アウトレイジのレビュー・感想・評価
全140件中、1~20件目を表示
全員、悪人。全員、無様。
「おまえ、親の言うことがきけないのかっ」
いいトシしたオヤジが、これまたいいトシしたオヤジを怒鳴り付ける。こんなセリフを今どき力強く言い切れるのは、世の中広しといえども…彼らの世界だけ、かもしれない。
こんなセリフを筆頭に、彼らはとにかくカッコが悪い。かつてのやくざ映画は、組織の中で生きる哀しみや、逆境の中でもスジを貫くカッコイイ生きざまを描き、観客の支持を得てきたはずだ。それなのに、本作に登場する輩は、誰ひとりとしてカッコよくない。個人的に肩入れしながら観ていたオオトモ(ビートたけし)の腹心・ミズノ(椎名桔平)も、逃げる直前、わざわざイレズミを見せ付けるように女を抱き始めた時点で興ざめ。冷酷な金庫番・イトウ(加瀬亮)でさえ、ラストでプールサイドに佇む姿は、どうも間が抜けている。上を蹴落として昇り詰めた末に、ジャージ姿で踏ん反り返る若頭カトウ(三浦義和)は言わずもがな。さんざん痛い思いをするダメ組長ムラセ(石橋蓮司)も、さんざんがっつく組長イケモト(國村隼)も、全然かっこよくない。しかも、ことごとく報われない。自分はこの映画の住人じゃなくて、よかった…と思うことしきりだった。
…しかし。登場人物にまったく共感できないにもかかわらず、こんなに引き付けられた映画は久しぶりだった。観終わったときは、心底ぐったりした。安易な共感は、映画に不要だ。そんなことを、あらため
に不要だ。そんなことを、あらためて発見した。
…と、ふと考える。映画に共感が不要なら、私はこの映画になぜ引き付けられるのか?
共感できないと言いながらも、私は何度となくクスリと笑い、何て痛そうなんだと顔をしかめた。…それって、ある意味、共感ってヤツなのか?
…そこで、あらためて。遠い存在に思える人が、ふと近しい存在に思える。(身近と思っていた存在の、未知の側面を垣間見るような、逆も然り。)そんな感覚を、私は映画に求めているのかも知れない。
久々に、大発見の映画に当たった。
豪華キャストにバカヤロで終わらせる今年屈指の1本
これで完成したのだから、あの豪華キャストにバカヤロのせりふ吐いて
ただおっ死ぬ役で満足させたわけなんで、すげえよ。
こんなのガイジン理解できるわけないっての。日本人だけに許された映画。
殺され方はどれもたいしたことなし。ストーリー憶えてない。
國村さん超好演。
芸達者のバカヤロ連呼に悶え、至福の時をぜひ未見の人は味わってほしい
今一度、観直すべき逸品
北野武監督にとって、15作目となる「アウトレイジ」。
「その男、凶暴につき」「ソナチネ」「HANA-BI」といったバイオレンス映画に定評があり、筆者も「HANA-BI」は大好きだが、やはり「アウトレイジ」は今一度しっかりと観直すべき作品である。
三浦友和や加瀬亮をヤクザ役に起用とする映画人は、これまでいそうでいなかった。
キャスティングの妙、テンポの良い脚本も含め、大人が楽しめるバイオレンス映画という珍しい立ち位置を確立することに成功した希有な作品。個人的に、続編よりもこれがお気に入り。
【90.8】アウトレイジ 映画レビュー
作品の完成度
北野監督が描くバイオレンスの集大成。登場人物の誰もが理不尽な暴力に身を投じ、その連鎖が止めどなく続く。徹底した残酷描写と、ヤクザ社会の虚無的な本質を炙り出す演出が秀逸。台詞の多くは罵倒と恫喝で構成され、感情の起伏を最小限に抑えた演出が、登場人物たちの非人間性を際立たせる。物語の結末は、権力欲に憑りつかれた男たちの末路を冷徹に描き出し、観客に深い虚無感を残す。単なる娯楽としての暴力描写に留まらず、社会の暗部を深くえぐり取る芸術性を持つ作品。
監督・演出・編集
監督は北野武。ヤクザの抗争という古典的な題材を、現代的な視点で再構築。暴力シーンは抑制されたカット割りで、その残酷さを際立たせる。特に、歯医者での拷問シーンや、ビリヤード場での惨殺シーンは、観客の生理的な嫌悪感を煽りつつ、目を背けられないほどの吸引力を持つ。台詞回しは、北野映画の特徴である「間」を多用し、登場人物の緊迫した心理状態を表現。編集は綿密に計算されており、緩急のついたリズムで物語が進行。緊迫したシーンの直後に、ヤクザたちの日常を淡々と描くことで、暴力の常態化を強調。北野監督の演出手腕が遺憾なく発揮された、圧倒的な完成度。
キャスティング・役者の演技
• ビートたけし(大友)
