劇場公開日 2010年7月10日

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「まがい物」プレデターズ かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0まがい物

2010年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

拙ブログより抜粋で。
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 大好きな『プレデター』シリーズの新作ということでめいっぱい期待して観たんだが、こりゃないわ。がっかり。

 シリーズ旧作のイメージをなぞってはいるが、まったく別のまがい物と化している。悲しいかな舞台が地球から未知の惑星に移った時点でそう気づくべきだった。
 そういう意味では、プレデターのキャラクターにこだわりが無い方が楽しめると思う。旧作を未見で本作を観ても、鑑賞にはまったく支障ないです。
 ただ、詐欺まがいの嘘っぱち予告編が火に油を注いで怒り心頭だったことは付け加えておく。

(中略)

 凄腕の殺し屋たちがなんのためらいもなくもなく自己紹介し合うといった、あっけにとられる「なんじゃそりゃ」の多いご都合主義展開は今さら責める気もしない。
 この映画でなにより不満なのは、もっと根本的なところだから。

 今回活躍するプレデターズ(複数形)は、1987年版『プレデター』(以降、1)でシュワちゃんと闘ったプレデターとは別の種族という位置づけの一回り大柄な“スーパー・プレデター”。
 旧来のプレデターも対立部族として1体だけ登場するが、完全に無様な捨て駒扱いで、ほとんど活躍の場がない。
 で、このスーパー・プレデターが諸悪の根源で、姿こそ旧プレデターと似せてあるが、まるでプレデターらしさが感じられない、ただの殺人モンスター。プレデターの光学迷彩機能付き特殊マスクより、殺人鬼ジェイソンのホッケーマスクの方が似合いそうなんだもの。
 1の舞台、密林のジャングルを意識しながらも、設定的になんでもアリの異なる星を舞台とし、似て非なるスーパー・プレデターが主役。これはもう『プレデター』じゃないですって。

(中略)

 それがこの『プレデターズ』ではどうだ。
 1を踏襲したBGMに、1同様ジャングルを舞台にしたり、1に出ていた兵器を出したりして、旧作に敬意を払うフリをしているが、人気キャラクターを軸にするシリーズものには必須の、そのキャラクターに対する愛が致命的に欠落。旧プレデターの扱いがなによりそれを立証しているではないか。

(中略)

 旧作のイメージをリセットして新しいことをやりたいなら、旧作を凌駕するアイデアを絞り出しなさいよ。
 ただ背を高くしただけのニュー・プレデターに、それだけじゃつまらんからと加えたペット・クリーチャーで目新しさを狙ってはいるが、どうにも発想力が貧相。
 どうして地球じゃだめだったのよ。どうして旧プレデターのままじゃだめだったのよ。どうして野生の虎や猪じゃだめだったのよ。
 地球で本家プレデターで虎や猪だとつまらないって程度の話なら、場所設定変えて外見や動物変えたぐらいじゃ、やっぱりつまらんのだよ。

かみぃ
浮遊きびなごさんのコメント
2010年7月17日

成る程、納得です。

プレデターなりの“狩りの美学”みたいなものは確かに『1』でも垣間見えますよね。だからこそ人気シリーズに成り得た訳だし、シリーズ4作で築き上げられてきたプレデター像が好きだというファンは多いですよね。
むしろ僕みたいに、今作を純粋に『1』のみの延長線上にある作品として観たという人間の方が少数派なのかも。

まあ僕も『ゴジラ映画だと思ってたら松岡昌宏が主人公の安いSFアクションだった』みたいな感じなら怒りますしねぇ。どの映画とは言いませんけど(言ってるも同然か)。

あとは80年代と地続きな感じの淡白なアクション演出を『地味』と捉えるか、説明の少ない人物描写・ストーリー展開を気に入るかどうか。その辺が評価の分かれ目なのかなぁ……。
僕はこれくらいシンプルな方が好みなんです。

ところで自分、未だに自宅にネット環境が無い“割りとアナログ人間”です。それ故ブログ等を読む機会もなかなか無いのですが、更に過激な方のレビューも(笑)近く読ませてもらいますね。

てことで、次回のレビューも楽しみにしてます!

