カラフルのレビュー・感想・評価
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嫌いにはなれない
低評価なのが何故か分からない。
等々力と二子玉川の間で、輪廻転生の意味を問う
けっこう重い作品だ。アニメでいいのか、中学生が主人公なのだが中学生にわかるのか、と見ながら思うときもあった。しかし、見たあとには心に爽やかな風が吹きこんだような、とてもいい気持ちにさせてくれた。今年の日本映画、最大の注目作かもしれない。
この作品は、自殺した男の魂が、天国へ向かう寸前に、もう一度やり直す機会を与えられて、同じく自殺した男子中学生の身体に宿ることになる、という、なんと輪廻転生の物語だ。そんなインド仏教観のようなところから始まるせいか、最初は、これは仏教でいうと何なのか、というようなものを気にしながら観ていた。たとえば、この世に戻った魂を導くマセガキのような子どもは、地蔵菩薩なのか八部衆なのか、なんていうふうに(そこまでの存在感はないかもしれなかったが)……。
それがこの作品を重いと感じた要因ではない。この作品には、若年の自殺の意味するものを、中学生の周囲からのさまざまな視点からとらえようとしている点だ。それは同時に、輪廻というものにも言及している。
自殺から生き返った中学生は、新しい魂を得て、以前とはどこか違う人間になろうとする。しかし、そうすることで、さらに周囲からの目線は厳しくなり、自分も周囲にとけ込めず、さらに浮き上がってしまう。それが本来の輪廻転生なのかどうか。
人間というのは、そう簡単に生き方や人間性など変えられるものではない。だから、自分のことが嫌いで、死んで生まれ変わったとしても自分は変えられないものだ。だからこそ、自殺ではなく、自分をさらけ出して人と付き合い、理解者、友人を得て、人は成長するもの、ということを、この作品は一貫して主人公や観客に問う。そして、その回答のようなものを感じたとき、主人公と同じように爽やかな気持ちになって前を向きたくなる。そして、もし本当に人間に輪廻があるのなら、またふたたび、それまでの自分を生きることに一生を費やすべきと、この作品は教えてくれているような気がする。カラフルとは、個々の人間を意味したタイトルだが、この作品を見ると自分の色が好きになる、だから見たあとの気分が良くなるのである。
この作品には注目すべき点が多いのだが、何より面白いのは、等々力と二子玉川をかなりフィーチャーしている点だ。特に、二子玉川は道筋の一本一本まで再現して見せているのには、原恵一監督以下の凝り性に感服させられた。
さらに、世田谷の路面電車が出てくるのにも驚かされたが、映画オタクの私個人的には、昔の成瀬巳喜男の映画を思い起こさせた。成瀬は砧の撮影所付近に住んでいたこともあってか、ときどき撮影現場が世田谷路面電車のそば、ということが多かった。
世田谷を舞台にした成瀬の作品には、さまざまな家族が描かれていた。特に、夫婦の気持ちのすれ違い、というものには、成瀬一流の演出が見られたが、親子関係に関しては、愛情の豊かさのみだったと思う。その代表作が「おかあさん」だ。「カラフル」に登場する家族は、成瀬が描いてきたものとは真逆だ。路面電車が出てくる作品でもまったく違うテイストのものが創られる、というのには、日本映画の歴史、日本の家族の変遷を思わずにはいられなかった
思ったよりよかった…
良作だと思う。
俳優が声の出演をする是非もあるが、本作品はまぁよかったのでは?!
