劇場公開日 2010年11月6日

「15歳の少女バロットとネズミのウフコックの会話は、ハードボイルド小説のよう」マルドゥック・スクランブル 圧縮 aotokageさんの映画レビュー(感想・評価)

3.515歳の少女バロットとネズミのウフコックの会話は、ハードボイルド小説のよう

2010年11月11日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

難しい

原作は、沖方丁の人気SF小説。「蒼穹のファフナー」などアニメ制作にも関わる原作者が脚本も手掛ける。
原作の過激な暴力や性描写のため、アニメ化は難しく、一度企画も流れたらしい。
今回も何とかPG12で公開にこぎつけた。

原作未読、映画を見た感じでは、舞台は近未来で、宇宙にも進出し、大きな戦争もあったらしい。「ブレードランナー」で描かれた世界に近いか
遺伝子工学やサイボーグなどのテクノロジーが発達する(使用は制限されている)。
中でも、ネズミ型の万能兵器ウフコックは、魔法のような超テクノロジー。
ラジオやパソコンのマウス?などあらゆるものに変身できて、人語も操り博識で哲学さえも理解してる。

悲惨な生い立ちで娼婦に身を落としていた15歳の少女バロット(声・林原めぐみ)は、若くてハンサムなカジノ経営者シェルに拾われて庇護を受けていたものの、ある一言が(脳にトラブルを抱える)彼を激怒させ、残酷なやり方で殺されかける。
シェルの犯罪を追ってるドクターイーストらに助けられた瀕死のバロットは、禁じられた特殊技術を施され蘇った。
その代償として、シェルを裁く法廷に証人として立つ一方、ウフコック(声・八嶋智人)が護衛につくだけでなく自らも射撃など身を守る術の訓練を受ける。
法廷を有利にすすめるシェルだが、殺し屋たちも雇いバロットの抹殺を計る…。

バロットを護衛するため、四六時中行動を共にする万能兵器ウフコック。
金色のリアルなネズミの姿から(トッポジージョのような)シャツに吊りズボンのマスコットのようなカッコウをしたり、もっとすごいものに変身したりもする。

15歳の少女バロットとネズミのウフコックの会話は、ハードボイルド小説のようで、ときに哲学的でもある。
原作者が、映画「レオン」の影響を受けたとの話もあり、男と女の関係を思わせるようなところもある。

全体の画がアニメ「攻殻機動隊」のようだが、雰囲気は、ヒロインが出ない「イノセント」のようなハードボイルド色が濃い。
そういうのが好きな人には、おすすめ。
三部作で今回のラストもいいところで終わってしまってる。

aotokage