「ミュージカル好きならば満足出来たる」バーレスク 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
ミュージカル好きならば満足出来たる
ミュージカルが好きな人ならば、まずまず満足出来る内容。
そもそもミュージカルは何故歌を歌い、踊りを踊るのか?
それにはしっかりとした理由が有るからに他ならない。
元々ショービジネスの世界を描く、バックステージが下地として有るミュージカルの世界。
当然の様に音楽は鳴り、お客さんを前にしてダンサー達は踊り出す。ちゃんとした理由が有る。
本作品はそんな伝統的なバックステージ物を踏襲している為に、作品中に登場する歌も、踊りも違和感が無い。
但しストーリーの他愛の無さも伝統的では有る。主人公のクリスティーナ・アギレラは、恋に歌に…と、成功を夢見る。
シェール演じる“マダム”には認めて貰えず、同僚からは嫌がらせを受け、恋愛もどうなる事やら。
の筈なのだが。
彼女は比較的早い時期に成功を収め。最終的には恋も同僚の妨害も、ご都合主義宜しく簡単に終了してしまうのが…。
また、カメラが絶えず小さく動き回っており。観ていてなかなか落ち着かないのにはちょっと困った。
でも始めの方には、マリリン・モンローが『紳士は金髪がお好き』で歌い踊った♪Diamond Aer a Girl's Best Friend♪が有り。中盤では、資金繰りに悩むシェールが、セリフで『アニーよ銃をとれ』の名曲♪Anithing You Can Do♪での掛け合いの歌詞をそのまま引用する場面が有り…と。ミュージカルファンならばニヤリとする箇所が有って、つい嬉しくなってしまう。
中でも、クリスティーナ・アギレラが予告編でお馴染みの、初めてシェールに認められる場面の歌唱が最大の見所。
そのシェールは、始めの内にダンサーを引き連れて貫禄で歌い。中盤にはバラードも聞かせる。最初は『プラダを着た悪魔』でのメリル・ストリープの様なキャラクターなのかな?と思って観ていた。しかし、彼女は強さと同時に弱さも持ち合わせている人物。それだけに人間味は有るが、『プラダ…』でのメリル・ストリープみたいに、独裁的にも振る舞えない。
ストーリー的には最後にご都合主義が炸裂してしまうのが…ってところですかね。
もしも私がストーリーを考えるならば、早くに成功しステップアップする主人公のクリスティーナ・アギレラを。歌を止め、踊りも止めていたシェールが、(踊れ無い理由が有る)貫禄を見せ付け鼻っ柱を叩き折る。しかし、「あんたはこんな場末(バーレスク)に居る器じゃない!」と、優しく送り出す…。な〜んて話にするのですが。
まぁそれだとやっぱり『プラダを着た悪魔』になっちゃうか(汗)
往年のMGMミュージカル程の楽しさこそ無いが、2時間たっぷりと絢爛豪華に見せてくれる。
ステージでのパフォーマンスや、男女の会話が。ややエッチ系に傾いているので、デートムービーに或る意味向いているかもね♪小さなお子様連れだと親御さんにはドギマギするかも。
(2010年12月18日TOHOシネマズ錦糸町No.6スクリーン))