「飲んだくれて西部の星空。」トゥルー・グリット ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
飲んだくれて西部の星空。
コーエン兄弟がJ・ウェイン主演の「勇気ある追跡」をリメイク。
確か彼はこの作品でアカデミー主演男優賞を獲ったんでしたね。
何でこんな作品で?と本人も周囲もみんな思ったくらいですが^^;
いかにも西部劇!って感じじゃないし、どちらかというと生意気な
女の子主演みたいな作品だった気が(かなり昔の作品でうろ覚え)
だから彼は功労賞、って感じだと言われ…^^;
まぁ、それがあの兄弟でリメイクされるとどうなるか…っていう、
ちょっとお遊びしたんでしょうかねぇ、あの兄弟らしく。
物語は単純至極、面白い台詞や場面もあれど、ワリと平板なお話。
でもって私にはこの兄弟が描くと、凝りに凝った平板さが更に増して、
ずーっと同じ音階を聴かされているような気分になってしまうわけで。
おそらく「わざと」そうしているのであろう、この頭の良い兄弟監督、
耳に残るテーマを予告でも延々と流し、一風変わった趣に仕上げた。
ドンドン☆パチパチ☆な西部劇を期待すると(なるわけないけど^^;)
ものすごく静寂感を感じる結果になるので要注意。
一応撃ち合いのシーンはあるけれど、グロ味は他のシーンで観れる。
そのあたりも好き好きになるかなぁ。。。
各賞を総なめにした天才子役?H・スタインフェルド。
かなり計算高く小生意気な女の子ではあるが、なかなかの持ち味。
もちろん冒頭の威勢の良さは、荒野であっけなく覆されるけど^^;
オリジナルのK・ダービーはショートヘア、今回の版はおさげ髪。
髪型はどうあれ、「女の子」らしさが出ていればいいってことかしら。
とにかく彼女が果たす復讐劇なワケなので、脇のオジサン二人は
色々振り回されたあげく、彼女のためにハードな危険を冒すのだ。
そのあたり、演出はどうあれ、J・ブリッジスとM・デイモンはまったく
心配する必要もなく巧い。でもってジェフはまた飲んだくれ親父だ^^;
(このヒト、今後飲んだくれ専門俳優になるんでないの?)
オリジナルのJ・ウェインも軽く飲んだくれて(爆)出演してたそうで、
ある意味この二人は(アカデミー賞も獲ってるし)飲み俳優なのかも。
いろいろ分野に長けていると俳優も楽しめるな~^^;
西部劇といえば復讐がらみの話が多く、結末はスカッとするものが
多い気がするのだが、今作はわりと現実的。喧嘩両成敗…とまでは
いわないが^^;少女もかなりの痛手を負う。しかし、それを救い出す
覚悟の上で飲んだくれ親父(こう呼ばせて頂きます)が、馬を走らせる
星空満点の荒野の世界は最高に素晴らしい。ここだけでいいかも(爆)
この兄弟の作品は映像面でも凝っているので評判になるが、
酒場と埃だけじゃないんだよ、西部劇は。という語り口が洒落ている。
(まぁでも好き好きかなと思います^^;しかし蛇の毒は怖いですね…)