「談志師匠の死に対する結論が『死神』ならば、イーストウッドの結論は今作である」ヒア アフター 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
談志師匠の死に対する結論が『死神』ならば、イーストウッドの結論は今作である
霊能力者を肯定的・否定的を超えて、ありのままに捉えた手法は、最大のテーマ
「人間は死ぬとどうなるか?」
「真実の死後の世界とは?」
への答えを敢えて避けている。
故にオカルト特有のおどろおどろしい雰囲気や、客を驚かせようとする恐怖描写は一切無い。
霊への関心度の高い人々と主人公が、いかにして出逢い、結びついていくかを丁寧に綴る事に費やす構成と云えよう。
つまり、霊なんぞ信じようが信じまいが、両者が必然的な《需要と供給》であると客を納得させてしまうのだ。
イーストウッドの死に対する結論と評しても良い。
落語で、立川談志師匠の十八番『死神』を聴いた際、
「何で主人公だけ死神が見えるんだ??」
って誰も疑問視しないのと酷似している。
要するに、死後の世界なんて死んでから考えな。
生きてんなら、とりあえず今をじっくり生きてみやがれ。
そういう映画である。
そんな繊細な組み立てが可能なのは、映画の神様の成せる技なのかもしれない。
では最後に短歌を一首
『繋ぐ手の 扉を越える 伝言は 絆綴りし 孤独の傍で』
by全竜
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