「映像だけでも感動できることを知った」アンストッパブル(2010) gsacraさんの映画レビュー(感想・評価)
映像だけでも感動できることを知った
トニー・スコット監督の特徴として「スタイリッシュでスリリングな映像美」がよく取り上げられる。古くは「トップガン」の空中戦、最近では「サブウェイ123」での静かながら緊迫感溢れる画面作りなどがあるのだが、本作は映像だけで一本の映画としての完成度をどこまで高められるか、という挑戦を行ったように感じられた。
あらすじは2~3行で終わってしまうシンプルさ。アメリカ国内で、操縦士の単純なミスから、40両以上連結した機関車が時速100km以上で暴走。たまたま居合わせたベテラン操縦士(デンゼル・ワシントン)と若手車掌(クリス・パイン)が大惨事を食い止めるために奮闘する、というもの。
テロや何かといった伏線を読むような小難しい設定は一切無し。これ以上無いくらい単純なお話だ。しかし、最後までスクリーンから目が離せない。画面のテンポがリズミカルで、遠近・静止と動き・画面の回転など、あらゆる構図から次々と繰り出される映像に自然と気分も高揚し、ドキドキしながら見入ってしまった。
よ~く考えてみると、デンゼル・ワシントンやクリス・パインのアクションシーンは殆ど無いのに、「すごかったなぁ!」という感想が湧き出てくる、手に汗握る快作に仕上がっているあたり、トニー・スコットの挑戦が成功したといえそうだ。
かなり引き込まれていたのだろう、最後には思わず目頭が熱くなってしまった。2011年の当たり一本目である。
素晴らしい評論でした!
特に下から3~2行目、ちょっと思いつかんかったです。仰られてみて初めて気がつきました、確かにデンゼルもクリスもアクションらしいアクションなんて何もなかったです、にもかかわらずあれだけの臨場感・緊迫感、述べてみえる通り、やはりトニースコットの作品なんですね!
せめてgsacraさんの麓ぐらいまではたどり着けるよう、僕も精進に務めたいと思うのですが…、知識はもとより、根本的なセンスではるか劣ってるので…。
目からうろこの好レビュー、とても勉強になりました、ありがとうございました。