に真似したようなエンディングに至り、最後はもうボロボロでした。それだけが残念です。
しかし、全体的にはとても素晴らしい作品だったのでアフレック監督の次回作が楽しみです。