ソルトのレビュー・感想・評価
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謎のロシアスパイ
つい最近 米国各地に10人のロシア人スパイが 市民を装って住んでいて情報を収集していた。なかには夫婦として 子供を地元の学校に通わせていたスパイもいたし、若い美人の妻がスパイだったと聞かされて寝耳に水の夫まで出てきたが、一斉に逮捕された。彼ら10人のロシア側スパイは ロシアに逮捕 拘束されているアメリカ側のスパイで原子物理学者と交換に 超法規処置によってロシアに送り返された。10人のスパイの代わりに 米国に戻ってきた物理学者は 自由の身になったにも関わらず 自分はもともとロシア人なので、ロシアに帰国すれば また逮捕されるが それでも帰国したいという意志を表明した。
米ソ冷戦終結から時が経っても 依然として米ソ核兵器縮小交渉に毎回難渋しているように 互いのミサイル攻撃と防衛の対立は持続しており、スパイ合戦も続いているようだ。
何十年も互いの敵国に市民として潜入して 情報を定期的に母国に送り なんらかの指令を待っているスパイが あちこちにいるのは事実だろう。
15年前に成人移民英語講座で ロシアから来たスラーという青年と親しくなった。2メートル近くの身長があり、青い目で金髪の美青年。結婚したばかり。私も再婚したばかりだった。
当時、永住権を取得した移民には その人のレベルに合わせて沢山の英語講座が用意されており 510時間まで無料で講義を受けることが出来た。民間の英語学校に1年間通うより はるかにレベルも高く良質な教育プログラムだった。同じクラスには 若い人が多く、イラン、トルコ、レバノン、ポーランド、ボスニア、ルーマニア、ハンガリア、チェコスロバキア、チリ、ホンジュラス、などなど、様々な国の人がいて、友達になった。
でも ロシア人のスラーだけは、特別だった。会ってすぐ仲良くなった。いつも彼と二人で文学の話をした。彼は 驚くほど博識で、芥川龍之介の本など みな翻訳で読んでいた。私も彼も、英語のボキャブラリーが豊富でないので、適当な言葉が見つからず 時には互いに悔しい思いで歯噛みしながら、日本文化について語り、禅や山岳仏教などの話に熱心に討論した。またフランツ カフカの文学をどう捉えるか などという話にも及んだ。
彼の両親は共に軍人だったので、北極に一番近いニューアイランドというロシアの北の極限に暮らしたことがあると言っていた。1年のうち3分の2は、太陽が出ない島。この島はロシアの軍事基地で、数家族が交代で派遣されているが、1年のうち数ヶ月しか 昼と夜がない厳しい生活でうつ病に陥りやすいので 派遣期間は2年が限度だそうだ。家の外を5メートルもの高さのある大きなシロクマがノシノシ歩き回り、毎晩激しいブリザードが吹き荒れるという。そんな彼の話に夢中になった。
510時間の講座が終了したあとも、2回ほど彼と会った。1度はレストランで 互いにパートナーを紹介しあって、2度目は、オフィス街を歩いていた時 AKIKO-と大声で 呼び止められた。来週日本に行くんだ、と嬉しそうに言っていた。それが最後で、その後 何度か携帯電話を かけてみたが 誰も出なくて二度と彼を見ることが無かった。彼は健康そうな肉体を持ち 裕福そうだった。
今でも私は 彼はスパイだったのではないかと思う。何らかの目的で ここに送り込まれて、前触れもなくどこかに去っていった。彼と話に夢中になって二人で共有した時間をときどき思い出す。
映画「ソルト」を観た。ハリウッド映画で アンジェリーナ ジョリー主演の新作。トム クルーズが主役をやるはずだったのが、かねてよりジェームス ボンドのような役をやりたいと言っていたアンジェリーナが主役に抜擢されて話題になった。3人の赤ちゃんを産んで 養子を入れると6人の子供のおかあさんとして、子育てをしながら 国連親善大使を務めている。芯が強く しっかり者で 自分のスジを通すというイメージから決して外れない。173センチの長身で 目鼻立ちがはっきりした美人だ。
ジョン ヴォイドの娘。彼が米国のヌーベルバーグの切っ掛けになった「真夜中のカウボーイ」で登場したときの衝撃は忘れられない。「チャンプ」も良かった。