浮遊きびなご
2010年7月15日

◆きびなごさん
コメントありがとうございます。
ここに上げたのはブログから抜粋しているので省略してしまっているのですが、僕には2以降の肉付けも1をふまえた上で納得いくものだったんです。
ヒロイックになりすぎと言われるのもわからないでもないんですが、1にもその片鱗はありました。
(その辺の思い入れはブログの方に書いてあります。よかったら読んでみてください。ここに上げたのよりもっと過激ですが(汗))
2以降の製作者とはその部分を共通認識として持ててたんだと思います。

そんな自分みたいなファンからすると、新プレデターは別種族と言えば聞こえはいいですが、要は旧プレデターとは別物です。
製作者にもそういう認識があったからこそ、別種族を仕立てたんじゃないでしょうか。
今回の製作者たちが新しいシリーズは純粋に邪悪なプレデターでいくというならそれでも構わないんです。
ただ、ヒロイックな旧プレデターが好きなファンがいるのをわかっていながら、この作品の中での旧プレデターの扱いはあまりにひどくないか、ってことです。
ウルトラセブンの映画を観に行ったらウルトラマンメビウスが主役の映画で、さらにセブンは雑魚キャラ扱いだったとなれば、メビウスが良いか悪いか以前に怒りますって。
世代交代目的で最終的に新プレデターが旧プレデターを打ち負かしてもいいけど、最後の花道ぐらい用意してほしかった。
こんな扱いをするぐらいなら、最初っから旧プレデターは出さずにいてくれた方が外伝的に楽しめたと思います。

まあ、ヒロイックな旧プレデターが好きなファンの偏った見方かもしれませんが。
ただ付け加えると、旧プレデターへの思い入れ抜きにしても、この映画の出来は良くなかったと思っています。
僕的には旧プレデターへの思い入れのマイナスを抜いてもせいぜい2.0~2.5点がいいところでした。

かみぃ
浮遊きびなごさんのコメント
2010年7月15日

かみぃさん、いつもレビュー読ませてもらってます。

いつもながら手厳しいレビューですね(笑)。
自分、過去のシリーズは『AVP2』以外は繰り返し観ていてそれなりに思い入れもありますが、今回のはかなり楽しめましたよ。

『2』以降のプレデターは騎士道精神やスタイリッシュな武具も追加されて格好良いキャラではあるんですが、それは飽くまで『2』以降肉付けされたイメージであって、特にここ最近はヒロイックなイメージが強調され過ぎてるとも感じるんですね、自分は。

個人的にゃ『1』の残虐無比で理不尽なプレデターが一番好きなんです。シュワちゃんをボコボコにする時や自爆する時だって、「獲物のクセにテメェ調子乗りやがって」みたいな傲慢さが見え隠れしてるし、今回はそういう悪辣な面がカムバックしてくれたのが嬉しかった。

宣伝じゃスーパープレデターなんて煽り立ててますが、あれも劇中じゃ新種族とか上級種というよりは単に別部族くらいの扱いですし、『1』のプレデターもあれぐらいの悪玉だったと思います(まあ正直、デザインをあんなに変える必要は無いとは思いましたけれど)。

とまあ何が言いたいかというと、今回は作り手が求めたプレデター像が違うだけで、まがい物のレッテルを貼るのはちと手厳し過ぎるかなぁ、と。
新味が無いとか2010年の映画にしちゃ地味だとかの欠点はありますが、彼らなりに作品へ愛情注いでくれてると思った訳です。

「そんな意見のファンもいるかも」てなくらいで聞き流して貰えれば。
長々と失礼しました。

浮遊きびなご