「ヴェニスの優美さを描きたかっただけのコメディ映画」ツーリスト Tさんの映画レビュー(感想・評価)
ヴェニスの優美さを描きたかっただけのコメディ映画
見事なアクションコメディ映画でした!
この世界の警察はだいたいおマヌケで、(序盤の)人数たくさん置いておきながらエリーズを地下鉄へ逃しちゃったり、配達員やフランクを誤認逮捕しそうになったり。まぁドタバタやって笑わせてくれます。こんなんだから、エリーズもアレクサンダーの正体を警察に教えられなかったのでしょうね、きっと。
しかし製作サイドはコメディにする気は無かったようで、マフィアのおっさん達は結構シリアス。でも警察に潜らせたスパイがアホだったり、ミスった部下をボスが自ら殺すという小悪党っぷりを見せつけたりと、実にほほえましい。そんなんだから、警察に見られていることも知らずに恐喝劇を繰り広げ、最期は銃弾を受けてドリフのようにバタバタ倒されちゃいました。
ラストのどんでん返しは驚いたけど、この設定は視聴者を驚かせるためだけに付けられたもので、ストーリー的には必要ない。というより要らない。「灯台下暗し」を地で行った感じだが、アレクサンダーの姿をみんなの前に晒したせいでマフィアに殺されそうになったり、警察に逮捕されかけたし(実際イタリアで捕まってるが)。
警察から逃れたいのであれば、さっさと納税すれば良いだけだし。マフィアを殲滅したいのであれば、エリーズに正体を明かして2人で行動した方が良かったのでは。
と、突っ込めばキリがないんだけど、おそらく突っ込んではいけない映画なのでしょう。ヴェニスの美しい街並みの中で、美男美女たるA・ジョリーとJ・デップが繰り広げるドタバタコメディという整理で見ておけば、きっと幸せなのだと思う。
だから製作側も変にシリアスにしようとしないで、全部ギャグテイストにしておけば違ったのかもしれないけどね。
あとJ・デップが屋根の上を逃げるシーンは、歩き方がまんまジャック・スパロウで笑ってしまった。