「4人の頷きたい自分と、否定したい自分」乱暴と待機 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
4人の頷きたい自分と、否定したい自分
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ズルズルと泥沼化する4人の奇々怪々なキャッチボール模様をブラックな笑いと哀愁で描ききった物語。
覗く浅野に、苛立つ小池、ツマミ食いする山田、そして、挙動不審の美波。
頷きたい自分と、否定したい自分。
エキセントリックで滑稽でエグくて、淫靡な線に結ばれた4人の絆のルーツを紐解けば、新たな狂気が産まれていく。
過去の憎しみの真相が明らかになればなるほど、4人の今は複雑化を辿る。
呆気ない理由で人間は簡単に悪意を抱く。
露骨なうねりは今も昔も変わらない。
渦を巻いた憎悪は、周囲を道連れに呑み込み、更に大きな渦を作っていく。
憎しみの連鎖が唯一生きる希望と化した4人。
歪みこそ、面白いと言っても、呆れて笑わざるを得ない世界観に直結している。
4人とも最後まで共感できない。
したくもないのに、最悪な男女関係ほど覗きたくなる衝動。
愚かな本能同士のネチネチしたざわめき。
一概にオススメできない魅力がたっぷり詰まった何とも不思議な映画であった。
では、最後に短歌を一首
『復讐に 絆を求め 覗き部屋 レンズ砕けし 交わりのあと』
by全竜
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