「手法は変わっても、さすがスピルバーグ」タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
手法は変わっても、さすがスピルバーグ
おもしろい。脚本がよくこなれている。
ノンストップ・アクションの演出もスピルバーグならではで、まだまだ衰えを見せない。上映時間107分は中だるみもなく、120分超にも感じる密度の濃さがある。マイケル・カーンによる編集にも注目だ。
また、ヘタにヒロインを設定せず、物語をストレートに進行したことに好感が持てる。
場面転換もCGならではの手法で面白い。
3Dの効果が程よく、モーションキャプチャーによる目の動きと、台詞に合った唇の動きがリアルだ。アニメにはない体感的な緊張感を表現できるのはフルCGならではだ。
タンタンは少年といっても、かなり青年っぽく描かれており、大人が観ても世界に入りやすい。
スピード感といい、繋ぎの伏線といい、単純にジュニア向け映画だと思ったら大間違いだ。そこはスピルバーグ、手法は変わっても冒険活劇の醍醐味を打ち出す巧さはさすがだ。大スペクタクル・シーンは無いが、「レイダース」のような好奇心を揺さぶるアツさを満喫できる。
音楽は高齢になったジョン・ウイリアムズで、名前を貸しただけではないかなどと要らぬ憶測をしてしまったが、相変わらず独特のサウンドで響き渡るオーケストラに聞き惚れる。最近、尻切れのような音楽ですっきりしないまま館内の明かりが灯る作品が多いなか、今作のようにきっちり締めくくるエンディング・テーマは気持ちがいい。
シリーズ化が実現した場合、フルCGによるキャラクターは歳をとらないから、何作でも同じ雰囲気で制作できるのも今作の強みだ。
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