ヤクザ組織「大友組」の組長。冷徹で威圧的なヤクザの顔と、時に人間的な感情を覗かせる複雑な役柄。台詞のほとんどが罵倒語だが、その一言一言に重みがあり、凄みをきかせた演技が光る。特に、裏切りによって地位を失い、絶望的な状況に追い込まれていく様は圧巻。表情の変化を最小限に抑えつつ、目の奥に宿る狂気や哀しみを表現する演技は、監督としての顔とは異なる、役者としての彼の真骨頂。
• 三浦友和(加藤)
「山王会」の若頭。表向きは温厚で理知的な人物だが、裏では狡猾な策略家。常に冷静沈着な表情を保ちながら、目的のためには手段を選ばない冷酷さを巧みに演じ分ける。三浦の持つ清潔なイメージが、役柄の持つ二面性をより際立たせ、観客に強い印象を残す。特に、大友を陥れるための周到な計画を実行していくシーンは、彼の演技力の高さを物語る。
• 加瀬亮(石原)
大友組の若頭。知的で寡黙な男だが、大友に忠実な側面と、己の利益を追求する側面を持つ。冷静沈着な佇まいと、時折見せる内なる狂気が混在する演技は、この作品の緊張感を高める上で重要な役割を果たす。特に、大友組の内部抗争が激化するにつれて、彼の人間性が剥き出しになっていく様は、観客の感情を揺さぶる。
• 椎名桔平(水野)
池元組の若頭。裏切りと策略を繰り返すヤクザ社会において、常に自分の立ち位置を計算し、生き残ろうと画策する男。軽薄で口達者な側面と、権力欲に突き動かされる危うさを同時に表現。椎名桔平の持つシャープなイメージが、役柄の持つ狡猾さを際立たせる。物語のキーマンとして、その存在感は圧倒的。
• 國村隼(池元)
山王会傘下の組「池元組」の組長。組織の板挟みとなり、右往左往する哀れな男。威厳と臆病さ、その両方を持ち合わせた人間的なヤクザ像を熱演。特に、上層部からの圧力に怯え、部下である大友に八つ当たりする姿は、ヤクザ社会の理不尽さを象徴している。
脚本・ストーリー
北野武監督によるオリジナル脚本。ヤクザ組織の内部抗争を冷徹なリアリズムで描く。登場人物の誰もが自己の欲望のために動き、裏切りが連鎖していく。勧善懲悪の物語ではなく、誰も救われない結末が、この世界の虚無感を際立たせる。物語は常に不穏な空気に満ちており、観客は登場人物たちの末路を固唾をのんで見守ることになる。過剰な説明を排除し、観客に想像の余地を与える脚本スタイルも、北野映画の特徴。
映像・美術衣装
全編を通して、無機質で冷たいトーンの映像美が支配的。ヤクザ事務所や飲み屋、車内といった閉鎖的な空間が多く、登場人物たちの抑圧された心理状態を表現。美術セットは無駄を排し、リアリティを追求。ヤクザたちの衣装は、スーツや和服など、その地位やキャラクター性を反映したものが多く、視覚的にも楽しめる。特に、高層ビルから見下ろす街並みのショットは、ヤクザ社会の頂点と底辺を対比させ、物語のテーマを象徴的に示唆。
音楽
主題歌は特になし。音楽は全編を通して最小限に抑えられており、台詞や効果音、沈黙が物語を彩る。久石譲が手掛けた、ミニマルで不穏な楽曲が、映像と相まって緊張感を高める。特に、ラストシーンで流れる静かなピアノ曲は、物語の虚無感を際立たせ、観客に深い余韻を残す。
受賞歴
第63回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品。北野武監督の過去作品同様、国際的な評価を獲得。
作品
監督 北野武 127×0.715 90.8
編集
主演 ビートたけしS9×3
助演 椎名桔平 S10
脚本・ストーリー 北野武 A9×7
撮影・映像 柳島克己 S10
美術・衣装 美術
磯田典宏
衣装デザイン
黒澤和子 A9
音楽 鈴木慶一 B8
すごく面白い
椎名桔平がギラギラしていて最高だ。警察署で立ち番しているおまわりさんに煙草を投げつけるいたずらをする。意味のない悪ふざけでその後叱られる。中野英雄のオルファカッターめちゃくちゃ痛そう。石橋蓮司の歯医者、身の毛がよだつ。たけしの出番があまり多くない。特に、ぼったくりバーなどしのぎを丁寧に描いている地に足の着いた表現がとてもいい。
滅びの美学
仁義なき世界
...............................................................................................................................................
