「原題の「MOON」で良かったと思うのは僕だけか?」月に囚われた男 くんぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
原題の「MOON」で良かったと思うのは僕だけか?
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予告とパッケージを見る限り、これが面白くないはずがない!と思っていた。実際見てみると、期待以上のドラマや面白みがあったわけではないが、おそらく低予算であると思えるが、「アイアンマン2」で見た小物感(いい意味)とはだいぶ違い、サム・ロックウェルの演技が素晴らしく、とても可愛く、楽しめた。クローン作っても交代制で働くのはたった1人とか、モデルの記憶を反映させるのがクローンのモチベーションを上げる以外に理由が無く、逆に効率悪くないかな?などという突っ込みは多々あった。
愛する家族が居る、待っている誰かがいる。そんな幻想が打ち砕かれ帰る理由を無くしても、地球に帰りたいと強く願う主人公の姿には涙なくして、といった感じだ。月の裏側に一人ぼっち。孤独に孤独が重なり、そりゃおかしくなってしまうのも無理はない。それでも、主人公の最後には、自然とあたたかみが感じられた。それは「自分」との友情が主人公の絶望の淵から、救ってくれたからだ。この映画は、可視化した自分の成長と変化を客観的に見える作品だ。何かは何かに優しくなれる。それはクローンだってロボットだって同じこと。プログラムされた愛から逸脱し、他人のために自己を尽くす、自然に愛が徐々に芽生えてくる。そう考えると、この作品の突っ込み所なども、愛おしささえ覚えてくるほどだ。序盤の主人公が見る幻影が、明らかにホラー的に描いていたりと、こういう変わった作品を覗いてみることも、映画の楽しみのひとつと言えるだろう。
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