アンジェリーナ ジョリーの映画で一番好きなのは「MR&MRSスミス」2005年だ。
新作「ソルト」のストーリーは
CIAエージェントのソルトは 子供の頃ロシアで KGBの中でも過激派のグループに捉えられて、スパイとして特殊教育を受けて育った。しかし、KGBの中で二重スパイをしていた両親を殺されたことを切っ掛けに ソルトはアメリカに戻り CIAとして働く。北朝鮮で拘束されて拷問を受けるが、CIAの仲間に助け出された経験を持つ。
その後、博物館に勤めるドイツ人の昆虫学者と 恋に落ちて結婚、仕事を続けながらも 幸せな結婚生活を送っていた。
ワシントンCIA本部で ソルトは逮捕されたロシア人スパイを尋問することになる。CIAの仲間が注目する尋問室で ロシア人は尋問に答えた後 ソルトがロシアのスパイであると言う。いっせいに仲間から疑いの目で見られてソルトはあわてる。今度は同じ尋問室でソルトが尋問される番だ。彼女は 家にいるはずの夫に危害は及ばずにすむようにしなければならない。逃亡することにする。監視カメラを消火器やパンテイーで覆い、消火器と掃除に使う薬品で迫撃砲を作って 追手から逃げる。辛うじて家に戻ってみたら すでに夫は何物かに連れ去られていた。
ソルトの次のターゲットは ニューヨークで、米国副大統領の葬儀に渡米しているロシアの大統領を暗殺することだ。黒髪に変装して 首尾よく大統領を処分、そして、ソルトが向かう先はKGBの米国内本拠地だった。着くや否や、ソルトを待っていたのは 愛する夫が処刑される場面だった。 顔に出さず、慟哭するソルト。しかし休むことなく さらに、ソルトは 男装してホワイトハウスに潜入して米国大統領の命を狙う。ソルトはCIAエージェントなのか、それともKGBの2重スパイだったのか、、、。というお話。
ハリウッドで活躍するオージー映画監督 フィリップ ノイスによると、アンジェリーナは ほとんどスタントマンを使わずに 危険なアクションを自分で演じたそうだ。
彼女は橋の上から高速道路に落ちて 走ってきたトラックの幌につかまる、、手錠姿でパトカーを乗っ取り カーチェイスの末 逃げ切る、、大統領の乗ったエレベーターを追って 何十階段分もシャフトを滑り降りる、、走っている地下鉄から飛び降りる、、驀進中のヘリコプターから海に飛び降りる、、、そして教会でロシア大統領を暗殺し、ホワイトハウスで米国大統領を襲う。細身の彼女が スーパーマンと バットマンと スパイダーマンと、アイアンマン全部あわせたくらいの 活躍をする。
まったく現実感がないが、おもしろい。
観ていて 時としてソルトと一体となって、逃げ惑い 時として味方だと思った こっち側の相手を無慈悲に殺し、ええっ? それじゃあ 前に殺したあっちは、何も殺すことなかったんじゃないか?と期待を裏切られ そうか、やっぱりCIAの中でも こういう一匹狼が必要なのか と なるほどと納得したり、またそれも疑ってみたり、、、。とても忙しい。
これを娯楽映画という。
とてもお金のかかった 贅沢な娯楽映画だ。こういう映画の評価は ひとこと 「おもしろかった」と答えるのが正しい。
じつにおもしろかった。
古色蒼然とした物語ではあるが、アンジーの存在感が出色
物語の展開や、「おいおい、そこに行きますか。ハリウッドも仮想敵がいなくなって苦しんでるのね」といった感じの真相は、はっきり言って、これまでも散々使われたひな形であって、ストーリー面での驚きはなかったが、ところがどっこい、アンジェリーナ・ジョリーの存在感、肉体的な説得力だけで映画が成立しているのが見事。
ハリウッドのトップに君臨する女優が、体を張ってよくやっているし、彼女のアクションを見るだけでもお金を払う価値ありの一本。
アンジーらしいアクション映画
序盤は普通のスパイ映画です(女性版MI)
中盤手前ぐらいから展開が変わっていき、
なに?アンジーって悪役なの?と思わせる展開ですが、
ここからアクションもストーリーも面白くなってきます!・・・ですが!
そこで上映終了・・・まさかの続編!?っていう終わり方です、
しっかり終わってくれればさらに面白かったと思いますが、
でもアンジー好きな僕としては続編も期待が持てる作品です!
