さんかくのレビュー・感想・評価
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マニキュアと彼氏は同レベル
笑っちゃうほど、痛々しい。あきれながらも、身につまされる。…そしてどこか、憎めない。結局、なんだかんだと応援したくなる。「机のなかみ」「純喫茶磯部」の吉田監督の人間描写には、さらに磨きがかかったようだ。より繊細に、より鋭く、そしてあたたかく。
見えっ張りな彼とその彼女、そして妹。ありきたりな三角関係のラブコメディ…には程遠い。とにかく、出る人出る人、ダメ人間ばかりでぎょっとする。しかも、彼らのやることなすこと、多少なりとも身に覚えのあることばかり。様々な予感が頭の中でふくらみ、目が離せなくなる。
満面の笑顔で友人をマルチに誘う女、卑屈なほど目上におもねる後輩…と、クセ者揃いの脇の面々もさることながら、とにかく、主役3人の対比が心憎い。見るからにダメ男ながら、あまりの不幸続きに、やや右肩上がりに共感(同情?)を誘う百瀬。世話好きなしっかり者と思いきや、いきなり急降下していく佳代。他の作品での二人(たとえば「クローズ」の不良、たとえば「ハッピーフライト」の地上アテンダント)を知っていても、「もしかして、地で演ってる?」と疑ってしまうほどの自然体で、それぞれにダメっぷりを発揮する。(百瀬=高岡に関しては、「最近のあれこれ」が若干かぶるが…。)
対する桃は、こわいもの知らずのぶれない十代。彼女にとっては、姉の「お気に入りのマニキュア」も「同棲中の彼氏」も大差ない。…ちょっと借りただけだよ。いいじゃん、それくらい。お姉ちゃんのものに興味を持つのって、当たり前じゃない?、私、妹だし、まだコドモだし。そんな彼女の声が聞こえてきそうだ。
クセ者同士の絡み合いもさることながら、畑の中を走るヤン車、(多分、「純」がつく)喫茶店でのマルチ勧誘、郊外の大型店舗での商売無関係のぬるいやり取り…と、出来事と場面の取り合わせも絶妙だ。「人ごとじゃない、どこか見た風景」という感覚をくすぐる。もしかして、スクリーンの端っこに自分がいるかも、とそわそわしてしまう。
観終えたとき、「ま、自分には関係ない世界だね」と言い切れる人は、どのくらいいるだろう? そんな人こそ、「さんかく」ワールドの完璧な住人だ。平穏に生きていきたいなら、そんな彼/彼女には御用心!
どこまでも愚かでみっともない物語に感動させられるウルトラC
☆☆☆★ ※ 鑑賞直後のメモから 『机のなかみ』『純喫茶磯辺』の吉...
☆☆☆★
※ 鑑賞直後のメモから
『机のなかみ』『純喫茶磯辺』の吉田恵輔監督の新作は、恋のジャンケンポンの3すくみ状態。
…となれば、当然エロ描写に期待が高まる(笑)
いきなりA K Bの小野恵令奈ちゃんの股間を狙うショットからはいる。
う〜ん…相変わらずだなあ〜(嬉)
『机のなかみ』では鈴木美生ちゃん。『純喫茶磯辺』では麻生久美子と、エロエロな画を撮り続けて来ただけに。まだ映画は始まったばかりなのに、まだまだ期待してよいんでしょうね〜これは。
う〜ん…残念!ちょこちょこっとサービスショットは、入る事は入るものの。以後のサービスはこれまでと違って抑え気味のままだった(泣)
ところで肝心の映画は。主人公の高岡蒼甫が、小野恵令奈の小悪魔攻撃に撃沈してしまう。
そして訪れる田畑智子による攻撃(汗)
とにもかくにも、田畑智子が嵌まり役。
この後は予想通りの話になるのだが…う〜ん、エロが全くなくなってしまったなあ!…あ?いや、元々そうゆう映画ではないですけどね(汗)
映画初出演の小野恵令奈ちゃんですが、可愛い事は可愛いんですが。声が少しダミ声の為に、ところどころで台詞が微妙に聞こえづらく。これだと今後の活躍はちょっと難しいかも…と。今が旬なのは間違いないですが。
吉田監督作品だと。過去の2作品では、ただひたすらにだらしない人物を描いて来ましたが。今回だらしないのはだらしないのだが、人が良すぎてしまい、とこか憎めない男女のカップル。それだけに多くの観客からは共感をうけるかも知れません。吉田監督自身の演出力も、以前と比べるとかなり洗練されて来ているのが分かります。
