「映画も半人前」きな子 見習い警察犬の物語 かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
映画も半人前
拙ブログより抜粋で。
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予告から予想された通りの、感動のクライマックスが涙を誘うオーソドックスな感動ストーリーで、お話的には驚くような発見はない。
けど、まるで才覚を見せない見習い警察犬きな子のおとぼけぶりはかわいらしいし、きな子を立派な警察犬にしようとがむしゃらに頑張る杏子を演じた夏帆のキュートさも、やっぱり魅力的。
番場所長の娘・新奈を演じた大野百花ちゃんがなかなかの曲者で、一見幼い彼女の容赦のない突っ込みに何度も笑わされた。
その上、感動のクライマックスでもおいしいところをかっさらってしまう役得。
ある意味、主役の夏帆以上の存在感で、思わず鑑賞後に、この子、誰だ?って調べてしまったよ。今後の活躍に注目。
実在の見習い犬がモデルのためか、オーソドックスなお話なんだけど、王道の大団円とはいかなかった印象。
本来なら、きな子が晴れて警察犬になれるかどうかが最後の山場であるべきのような気がするんだけど、そうはなっていないのよね。盛り上げどころが微妙に的を外してしまった感じで、そこがちょっともったいない。
一方で、警察犬には向いていないと言われたきな子を、あえて警察犬に育てようとするのは、実は杏子のひとりよがりかもしれない。そんなことを考えさせる場面もある。
そういった切り口で攻めるならそれもアリなんだけど、それとて最後はあやふやのまま終わってしまい、作品の芯とはなりえなかった。
感動のクライマックスが盛り上がりきらずに、案外あっさり感じたのは、そのエピソードがありきたりという以前に、杏子ときな子の信頼関係をテーマに掲げたはいいが、心揺さぶるほどの確固たる主張が見えてこないせいもあるんじゃなかろうか。
山本裕典が演じた先輩訓練士・田代のエピソードも、ちょっと脱線気味。
番場所長の示す態度など、いい話だとは思うんだけど、この作品の中では浮いていたと言わざるを得ない。
このエピソードも含め、全体的に“警察犬”の話に成りきれていないのよ。