「透明感と爽快感。」永遠の僕たち ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
透明感と爽快感。
D・ホッパーの息子、H・ホッパーを今作で初めて観た。
うわ、目が似てる~所在なく泳いでいる落ち着きのない目、
私の大好きなJ・ディーンを師と仰いでいた頃のD・ホッパー、
でもお父さんの方がガタイが良かったな^^;背も高くてねぇ。
良くいえば今風の、相手役のM・ワシコウスカと合わせても
本当にキレイな顔の二人。透明感が抜群。カメラ映えする。
今にも消え入りそうな線の二人を見守るのが同じく細めの^^;
加瀬亮。彼は主人公だけに見える特攻隊の幽霊・ヒロシの役。
彼の英語を初めて聞いた気がするがかなり巧い。しかも自然。
この三人のサラリとした存在感と心地良い音楽に、ふと
この作品は何を描いた映画だったか?なんて思ったほどだ。
葬式ごっこ。とは聞こえが悪いが、他人の葬式を覗き見ると
いう行為で死を感じ取ろうとする若者。(昔の映画でもあった)
幼い頃突然の事故で両親を失い、自身も臨死体験をしていた
彼にとって、生死の境がなんの意味を持つかが分からない。
またその体験で英霊(加瀬くん)が見えるようになってしまった
彼には、もはやこちらの世界で活きようとする活力が見えない。
ところが葬式ごっこの最中、こちら側でとても素敵な女の子を
見つけてしまう。しかし彼女は脳の病で余命幾許もなかった。
「死」を間近で体験したものが囚われる悲しみや後悔、幾ら時を
経てもそれが癒えないのは本人の心持ち以外に治す術がない。
周囲は(つまり世間は)何も変わってはいないのだ。
この、ヘンリーくんが演じるイーノックのイノセンスな言動は
(その理由を知っていれば理解できても)不思議としか映らない。
死期が迫る女の子アナベルにはなにかしら共通の空気というか
お互いにそんなものを感じとったのかも知れない。
急速に惹かれあう二人の恋愛(ごっこ)には遊びの要素ばかりが
強調され、現実逃避癖(ヒロシと話すという)が趣を深めている。
このヒロシがかなり魅力的。
自身が遂げられなかった想いを最後に語るシーンは感動的だ。
そしてこの三角関係は、この三人の抱える想いを支え合う形で
効果を為し、一人の死が二人の生を解き放つ場面が素晴らしい。
決して死を賛美するものでなく、打ちひしがれる悲惨さでもなく、
想いや願いが叶うことの素晴らしさを強調するものになっている。
彼女との日々を思い出すイーノックの微笑みが愛らしい。
(透明感のある素肌には憧れます、今の歳になってからより一層^^;)