「《簡略化》に努める映画の魔術」ナイト&デイ 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
《簡略化》に努める映画の魔術
冒頭にていきなり有り得ない位の国家権力が炸裂。せっかくトム・クルーズがキャメロン・ディアスに、後々「忠告した」と語ったのに…。
そりや気が付かんわさ(笑)
更にオリエント急行ネタを会話に忍ばせて加えるが…。
そりや気が付かんわさ(笑)
内容自体は全く違うし、題名すら思い出せ無いのだけれど。その昔日曜映画劇場で放送された映画で、内容は朧気に覚えているだけだが、飛行機に乗っている乗客全員が主人公を残して全員死んでしまう。そして死んだと思っていた乗客の1人が実は…。確かそんな内容だと思うのだが…。
何故そんな昔の映画の事を…と言うと。この作品が複雑になりそうなところで、《省略》《省略》《また省略》って位に、絶えず簡略化に努めているからに他ならない。
昔の映画は上映時間を、長くても90分以内に収める努力をしていたからなのですが。その簡略化を進める為に編み出された工夫が、この作品で言うとサイモンが発明した《永久電池》。これを、昔のサスペンス映画になぞらえれば“マクガフィン”と呼ばれる、作品を最後まで引っ張る象徴としての手法。
もう1つこの作品には、やはり昔の冒険アクション映画によく有った簡略化の1つで、場面やカットが変わったら“いつの間にか危機を脱出している”とゆう演出を、何度も臆面も無くやっている点です。
この場合、その簡略化を納得させるだけのスーパーヒーロー振りが主人公に備わっているのかどうか?が決め手になって来るのですが。
その為か?いきなりの飛行機のアクションに続いて、例えCG補正されているとは言え、強烈無比なカーアクションで一気に観客のドキドキ感を鷲掴みにする。まるでその後の“お約束”は「察してくれ!」と言わんばかりに。何しろセガール以上に銃弾の方からトム・クルーズを避けてるんじゃないか?って位ですからねえ〜(笑)
流石にその演出意図を理解しつつも、かなり強引だなあ〜と感じない訳では無いですけどね(苦笑)
そしてこの手のスパイアクション映画には最早欠かせない、裏切り行為及び「やっぱりお前か〜!!」が当然の様に提示される。これも1つの“お約束”だ(笑)
途中幾度か挿入されるトム・クルーズの謎も最後にはすっきりと回収され、さあ後はヒーロー&ヒロインが力を1つにして悪と対峙する時だ!
この時にそれまでの立場を逆転させ、対象として描く辺りが粋な内容だった。
ところで、トム・クルーズのアクションで個人的に1番好きな点は《全力疾走》と《ジャンプ》しての飛び着きアクション。この時の姿勢が実に良い。美しいのだ。
どれ位美しいかと例えると。今まさにバックドロップを喰らう越中詩郎が、受け身を意識するが故に、空中姿勢で早々と右手で受け身の態勢に入る時の右手の角度位。…と書き込めば、解る人には解るってもんでしょう(笑)
段々とCGの氾濫によって、生身のアクション映画が少しずつ衰えて行くハリウッド映画に有っても、まだまだアイデア次第では面白い作品が作れる見本の様な映画でした。楽しかったです。
それにしてもアントニオ・キンター○(爆)
(2010年10月18日TOHOシネマズ日劇 1 )