「アクション女優アンジーの面目躍如」ソルト マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
アクション女優アンジーの面目躍如
二重スパイというのは、古くから緊迫したスリルをもつ素材として扱われてきた。情報収集や破壊工作などを行うスパイ映画でも面白いのに、二重スパイの場合は、さらに敵と味方の区別がつかなくなるサスペンスの要素が加わる。
アンジー扮するソルトは、冷戦時代に育成されたロシアのスパイが、米CIAに潜り込んで、じっと“時”がくるのを待つ。この設定が現実にありそうで、今の時代を反映している。
冒頭での、オルロフの告白はソルトをハメたのか、それとも化けの皮を剥いだのか、その一点を曖昧にしつつラストまでノンストップのアクションでたたみかける。
二重スパイを扱った作品は、心理の探り合いがメインになり、その消耗戦にハラハラドキドキするのが恒だが、このソルトは趣がまったく違う。頬が削げてシャープな顔立ちになったアンジーが、「ダイ・ハード4.0」のマクレーンも真っ青の超ハード・アクションを見せつける。普通の人間なら3回は死んでいる。息もつかせぬとはこのことで、100分ちょうど、気の休まる暇がない。あり得ない展開でものめり込んでしまうのは、世界でもトップのアクション女優、アンジーならではの面目躍如で、もはや貫禄といっていい。色気があって、大型銃器が似合い、頭も切れる。もちろん肉弾戦OKで、ひとりで一個師団あろうかという戦闘能力は、男臭さむんむんのランボーとはまた違った魅力全開だ。
時折みせる哀愁漂う横顔が、ほかのアクション女優と一線を画す。
この作品、駆け引きを楽しむよりも、アクションのまっただ中に入り込むことだ。できるだけ大きなスクリーンで観ることをお勧めする。字幕見るのがちょっとしんどいくらい前寄りの席がいい。アンジーのタイトスカートの深いスリットも間近で見れる。(^^ゞ
原題は大文字で「SALT」。
SALTは、第二次大戦以降、東西冷戦のもと1969年に開始された、ソビエト連邦とアメリカ合衆国が、軍備拡張競争を抑制し核兵器の数を制限する戦略兵器制限交渉(Strategic Arms Limitation Talks)の略と同じだ。1972年に暫定協定、1979年に条約調印と2ラウンド交渉されたが、1985年に発効しないまま失効になっている。
また文字通り塩加減がよく効いたアクション映画でもあった。