ヤクザのボッタクリバーに引っかかった客が実はヤクザだった。
このヤクザは逆にタカって侘び金を払わせるために、
引っかかったフリをして自分の組の事務所に集金に来させたのだった。
この2つの組は、組長が兄弟の杯を交わしている関係にあった。
この2つの組を含め多くの組を仕切る大親分の北村は汚い人間で、
これを機会に2つの組をうまく操って、両者のシマを奪おうと画策した。
まずは片方の組長を煽ってもう片方の組長を殺させた。
この実行犯はたけしだったが、組長に命じてたけしを波紋させた。
これに怒ったたけしをまたうまく煽り、組長を殺させた。
そして今度は組のNo2の杉本を煽ってたけしを殺させようとした。
たけしの事務所は襲われ、結局たけし以外全員死亡。
たけしは諦めて後輩の刑事に自ら逮捕された。
この刑事はたけしとつかず離れずの関係を築いていたのだが、
大親分ともつながっており、たけしを売る事も出来たが、出世を選んだ。
この後北村の側近の友和が裏切って北村を射殺。
さらには杉本も殺し、2人が殺しあったと嘘をついて大親分となる。
たけしは刑務所で、かつて痛めつけた奴に刺されて殺された。
...............................................................................................................................................
まさに血も涙もない、本当の意味での仁義無き戦いだった。
現代のヤクザってこんなに血も涙もないものなのかなあ。
それにしてもほとんどの主要人物が死ぬ。
2ではほとんどの人が2からの登場人物となることだろう。
ってか、最後たけしは殺されるんで、当初は2の予定はなかったのだろう。
でも何故たけしが最後自首したのかは謎。
仁義のない、金に汚いヤクザばかりの中で、たけしは筋を通す男だった。
昔のヤクザ映画で言えば、命を捨てて仇を倒そうとするはずだが・・。
それにしても椎名が警察にタバコを注意されて子供みたいにキレたり、
大使館を広い倉庫に引っ越させてそこでカジノを開いたり、
駐日大使に死体を埋めさせて、手伝いもせずに置き去りにしたり、
リスクとメリットの比が悪過ぎる、頭悪すぎるシーンも目立った(場)
しかし怖い映画やったなあ、劇場で見たらもっと怖かっただろう。
たけしの本は何冊も読んだが、学業優秀で大学まで行き、
しかも若くして売れて、若くして弟子を取って面倒を見て来た。
この人の人生にそう荒れた時期なんてなかったと思うのやが、
何故こんなにヤクザを描くのが上手なのだろう。
椎名桔平のかっこよさ
久々にエンタメに全振りした作品と思います。
それでもさすがは北野武監督作品といった印象を受ける本作。
ガチガチに凝ってはいないですが、誰が裏切り者なのか探る楽しさもあり、画的な美しさもあり、爽快なバイオレンス描写もあり。
細かく演技について指示しない、という話を聞いたことがありますが、それでいて作品がしっかりと出来上がるのがこの監督の手腕なのでしょうね。
さらっと内容に触れると関東の有力暴力団の本体から見て孫ぐらいの位置付けの零細暴力団のお話。
親も祖父母も難題ばかり押し付けてきて、苦闘している組があり、最終的には上層での駆け引きに翻弄されて、組が全滅してしまいます。
ただまぁそんな細かく考えず、
この人裏切るの?とか凄い暴力描写だ!とかって直感で楽しむ映画かと思います。
エンタメに振るならこれくらい作れるよ、という北野武監督の気概を感じる作品でした。
最高のヤクザ映画!最高の北野作品!