麻生久美子は上手だし、宮崎あおいもなかなかよかった(あまり予習しないで鑑賞したので、エンドロール見て初めて分かった)。
原作を読んで、一年間くらい開けてからDVDで鑑賞。
オチを知ってしまった状態で見始めたので、伏線を探しながらの嫌な鑑賞法になってしまったが、それでも面白く鑑賞できた。
不満なのは次の2点。
①背景の実写がよくない。
作品全体を通して、淡くも光溢れるような絵にしたかったのかと思う。15歳の少年の繊細さが表現できていてよいと思う。であるからこそ、背景まで丁寧に描いて欲しかった。安易に写真を取り込んだり、それに収まらず動画を取り込んだり(?)して欲しくなかった。
②真の心理描写をもう少し丁寧にしてもよかった。
最後の方の、人生はカラフルであること、そして自分が前世(?)で犯した“罪”に気付く場面が描けていなかった。なぜそこまで考えるにいたったか、あるいはそのきっかけは何だったのか、少しわかりづらい。
原作読んでいないと、分かりづらい映画ってことになります。
良くも悪くも学校の道徳の時間に使われる映画みたい
主人公はプラプラという天使?に案内され、自殺した真という少年になってもう一度だけ人生をやり直すチャンスを与えられ…というストーリー。
途中で主人公が誰かはうすうす解ってしまうけど、家族や友達との絆が丁寧に描かれていて素直に感動できる仕上がり。
でも背景の写真のようなタッチに比べて人物の描き方がどうなんだろう?と思ってしまった…。全体的に肌の色が沈んでいて暗い感じ。
それからプラプラの関西弁…。関西弁を強調してるのかもしれないけどちょっと違和感。
いじめ、援交、不倫、自殺…それらの問題を描いてラストは感動的…ではあるんだけど、ちょっとオーソドックス過ぎて深いところまで感動…とはいかなかった。真の心の痛みがイマイチ感じられなかったし。大人からの道徳的なメッセージが鼻につくといった感じ。
明暗
人間ドラマの名手・原恵一
各アニメ監督には、それぞれ特徴がある。
宮崎駿は圧倒的なエンターテイメント性、押井守は哲学的とも言える独自の世界観、細田守は胸躍る躍動感、今は亡き今敏は天才的なイマジュネーション。
そして原恵一は、アニメでありながら繊細な人間ドラマを描く名手。
今回の「カラフル」も、前作の大傑作「河童のクゥと夏休み」同様、ファンタジーで有りながら、何気ない日常の人間ドラマの世界に引き込まれる。
主人公“ボク”の学園生活や友との交流、家族との確執…。
原恵一の見事な、日常や人間観察が発揮されている。
そこに、前作同様、いじめなどの社会問題も織り込み、加えて今回は罪の重さも問いかける。
以前インタビューで、“人間ドラマを描き続けていきたい”と読んだ事があるが、アニメではなかなか難しい表現を描き続ける原恵一監督に改めて拍手。
本当に、次回作が楽しみな監督だ。
敢えて欲を言うならば、もう一度だけ、「クレヨンしんちゃん」を監督して欲しいなぁ。
決して悪い作品ではないと思うのですが
決して悪い作品ではないと思うのですが、何か物足りないというか的のど真ん中じゃないというか、そんな感じがしました。
気になったのは、まずキャラクター描写。リアル路線でいきたいのか、マンガっぽくいきたいのかよくわからないところがあって、見る側として気持ちが定まりませんでした、風景は一貫してリアル、キャラクターのしぐさなども結構細かいところまで描写されているんだけど、顔や表情の描き方がある瞬間、いかにもマンガ的フォーマットに見えてしまいました。
そして、声の演技が、全般的にどうしても棒読み調に聞こえました。最近のアニメは、声優ではなく俳優が声を当てることが多くて、それがいい方に転ぶ場合もありますが、この作品は、私にとってはちょっと…。
実は、細田守監督の『時をかける少女』『サマーウォーズ』などのアニメ作品でも、声の演技が棒読み調に聞こえてしょうがないので、最近のアニメ作品の傾向なのかも。
まあそんなわけで、正直、実写の方がよかったかもしれないと、思ったりします。
ストーリー的には、小林真の体を借りて蘇った主人公の思考や行動が、割と稚拙で自己中心的でなんだかなあ、という感じでしたが、最後の"謎解き"で一応納得できました。
真くん
あっさりすぎない?
絶賛される反面、寂しい気分です
監督さんの「河童のクゥ〜」は大好きだけど、
期待しすぎたのか、全く肌にあわなかったです。
声優がうんぬん言う以前の問題で。。。
このあまり夢のない話をわざわざアニメで見せられる事に
正直疑問が。。。(絶賛される現実にも寂しさを感じました)
重いテーマなわりにヌルく感じてしまったというか、、、
もっと不幸な人でも笑顔で頑張ってる人いっぱいいますから。
幸せや不幸の尺度は個人差いろいろだと思いますけど、
自分が上手くいかないことを、家族に八つ当たりする
とこが一番不快でした。
(お母さんも弱い人だったけど終始不憫で。。。)
1人でも友達がいることは救いなのはわかるけど
受け身すぎ、、、自分からもっと努力しようよ。。。
と、言いたくてしょうがなかったですw
“普通の幸せがある幸せ”
これは基本感じていたいですね。
アニメ化しての再チャレンジは、作品の出来としては成功できた。
アニメとしての出来は、すばらしい。
ただ、これだけの俳優たちを起用してるのだったら、実写でもよかったのでは?とも思った。
すでに実写映画化されていたんですね。
失敗してアニメ化することで、この映画の主人公のように再チャレンジしたわけですか。
その制作者の思いは、わかる気がします。
なんで自分は生まれてきたんだろうって、ちょうど考える年頃の中学生にぜひ観てもらいたい作品です。
最近のアニメに多い写実的な背景…って写真のまんまじゃないのか?
