「ほぼ傑作。ほぼ黒澤明。」アンストッパブル(2010) わしのネタを映画化せいや!さんの映画レビュー(感想・評価)
ほぼ傑作。ほぼ黒澤明。
なんといってもネタがいいですね。黒澤明の暴走機関車にインスパイヤーされたのでしょうか?夢中になって見れました。
というか、これはほぼほぼ黒澤明の脚本。「暴走機関車」です。黒澤明はハリウッド第一作として1965年ごろ、この脚本も書きました。私はそれを図書館で読みました。乗ってる人の人格や状況、環境が違うだけで、機関車自体がどういう危ない目にあって、どうそれを回避するかというところらへんは、黒澤明と菊島隆三が書いた脚本とほとんど同じです。機関車が暴走して危ないことがあったという事実がなかったのなら、これは黒沢明原作ということになっていたでしょう。黒澤明のその脚本は?・・機関車にの取り残された2人がとっても典型的なベタなギャングって感じで。ま、素人が読んでもすぐ直さなきゃいけないと分かる部分です。それで、ハリウッドのスタッフたちが描き直した脚本を黒澤明のところに持ってきたのですね。これでお願いしますといったんですけどね。黒澤明はそれを頑なに断ったそうです。それで、こんな難しい人は仕事ができないということで。黒澤明、ハリウッドでこけちゃったんですね。ということで、私はこのunstoppableの脚本はそのときハリウッドのスタッフが持ってきた脚本ではないか?とさえ思ったりします。とにかく。機関車が暴走したというネタから映画が作れるという発想をしたところがすごいですね。
トニースコットの間違いのない演出。デンゼルワシントンともう一人のバックグラウンド物語がちょうどこの暴走機関車というネタにぴったりで。2人にとっても代表作の一つになっていると思います。
私は黒沢明のファンなので、これを見て面白いと思った方はもう一本、黒沢明監督を観ていただき、一つでも傑作を発見していただけたら嬉しいなぁと思います。