「なんだかなあ」必死剣鳥刺し ぶんぶんさんの映画レビュー(感想・評価)
なんだかなあ
藩の勢力争いに利用された主人公の最後の死闘で 秘剣がどのように表現されるかワクワクであった。
感想としては 原作の小説を読んでいないことからこの作品の質的なコメントは避けたいけれども この映画の出来具合はどうかという点においては いささか言いたいことがある。
まず ディテールが稚拙というか 無理があって笑える場面・・・・・子供が 細い竹の先に「モチ」という粘着力の強い素材をつけて 枝に留まっている雀を捕らえるシーンは 子供時代に遊んだ者であれば 誰でもわかることだが 先ず 雀が木の枝に留まるというときは 夕方、寝床である木々の茂みに群れで集まるときか 水を求めて庭の木々に一時的に ほんの数秒留まる程度である。
それを下から 子供に替わって 主人公である豊川悦司が同じ道具で 射止めるシーンは白けてしまった。
監督が悪いのか 原作者が知らないのか・・・・あれはあり得ないことだ。 どうせなら 水辺のカモでも川岸の
それこそ茂みから一発で確保するほうがまだリアリティがある。
それと 藩主の妾を殺めた仕置きとして一年間の閉居を命じられるのであるが 一年後の彼の入浴シーンでの彼の肉体は 肥満気味で 背中を洗うシーンでも肉付きのいいそのシーンにまた白けてしまった。
豊川の役作りへのこだわりの甘さがこういう場面で露呈するのも残念だ。
ただ顔の髭だけが異様に伸び放題であったがそれが閉居の表現だとしたら いくらなんでも馬鹿にしている。
最後の秘剣を披露にしても一度 こと切れた後 家老役の岸部一徳を一刺しで殺害するというのも 小説の世界とはいえ 無理な筋書きだとしかいいようがない。
殺陣による瞬間の出血シーンはあまりに生々しすぎて異様な感じがした。ああいう場面にこだわるとしたら
監督の感覚を少し疑うことになる。もっとリアリティをだすべきところを模索したほうがいい・・・とさえ。
彼の秘剣シリーズは 普通に考えてもあれはないんじゃないの と揶揄したくなるようなアイデアがある。
時代劇は好きではあるが 剣を題材にした小説つくりのむずかしさは よほどわかってないと秘剣はつくりえないと思われる。