「キャメロンは眠らされるが、こっちは眠るヒマがない」ナイト&デイ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
キャメロンは眠らされるが、こっちは眠るヒマがない
でたらめな展開である。つまらないというのではない。まるで手品でも見ているような、突拍子もない、強引で目くらましな展開なのだ。
常識を覆すほどのエネルギー革命をもたらす発明品を巡って、追われるものと追うもの、闇商人まで絡んだスパイものなのだが、舞台はヨーロッパ中の観光スポットを駆け巡る。なんだ007のノリかと思われるかもしれないが、それは大間違い。危機一髪、ここでどうしようってな都合が悪くなると、いきなりキャメロン・ディアスが眠らされて、その隙に次の舞台にドーンと移動してしまう強引さだ。観てるこっちもキャメロン・ディアス状態で、何が何だか分からないまま誤魔化される。それがちっとも不愉快じゃない。これは手品というしかないでしょ。
この不愉快に思うか、リズミカルな魔法と思うかは、個人差があるところだが、なんにでもツッコミを入れたがる御仁には無理とだけ言っておきたい。
突っ込むならいくらでもネタはあるよー。トムは背中に磁石でもついてるのかと思えるほど、車の屋根からぜーったいに落ちない!(笑)
こんなこんなのでたらめな展開も、まともに観ていられるのは、トムとキャメロン、ふたりの魅力と貫禄勝ちだ。爽やかな瞳と笑顔がちょっと褪せてきたトムとはいえ、ほかに誰がこんな脳天気なヒーローを演ります? ちょっと目尻のシワが・・・と気になってきたキャメロンにしても、こんな巻き込まれ方のヒロインを演れる女優といったらほかにサンドラ・ブロックぐらいでしょ。でも、トムとのベストマッチを考えたらキャメロンに軍配だ。
ここにピーター・サースガードというシリアスな悪役をタネに仕込んだから、手品が失敗せずにすんだのだ。
トムが駆るバイクの上で、キャメロンが逆乗りで後方の敵を銃撃するアイデアは、「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」で、ピアース・ブロスナンとミシェル・ヨーがすでに披露ずみだが、トム&キャメロン組の方がスピード感があってセクシーだ。
アメリカも男女逆転現象が起きているのか、土壇場の危機を乗り越え、最後においしいところをさらっていくのは女なのだ。そういや「Mi:III」もそうだった。