「世界を股に駆けた凡作」ツーリスト 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
世界を股に駆けた凡作
美男美女コンビのどちらがミステリアスで、警察とヤバいヤツらに追われるハメとなり、素人の相方を国家的犯罪に引きずり込み世界各国を旅するアクションサスペンスは、立ち位地が逆だが、去年トム・クルーズ&キャメロン・ディアスの『ナイト&デイズ』が愉快だっただけに、それをシックに大人向けに仕上げたような今作は新鮮味が薄く、平凡な観光シネマに落ち着いてしまった印象だった。
重要参考人に間違えられてしまうジョニー・デップが数学教師である必要性も無いし、黒幕の正体も薄々わかってしまう物語の浅さも致命的だ。
騙し騙される関係性が希薄で、掛け合いにドラマ性が膨らまない。
アンジーに感化され、闘志に目覚めたジョニー・デップが水上アクション場面では活き活きしており、「さすがジャック・スパロウやな」と感心させたのが唯一面白かったかな。
アンジーも大胆に挑発するなら、もっとセクシーに攻めて欲しかった。
デップ&アンジーの個人の存在感を堪能したい場合には、申し分ないが、謎解きサスペンスを期待する映画ファンには意にそぐわない作品である。
では最後に短歌を一首
『蜘蛛の巣を 交わす蝶の 微笑みや 疑惑浮かべし 舞を乞ふ首』
by全竜
それにしても、今作が平和な日本で一番最後に観た映画になるとは思ってもいなかった…。
これ以上、被害が大きくならないことと、いち早い救助・復旧を心より願っています。
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