「ゲッコーの娘がストーン監督の娼婦みたい」ウォール・ストリート あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲッコーの娘がストーン監督の娼婦みたい
2010年アメリカ映画。133分。2011年5本目の作品。前作「ウォール街」から20年後、リーマンショック後に作られた作品だけになかなかタイムリーな作品。本作でゲッコーがどんな弁舌をふるうかが1つの楽しみだった。
内容は;
1,インサイダー取引の罪を問われ刑務所にいたゲッコーがようやく釈放される。
2,今ではすっかり大人になった彼の娘の婚約者は何の因果か金融マン。
3,婚約者の実父であり金融のカリスマであるゲッコーに、男は引力のように引き寄せられていく。
昨今の時代背景もあり、本作は見所満載の作品になるはずだった。確かにゲッコーの描き方は相変わらず凄みがあり、本作での金融の世界に魂を売った姿をみるとほとんどモンスター。「空売り」の攻防の描写なんかは、金融について詳しくない人からすると勉強になるし、スリリング。
それでも明らかに前作とは違う。それは結局、本作がありがちなメロドラマだったことであり、特に娘の描き方が不自然というか、ストーリーの展開を都合良くするために操り人形のよう。特にエンディングなんかはスクリーンにむかってトイレットペーパーロールを投げつけたくなるくらい腹立たしい。
オリバー・ストーン監督のここ数作を観てるとすっかり落ち目になっているのは承知していたが、今作ではかつての威勢の良さも消え失せ、ひたすら観客に媚びる描写ばかり。
マネーとは一体何なのかという1つの回答も、ダーウィンの進化論にかけあわせて提示されていた。しかし本作の問題のエンディングを観ると、人間は退化しているとしか思えませんでした。
期待していただけにガッカリ度底なしでした。
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