アニメオリジナルとして、玉電の線路跡をめぐるエピソードもあったりしますが、これらは聖地巡礼を誘ってるのか。
ちょっと、あざとさを感じてしまいました。
援交してるかわいい゛ちひろ゛との対比で根暗で不美人キャラの唱子なんですが、声をあててる宮崎あおいさんのかわいい顔が浮かんできてしまいます。
ここは、ハリセンボンの春菜ちゃんをもってきた方がよかったのでは。
主人公の小林 真の中に入って再チャレンジする魂、やる気なくてひねくれてて性格悪すぎ。
再チャレンジのチャンスを与える価値があるのかとも思いましたが、再チャレンジは真だけでなく、真の家族にとってのものでもあったんですね。
家族4人での夕食の団らん、絵に描いたような幸せそうな家族。
でもそれは、自殺した真が奇跡的に生き返ってくれてから、それまでバラバラに食事していた家族が努力して寄り添う姿だった。
でも、真の中の魂が、答えを見つけてこのホームステイを終えるとき、真の身体から旅立たねばならない。
真を再び失ったときにこの家族は…。真の中の魂がそのことに心を痛めるようになって、その成長を感じることができました。
果たして、再チャレンジは成功したのか。
それは見て、確かめてください。
アニメ化しての再チャレンジは、作品の出来としては成功できたと思いますが、興行的にはどうですか。
「カラフル」の意味を知った
丁寧に描かれた秀作
拙ブログより抜粋で。
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題材的には青春ファンタジーだが、実際に作品から感じるのは少年・真を取り巻くホームドラマ&学園ドラマ。
社会の最小単位である家族と、中学生の真にとって社会のすべてであったろう学校生活。そのふたつが一度に壊れて自殺してしまった真。
そんな真の身体を通して〈ぼく〉は社会を見つめ直す。
映画は思春期の少年と彼を取り巻く人々の心の機微を、丁寧に丁寧に紡いでいく。
演出的にアニメが得意とするファンタジーらしい表現は極力排除されている。
天使とも悪魔とも取れる人間ならざる存在のプラプラも、見た目は小学生の少年そのものだし、空を飛ぶわけでもなく、地に足を付けて歩き、走る。
場面内での彼の登場・退場も、アニメならいくらでも幻想的にできるであろうに、単純なフレームイン、フレームアウトしかしない。
美術的にも写真かと見紛うほどの緻密な背景。仕草や表情、目線にこだわったキャラクターたち。
数え上げたらきりがない目に焼き付くシーンの数々。
真の部屋の壁に、ポスターかなにかが貼ってあった日焼けの跡が残っている既視感。
父親かそうでない男かをライターひとつで表す演出の妙。
ハッとするほど写実的な多摩川の風景。
終盤、母親がソファでうなだれているとき、窓から差し込んだ日差しに、漂うホコリがキラっと光る様にはドキッとした。
ここまで徹底してリアルに描くなら、実写でもそのまま置き換えられそうだ。
しかしことはそんな単純ではない。
タイトルの「カラフル」は、「世界はいろんな色に満ちている」という意味だが、映画の中ではそれを家族の食事に象徴させている。
退院した真を迎える最初の食卓。リアルな画調の背景から浮き立つほどに彩度を高く描かれたカラフルな食事。
それは一見綺麗でおいしそうなんだが、一方でリアリティとは真逆の、まるで造花とロウの作り物を並べたかのような違和感を感じた。そこで交わされる家族の会話も、朗らかな家族を装う嘘くささが漂う。
その後も繰り返し描かれる家族の食事はやはり鮮やかな色合いで、それが“作り物”だと主張する。
しかし映画を観終わると、その見え方は一変。もう一度観直すと“作り物”の意味合いがまったく別のものになる。“作られた家族団らん”に秘められた“思い”まで見ることになるから。
様々な思いの「カラフル」を象徴した人工的なほどに色鮮やかな食事。これは実写では難しい、アニメならではの表現だろう。
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