だけどそこは人それぞれっていうことで4という評価に致しました。
いつものアンジー的
アクション満腹
今さら
まぁ一言、言えばボーンに似てんじゃね?って感じ
ウォンテッドでも痩せすぎじゃね?と思ったけど それよりまた痩せて
こんなキャシャな身体で殴られ蹴られる男たちって弱すぎだろと腑に落ちません
シリアルに作ってるんですけど 暴力シーンは説得力なく無理がありすぎ
内容はトントンと彼女が追い込まれて行くんですが それも他の方のレビューと同じで なんで?って感じ
女版ボーン・アイデンティティーってネタ的に古いしアンジェリーナだから観るって感じなのかなぁ 音楽も記憶に残らないほどの駄作だし
あと難癖つけるなら 今回 難癖ばっかりになっちゃうなぁw
彼女がCIAって理解して危険と分かりながらも夫婦でいたい 君を愛してるって旦那が言ってるんだが本当に自分(アンジー)が危険な人物と分かって彼を愛してるなら 夫婦で絶対いられなかったはずじゃないのかなと思った(彼が危険となる日が絶対くる) 別れることが本当に愛してる相手への思いなはず 命をかけてアンジーを救ってくれたのに。 脚本家バタフライエフェクト観てないだろwと思った
ひと昔前のセンス
フィリップ・ノイスとは懐かしい名だが、作品のセンスも1990年代のもので、粗雑で強引な物語構成もなんだか懐かしい。クライマックス、地方のCIA幹部が「あそこ」まで同行できるのはどう考えても変だし、ソルトを何回も逃がす(確実にクビだろう)FBI捜査官も権限があり得ない。どうにも無茶であり、娯楽バカなら許せるんだけど、ノイスのタッチは至って真面目。えらいアンバランスさだ。ここは、という場面の感情表現も下手だし、黒幕は見え見え過ぎる(『クライシス・オブ・アメリカ』だし。)全体が見えないカート・ウィマーと波のあるヘルゲランドならこんなもんかな。
アンジェリーナ・ジョリーは良い。彼女の七変化を見るだけでもお金を払う価値はある(男装はナイ。あれは絶対バレる。すこぶる怪しい。)。逃走アクションもダイナミックで面白い。
時間つぶしエンタメムービー
アンジェリーナ・ジョリーの顔の存在感
イブリン・ソルトの真意はなかなか明かされないし、アンジェリーナ・ジョリーの善にも悪にも見える稀有な顔も手伝って、中盤で焦点がぼやける感があるかもしれない。しかしこの映画で本当にぶれない点は、学者である夫のマイクはイブリンのすべてを受け入れて愛し、イブリンもまたそんな純真なマイクを心から愛しているということなのだ。ほとんど登場しないマイクこそが、イブリンを心ある人間の世界に引き戻したのだ。そこを理解しないと、なぜイブリンが夫をあれほど必死に探そうとするのかが分からなくなる。ほとんど荒唐無稽ともいえる無敵ぶりではなく、マイクと一緒の場面のイブリンの笑顔を見れば、スパイとしての強さの裏にある本当の心が見える。それを演じるのに、アンジェリーナ・ジョリーほどふさわしい面構えの役者が他にいるだろうか。
確かにこれはアンジェリーナ・ジョリーの魅力に負う部分が多い映画ではあるが、それで良いのだ。「チェンジリング」の母親に並ぶ、圧倒的な存在感があるのだから。
姐さん、やりよる。
普通の人なら確実に10回は死んでる。
普通のCIAでも5回は死んでておかしくない。
アンジー姐さんだからこそ不死身で許されるが、
”確信なく無茶して偶然助かる”のくり返し。
いや、ソルトが強いというより、
NYPDだかSWATだかESUだかUSSSだか知らないが、そいつらが弱すぎ。
大の男があんなにバッタバッタ倒されたらもう笑うしかない。
お話は、登場人物がことごとく意味不明の行動を取るので
疑問を持ち出してしまうと途端に面白くなくなります。
ただただひたすら、かっこいいアンジーを拝みましょう!
