ザ・ウォーカーのレビュー・感想・評価
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日本人には理解し難い主題です。
何らかの原因に依って文明が崩壊してしまっている社会が舞台。
とは言うものの、“何らか”が示すものは、核戦争である事を映像的に表現しています。“何らか”と記したのは、明示的に台詞として語られていなかったから。冒頭のシーンから、核の灰の降るシーンですからねぇ。って言うか、デンゼル・ワシントン演じるイーライが、防護服を持っているのは、不思議でした。物凄く腕が立つので、元々兵士か何かと勝手に想像していたら、何と、Kマートの店員だったりしていました。
原題は“The Book of Eli”。見終わって考えてみると、欧米人的には原題が、本当にピッタリですね。でも、日本人の間隔では、恐らく理解できず・・・。なので“ザ・ウォーカー”と言う、微妙にポイントをずらしたタイトルに成っているのだと思います。
さて、そのポイントとなっている【本】ですが、何の本であるかは、敢えてここでは記しません。欧米人にとっては大切な本ですが、日本人の多くは共感できないと言うことだけ記しておきます。
核戦争後の世界を描いた作品は数多いですが、何故今、核戦争後の世界を描いたんでしょう? そして、何故、あの本なんでしょうね? ちょっと気になったのは「本が戦争の原因ともなった」と言うイーライの言葉。それは今の、イラクやアフガニスタンの事(アメリカが本の方の立場であって、イラクやアフガニスタンがそれに対抗する側ということ)を暗示しているんですかね?
あ、そうそう。物語の最後に、イーライが、物凄く嗅覚や聴覚に優れている理由(と言っていいと思う)が明らかになります。その後の件では、ある意味イーライ自身が本になっています。って言うか、セリフ的にもそう言っているし。
何れにしても、日本人の間隔では結構不思議な内容です。日本では、万人受けする作品では無いですね。
その本の行方は。
ああああ、ああ、そうか。そういうことかぁ…。
ラスト付近で、全てのことが腑に落ちた瞬間に感じた、自分の心の裡です。
この映画、基本的には謎や秘密を内包した作品内容ではあるんだけども、それを特色にしてる訳でもなく、主人公イーライが30年間運び続ける「本」の正体も序盤でアッサリ明かされるし、純粋にアクション映画だし、まあ何と言うか、中盤のクライマックス過ぎた辺りで『普通』だなあと。
しかし最後の最後、唸らせられたんです。
嗚呼成程…そうだったのか、と。
自分が唸った“それ”が、物語の内容にどれほど重要だったのか?というと、それ程でもないだろうし、善対悪の構図と結末も、しっかりと丹念に描かれているわけでもないけど、何か心の真にズシンと重いものが残りました。
少し自分には高尚過ぎたかもしれません。それとも宗教観的なものかな?
なかなかの映像体験でした。
センスが良い映像と、謎多き脚本
キャラが弱い
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