トロッコのレビュー・感想・評価
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自分の居場所。
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今作のベースが芥川龍之介の短編だとは知らなかった。
かなり設定が違うので、トロッコを押す少年たちの成長…という以外は
別物という感じもするが^^;しかし少年(長男)の想う日本と台湾の距離、
祖父と父、そして自分の居場所について考えるいい機会になっている。
台湾人の父が急死、母親と遺骨を持って台湾に渡る幼い兄弟。台湾では
日本語を話す祖父と読めないけれど話せる祖母など、日本をして、
彼らを手厚く迎えてくれる人ばかり。反日感情などまったく感じられない。
だから後半の「軍人恩給欠格通知書」には日本の酷い対応に唖然とする。
国籍を持たずして日本のために戦った軍人にこういうことなのかと。
全編を通してリー・ピンビンのカメラが豊かな森林風景を描き出している。
後半のクライマックスではそれが妖しく不気味な様相を見せるのが巧い。
父の田舎で様々な体験をし、日本では母親に怒られてばかりいた長男が
ひとまわり成長する。自分が何人かよりも母親に抱きしめられ窒息しそう
に泣いている彼の方が説得力がある。ただ自分の居場所が欲しかったのだ。
(思春期の男の子ってホント難しい。その成長を見守ってやらなければね)
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