そんなアンジーに先を越されてしまったが、
旦那に「実は、、、私はCIAなの」と告げるのが私の夢なので、
あっけなく命を落とした軟弱男たちに変わって是非私を入れてほしい。
でんじろう先生に教わった風船時限爆弾くらいは作れます。
ソルトの味付け。
主人公の名前とはいえ、なんか微妙なこのタイトル^^;
隣のスクリーンでは「ナルト」が公開されていて戸惑うぞ。
…まぁ間違える人はいないでしょうけども(爆)
ソルトなだけにしょっぱい展開というか、スピード感が
溢れだした展開なので、ついていくのにけっこう疲れる。
アンジーの顔と身体を使ったアクション?演技?に魅了
されるも、ってことは…?と考える余裕もないほど早い。
二重スパイの容疑をかけられたソルトが、もの凄い勢いで
逃亡を図るのだが、その理由が夫を助けたい、というもの。
エ?なんで夫?夫はスパイではないはずなのに…という
疑問が湧くだろうことを考え、すでに冒頭で二人の出逢い
~北朝鮮に拉致されたソルトを救い出した夫との会話が
流される。CIAの職員は家族にすら本職のことは語れない。
(当たり前といえば当たり前でしょうが^^;)そのルールが
アッサリと破られた冒頭からすれば、このストーリーには
二重の罠が仕掛けられているんだろうな、と想像できる。
なので…個人的に物語にそれほどの意外性はなかった^^;
となればやはりアクション!アンジーの男顔負けの活劇!
を期待することになるんだけど、こちらはまずまずで、
いわゆる「ボーン」シリーズの女版を観ているような感じ。
飛び降りたり壁を這ったり、と思えば爆弾までチャチャッと
作りあげてドッカン!!という、まぁしたたかな実行犯ぶり。
この人一体、何をやらかすつもりなんだろう…?と観客の
目を釘づけにしたところで、なんとま~!男装までするんだ。
これが…お父さんと似ているかどうかは分からないけど^^;
素顔がもともとキツイ顔立ちなので、男顔のが柔和だった。
彼女の上司役でまたこの人、L・シュレイバーが出ている。
彼もこういう役が多いなぁ~^^;と思いつつ、その真相と
C・イジョフォーのたじろぎぶりを観比べてみるのも面白い。
ただ後半になればなるほど、技を仕掛ける彼女の顔が益々
怖くなっていくのが(もはやアンジーでもない)結構ホラーで、
今回の彼女は顔面アクション全開だったと^^;私は思うのだ。
スパイなんて映画の中の…などと思っていた時分に、
10年以上アメリカに潜伏していた元KGBのスパイ10人が
一斉に逮捕されたニュースがあった。うわ!いるんだー。
そう思うと妙にワクワクするが、どうやら続編がありそうだ。
(妹分はシュガーか?全部スパイスでまとめてくれ!なんて)
↓金返せなんて酷いコメントに惑わされずに、ご覧あれ!アンジーのアクションの凄さと、ホロリと流す涙に感動するかも知れませんよ~。
多くのレビューが、トム・クルーズ主演から書き換えられたことを問題視するものが見受けられますが、数多くのアクションをスタントなしで体当たりしたアンジーの気迫が感じられて小地蔵的には、見応えありました。
冒頭からCIAから二重スパイに見せかけられて、派手な逃走劇へと発展させるなど、アクションのテンションが落ちない所がいいです。確かに、二重スパイのように見せかけるトリッキーなストーリーのため、ソルトの立ち位置が二転三転したかのように見えるストーリーは、わかりにくくて、彼女の気持ちは掴みづらいということは感じました。
また、ストーリー上で突っ込みどころも満載です。例えば、ソルトにするとどんな屈強なエージェントやシークレット・サービスもイチコロになってしまうのは弱すぎだとも言えます。アンジェリーナ・ジョリーだから、主役は強いのだというしかありません。でも観客はそれを求めているのだから、いいじゃありませんかね。『暴れん坊将軍』のようにお決まりで、スカッっとさせられたほうが。むしろ今日テレビで見た『トームレイダー』のほうが、CGてんこ盛りで、つまらなかったです。なんだかお子様向けの怪獣映画の要だったりして、興ざめでした。他にも、いろいろあります。なかでも、ロシアのスバイたちは、なんで自国の大統領を暗殺してまで、アメリカを壊滅に追い込みたいのか疑問に残ります。余りに回りくどい方法ではないでしょうか。スパイなら、もっと手っ取り早い方法を思いついて当然でしょう。
ただ本国と連絡すら取らずに一般人として敵国で暮らす「スリーパー」スパイの存在については、面白い設定だと思えました。まるで拝一刀を悩ませた柳生の「草」のような存在です。戦国時代でもない現代に普通ならあり得ないと思うところですが、最近ロシアのスパイが摘発されたニュースが流れたので、果然このようなストーリーにも説得力を感じてしまいました。そういう意味では、ワンパターンで中東のテログループを登場させるのでなく、ロシアのスパイにスポットを当てたところがタイムリーであった思います。