一年に一回は観たくなるヤクザ映画
組と組との抗争
親子も兄弟もあったもんじゃない
策略と裏切り
実際にこの国でいくら東京でもこれだけ派手にドンパチあるわけないでしょ
でもそれが映画ならOK
バイオレンスファンタジー
映画comのキャスト陣には名前がないが大友組の下っ端には柄本時生がいる
村瀬組でシャブを扱っているラーメン屋店主にマキタスポーツ
男性俳優は豪華な顔ぶれだが女性俳優は地味
大友の愛人役の板谷由夏しか知らない
水野の愛人役の渡辺奈緒子のヌードあり
クライマックスで加藤が会長を射殺する一連のシーンが一番の名場面
北村総一朗の迫力ある死に顔もなかなか
出世した加藤と片倉刑事のやりとりも好き
時々観返したくなる作品です。
「全員悪人」。看板に偽りなし。
北野武監督作品として非常に有名な映画ですので、「全員悪人」というキャッチコピーとヤクザものの映画だという程度の事前知識はある状態での鑑賞です。
個人的にこのようなヤクザ映画はあまり観慣れてないんですよね。最近観た映画だと綾野剛主演の「ヤクザと家族」を観たり、ゲームですけど「龍が如く」をやったことがある程度ですのでヤクザものの作品について正直全然詳しくないです。
結論ですが、結構楽しめました。ヤクザの組の内部抗争や権力争い。そしてそれに巻き込まれる末端組織大友組の組長、ビートたけし演じる大友という男の生きざま。面白かった。グロが苦手なので、何度か出てくる暴力描写には目を覆いたくなる気持ちもありましたが、他の映画ではあまり観ないような残虐描写のオンパレードで、あそこまで行くと逆に清々しく面白く観ることができました。グロいんですけどね。
・・・・・・・・
関東最大の暴力団・山王会会長の関内(北村総一朗)は、傘下の池元組の組長である池元(國村隼)が麻薬の密売を行う村瀬組と関係を持っていることを疎ましく思っており、村瀬組を締めるよう池元に指示を出した。兄弟の杯を交わした相手である村瀬に手を出すことは難しいと判断した池元は、自身の配下である大友組の組長の大友(ビートたけし)に村瀬を締めるよう指示を出した。
・・・・・・・・
組織内で行われる権力争いと武力抗争。暴力が新たな暴力を生み、復讐の連鎖が次々と繋がっていく。山王会という大きな組織の上層部で行われる権力争いによって、末端組織である大友組の組員たちの血が流れる。恐ろしい図式です。
一口に「ヤクザもの」と言ってもそのジャンルは多岐に渡ります。
アクションシーンに重点を置いたものや組織内の人間関係に重点を置いたものが多いと思いますが、先にも挙げた「ヤクザと家族」のように社会派な作品もあります。洋画でも「スノー・ロワイヤル」みたいなマフィアの抗争を描いたコメディ色の強い作品もあります。日本のみならず「反社会組織の戦い」っていうのは人気のジャンルなんでしょうね。
本作は「組織内の人間関係」についての描写が多かったように感じます。組織の中での成り上がりを目指す男たちがお互いに潰し合うような作品です。上層部の権力争いに末端組織の組長である大友が巻き込まれていく様子は、まるで池井戸潤の小説で描かれるような肥大化した企業の利己的な上層部と現場で奔走する社員の構図に似ています。本作「アウトレイジ」は「バイオレンス半沢直樹」とも呼ぶべき作品なのです。
半沢直樹と違う点は、末端の誠実な人間による下克上が起こらない点ですね。勧善懲悪のしっかり描かれる池井戸作品のような爽快感は本作には皆無で、裏で汚いことをやっていた人間や簡単に人を裏切るような「長い物には巻かれろ」といった感じの人間ほど、最後には大きな利益を得ますしお咎めもありません。そういう理屈の通じない世界であるヤクザの世界を、とことんバイオレンスにとことんぶっ飛んだ描写で描いているように感じました。
個人的には、初めて鑑賞した北野武監督作品でしたが、他の芸人映画監督のような素人臭さは全くと言っていいほど感じません。多分言われなければ芸人さんが作った映画だとは誰も気づかないでしょうね。しっかり作りこまれた映画でした。
北野監督の代表作、バイオレンス描写が苦手でないならぜひ観ていただきたいですね。オススメです!
突き抜けたバイオレンス
痛快バイオレンスエンターテイメント
駆け引きと喧嘩の世界
まず、豪華なキャスト!!そして椎名桔平がかっこええ( ̄□ ̄;)
この映画は若頭役がキレキレです。
ヤクザの用語とか、組織の上下関係については少しかじっておかないとわかりにくいかも。
ヤクザの世界は仁義を重んじる世界ですが、組織運営上いろんな問題が起きるわけです。金とか上下関係とか。
そこを暴力で押し切るか、コネを使うか、上に頭下げるか逆らうか、信じるか裏切るか。
時には、そんなくだらないことで大声ださんでもと思うときもありますが笑、相手を威嚇したり、恐怖を植え付けるための策略でもあるので、やたら大声だしてます( ̄□ ̄;)
そして裏切りものに対しての制裁がエグい。。
さすが北野武はこういうとこ徹底してる。。
ただ、腹を括って命かける覚悟がかっこいいと映る気持ちは男ならわかります。
女性は9割楽しめない映画です。笑
北野武演じる大友が、今後どういう行動に出るか、次作を楽しみに観ます。
全140件中、1~20件目を表示