「スタイリッシュというよりコミカル」エンター・ザ・ボイド ikuradonさんの映画レビュー(感想・評価)
スタイリッシュというよりコミカル
「アレックス」で物議を醸したギャスパー・ノエ監督が、SEXとDRUGが輪廻転生するサイケデリックCITY東京を、まるで妖精のように自由に旅をする。
カンヌ国際映画祭で、映画史上最長とも言われる暴力的なレイプシーンのため、1500人の観客のうち約200人が途中で退場したという問題作「アレックス」。今回もやはり衝撃映像は満載だけど、ある角度から見ると、スタイリッシュというよりかなりコミカルな映像が多い。細かく書くとネタバレになるのだけど、洗面所のシーンでは「はは~ん」とちょっと感心するような撮影テクニックも見られる。確かに画だけで見せきる力はあるのかも? 信者は多いだろう。
ただ惜しいと思うのは、この突拍子もない映像世界に、非の打ち所のないストーリーが絡んだらどんなに面白いだろうと思った。ラストも少し笑えるのだけど、言ってしまえばプレディクタブルな展開。尺も長過ぎて疲れてくるから、やがて訪れるラストまで緊張感が続かない。
ドラッグをキメながら見てとは言えないけど、作品を通してドラッグをキメた気分になれたら、もうあなたはギャスパー・ノエWORLDの住人。
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