ソルトの立場が二転三転するように見える複雑なストーリーも、愛することを殺されたことに対する一途な復讐劇と見れば、凄くストーリーが見えてきます。行き着くところは、ソルトが見せる悲しみの涙でした。愛する人を面前で殺されて流すあの涙は、ごまかしようがなかったのです。そしていつも愛する人のことを語ったり、回想するときのソルトの表情は、ほんのちょっと緊張した表情が緩んでいました。見過ごせないところです。
裏切りと殺伐とした殺しのシーンが続いても、何かしら後味がいいのは、ずっとソルトの愛を感じていたからではなかったかと思えます。
スパイとして育てられて、ずっと刹那に人生の無常と向き合ってきたソルトが掴んだ、普通の幸福も、ハードボイルドにかかると、何のためらいもなく、あっという間に奪われていきます。ハードボイルドとは、そんな空しさをウリにしているものなのでしょうか。身も蓋もなく、主人公に降りかかる不幸を楽しんでしまうものなのでしょうか。思わずソルトに同情してしまいそうになりました。
そんに薄幸な主人公を、アンジーは好演していると思います。バッタバッタと敵を倒していくの無表情さが、ハードボイルドの女主人公として相応しいと思うのです。下手にヒーローぶっていては興ざめです。
そして目力が強いことが魅力をアップさせています。本作を見ていると、そこらのカワイコちゃん女優とは違う、凄みを感じるのですね。アクション女優としての面目躍如です。目をカット見開き、頬をごっそりそぎ落とした無表情には、凄みと共にある意思の力を感じずにはいられませんでした。それでいて、どことなく希望を見失っている主人公の絶望感というか、底なしの虚無も感じさせる演技なのです。ゴルゴ13も実写版で誰かが演じれば、かくのごとき表情なってくることでしょう。
続編もあり得る終わり方なので、ソルトの復讐の完結編をぜひ見たいと思います。
寒い国から来たスパイより愛をこめて
P・ノイス監督の代表作といえばやはりポリティカルアクション『パトリオットゲーム』『今そこにある危機』だと思うが、今回も『冷戦時代から連綿と続くロシアンスパイの国家転覆計画』という実にポリティカルな要素が物語の肝となっている。
予告編を観た時にはその辺に気付かなかったので、物語序盤は「こいつは意外とスケールのでかい映画だッ!」とワクワク。
主人公ソルトがCIA局内を脱出し、高速道路帯を逃走するまでの長いアクションシークエンスもなかなかの迫力で、期待は高まる。
その後もアクションは盛り沢山だし、何より主役のA・ジョリーがまァとにかくカッコイイ。肉体的・精神的にどれだけ打ちのめされようが、己の感情を押し殺してひたすら冷徹に戦い続けるアンジーはドライアイスのような高熱を放っている。
……だが、いっこうに話が盛り上がらないんである。展開がせわしないというか、殺伐としているというか、とにかくこちらに感情移入させる暇を与えてくれない。
なんというか、余裕が無いように感じてしまうんですわ。
『ロシアより愛をこめて』以来、ロシアンスパイ御用達となっている(?)必殺ウェポン・仕込み靴が登場した時にはニヤリとしたが、それ以外にユーモアを感じさせるシーンは一切、全く、これっぽっちも見当たらない(笑)。
いや勿論、登場人物に感情移入させたり、ユーモアを感じさせたりすることだけが『良い映画』の条件だとは思っていない。
だがこの映画からA・ジョリーという稀有な魅力を放つ女優を取っ払った時、果たしてこの映画に何が残るのか?
『ボーン』シリーズに冷戦時代の置き土産を付け加えただけというのは言い過ぎかも知れないが、正直真新しさは感じられない。
ロシアンスパイの陰謀を描いた映画は幾らでもあるし、北朝鮮の拷問シーンが登場する『ダイ・アナザー・デイ』は既に7年前の映画だ。
逆に言えば、これくらいアンジーの魅力を引き出してみせた映画もなかなか無いと言える。この映画最大の見所はズバリ彼女の一挙手一投足。彼女のファンなら必見の映画だろう。
ところで本作のCMではま〜た『騙される』だの『騙されない』だのというツマラナイ宣伝をやっているようだが、そんなドンデン返しは期待しない方が良いです(客引きの事ばかり考えず、映画の魅力を正しく伝えていただきたいものだ)。
ノンストップのヒロインアクションとして、サクッと楽しむべし。
<2010/08/01鑑賞>
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