でも…個人的には、『机のなかみ』の《あの》馬鹿ップルの様な男女の話を期待してしまうんですよね〜。
《あの》2人は『純喫茶磯辺』にもチラッと登場していましたが。『純喫茶…』の主人公だった宮迫同様に描かれていました。
そんなんです!吉田監督ならば、もっともっと〝クズ〟が、更なる〝クズっぷり〟を見せ。だらしない程にだらしない人物像を、観客に向けて面白おかしく活写させてくれるのを期待してしまうのです。
そんな作品を少しだけ期待して観ていただけに。高岡・田畑のコンビだと、人が良過ぎてしまい。ギャグが笑いに転換し切れていない箇所があった様に感じました。
前2作品で、ちょこっとだけ入っていた暴力描写も。鼻血がギャグ的な役割をしていたのに。今回は、リ◯ト◯カ⚪︎トだとちょっと。
これだとどうしても笑いには繋がらないのがねえ…。
…とは言え。多くの人からは共感を呼びそうな気がする事から考えて、これまでよりも高い評価を受けると思います。
ラストショットでの3人の切り替えしを観ても、「この後どうなるのだろう?」と、観客の妄想を掻き立ててくれる事でしょうね。
2010年6月30日 テアトル新宿
小野恵令奈の悪魔的な魅力
こんな男を許したらダメ!
背筋が凍るぐらいに愛おしい
拙ブログより抜粋で。
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すごく面白いです。一風変わったラブコメを観たいなら自信を持ってオススメできる。
ただ、個人的にはちょっと期待しすぎた感があって、もう一息インパクトが欲しかった。
脚本の段階からはっきりとコメディ色だった『純喫茶磯辺』に比べると、良くも悪くも“普通”すぎて。
普通と言っても映画としてありきたりってことじゃなくて、リアリティありすぎて生々しいっていう意味。
タイトルや主役の三人が肩寄せ合うキービジュアルから予想されるであろう、ポップな三角関係はいい意味で裏切られる。
確かにそんな感じの恋模様なんだけど、三角関係未満の一方通行な想いのせめぎ合い。
悪意のない天然小悪魔な桃の思わせぶりな振る舞いに、ちょっとイタいナルシストの百瀬が一方的に熱を上げ、そんな関係に気づいてもいない佳代が、遠のいていく彼の思いを必死に引き留めようとしがみつく。
ほんとにもう、ただそれだけのお話なんだけど、その過程で描かれる、男と女の愚かさとか醜さとかが、もう笑っちゃうしかないぐらい、痛々しくも切ない。そして恐ろしい。
とりあえず男の自分からすると百瀬に肩入れせざるを得ない。
桃みたいな女の子が目の前にいたら、思わずその気になっちゃうだろうなぁって同情するし、幾分めんどくさい女の佳代にしたって、あんだけ献身的にされ、感情をぶつけられれば情も湧くし、守ってあげたくもなる。とどめはあの笑顔でしょ。そりゃコロッとやられますって。
たぶん女性がこの映画を観ても、立場を逆転して百瀬を同じように感じるんじゃないかな。
三人が三人、多少イタいとはいえ、まあまあ普通の人たちなのに、えらくキャラ立ちしてるのがこれまた愉しい。
三人を演じる高岡蒼甫、田畑智子、小野恵令奈それぞれが、ほんとにいい仕事してると思う。
百瀬にしても佳代しても、決して出来のいい人間じゃない。明らかに人間的な欠陥を抱えてるんだけど、それでも惹かれ合う。
憎たらしい相手であっても心配してしまう、優しくしてしまう。そうやってどこか欠けた者同士が支え合うのが人間だよね、って好意的に受け止めさせる幸福感がこの映画にはあるの。まさに人間賛歌。
付け加えると、エンディングに流れる主題歌『空が白くてさ』のアコースティックな響きが、ラストに見せる田畑智子の笑顔とともに非常に心地よく、余韻を残す後味がすこぶる良い。
それにしても田畑智子さん、あんたは素晴らしいよ。いい女優さんだ。
前々からお気に入りの方だったけど、これまでで一番輝いていたんじゃなかろうか。
一見普通に素敵な女性なのに、一途な愛情が徐々にあらぬ方向にずれていく可愛らしさといったら、背筋が凍るぐらいに愛おしい。
そしてラストのあの微笑みでしょ、まんまと惚れ直しました。ああ女って恐ろしい。
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