「アクションだけが虚しく進歩した続編」リアル鬼ごっこ2 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
アクションだけが虚しく進歩した続編
ネタバレというか殆んど褒めてないので、映画が気に入ってる方は読み飛ばしてください。
僕は原作未読だが、映画版の1作目は原作ファンの友人と観た。
「原作めっちゃ面白かったから観ようぜ!!」と熱弁を振るうのでちょっと期待していたが、結果はスコア1.5判定といった所。
原作ファンなら楽しめるのかと思いきや、友人が映画を観終わった後に言った言葉は「ごめん……」。謝るな(笑)。
巷ではヒットしたので続編が出たんだろう。今回は一部キャストが入れ替わったが、監督も主演も前作と同じ……期待は薄い。
しかし続編はオリジナル脚本とのこと。原作の縛りから解放された事がプラスに働いているかもしれないと思って鑑賞してみた。
結論としては……1作目よりはマシ。
最も向上したのはアクションシーンだろう。前作からチェイスシーンもガンアクションも大幅に増量され、その迫力も段違いに向上している。アクションに関しては前作比200%超の出来と言っていい。
中盤の工場内“かくれんぼ”のようなスリル要素もあるし、少なくとも退屈はしない。
だがアクションシーンが良くなったとは言っても、あくまで前作との比較においてだ。クオリティは日曜朝にやってる仮面ライダーなどとどっこいどっこい。いやまあ最近のライダーって、見ると『毎週やってる割には結構アクション凄いなぁ』と感心してしまうが、これは映画だ。撮影期間にも予算にも差があると思うのだが。
また、御都合主義も甚だしいストーリー展開も前作から大して進歩していない。
“鬼”は様々な獣の遺伝子から造り出された人造人間との事だが、自慢の聴覚・嗅覚はあまり利かないらしい——少なくとも主人公達が大事な話をしている間は。
獲物を追い詰めた途端にゆっくり歩き出したり、指令系統が麻痺した時の補助策も無かったりと、とにかくツメが甘い。
だが一番気に入らないのは、相変わらず大袈裟で大雑把で底の浅い人間描写。
まるでマンガの切り抜きみたいにリアリティの無いキャラに共感を抱く事は最後まで出来ず、一歩引いた感じで映画を眺めていた。
キャラを魅力的に描けない映画は大抵、どんなにアクションが派手でも、どんなに展開に凝っていてもつまらないもんだと思う。本作のキャラ達は、まるで作り手の撮りたいシーンだけの為に生かされているかのようで、なんだか嫌な感じだ。
……この調子でやるんですかね、『3』も……。
<2010/6/5鑑賞>