大奥 : インタビュー
柴咲コウ、初挑戦で払拭した時代劇への“無関心”
「嵐」の二宮和也と柴咲コウの初共演で、よしながふみの人気漫画を実写映画化する「大奥」が、10月1日から公開される。柴咲が演じるのは、3000人の美男子が仕え、嫉妬(しっと)と陰謀が渦巻く“男の園”に君臨する八代将軍・吉宗。時代劇に初出演して体感したこと、そして将来の展望について話を聞いた。(取材・文:編集部、写真:堀弥生)
同作は、ナゾの疫病による男の人口激減により、男女の役割が逆転した江戸時代が舞台になる。柴咲扮する吉宗は、し烈な御三家の跡目争いを勝ち抜いた女傑で、質素倹約を打ち出して政治の抜本的改革に果敢に挑むという役どころ。時代劇初挑戦となった当の本人は、「男だの、女だのってカテゴリーをつけて浮き彫りになってくるものもありますけど、性別なんて関係ないじゃんって思いましたね。個人的には『イヤだな』『もっとシンプルにいきたいな』と感じました」と“男女逆転”というフレーズを気にすることなく、どこまでも自然体だ。
柴咲は、他キャストよりも1カ月遅れの5月20日に京都・太秦の東映京都撮影所にクランクイン。選りすぐりの美男子によって構成される「お目見え」約50人がひれ伏す御鈴廊下で、将軍就任後、初の「朝の総触れ」に臨むシーンを撮影した。その前夜、メガホンをとった金子文紀監督との打ち合わせで、吉宗を演じるうえでのキーワードが「絶対」であると伝えられている。
「大奥って世界を描くうえでは、否が応にも男だ女だっていうものを見せないと成立しないと思うんですが、吉宗は一番遠いところにいるべきかなと感じました。監督からは、一度決めたら何が何でも信念を曲げずに突き通す人っていうキャラクター設定を聞かされました。そのときに言っていたのが“絶対”。言葉にはしなかったけれど、監督が求めているのは『愛』だと思いましたね」
金子監督からの説明をそしゃくした柴咲は、パステル調の絢爛豪華な裃(かみしも)、長袴(ながばかま)を身にまとった面々を見わたし「何とまあ、バカバカしいほど着飾った男どもだ」と言い放つ。
柴咲にとっての“絶対”とは何なのだろうか。「私はふだん、絶対という言葉を使うときは否定的なんですよ。『絶対に無理』『絶対にできない』って感じで、ポジティブな状況では使わないですね。『絶対とは言い切れないじゃん!』と思っちゃうんですよ。可能性って無限にあるし、自分の選択次第で、運命って切り開いていくものだと感じているので」