「ごっぽ石(またはがっぽ石)まで描かれていた!」武士の家計簿 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ごっぽ石(またはがっぽ石)まで描かれていた!
金沢の人気スポットでもある長町武家屋敷跡。冬には土塀を守る「薦掛け」という名物もありますが、小路の角には突き出た石が置かれてところもあります。今じゃ車から壁を守るために鉄柱を立てたりしてる民家もありますが、この石の目的は、雪道を歩いて下駄の歯に固まった雪を打ちつけて取り除くため。古い道によく見られます・・・車のボディをこすったという苦い体験も。とにかく、そのごっぽ石が猪山家の横の路にも置いてあったことで嬉しくなりました。
登城するカットも数回登場しましたが、現在の金沢城も使われているようでした。映画が公開されてから北陸新幹線が開通したこともあり、人気の観光スポットとなりました。そして下級武士の算用者を描くという珍しい作品。藤沢周平作品でも下級武士がメインとなってはいましたけど、こちらは剣を使わず、あくまでもソロバンで勝負するという内容。日本一の算盤侍を目指すのに仲間たちからは「剣はからっきしのソロバン馬鹿」と揶揄される猪山直之だった・・・
メインとなるのは家族愛と不正を許さない心を持った主人公とその家族。召し抱えられて以降は出費も嵩んで、やがて借金で首が回らなくなったことに気づいた直之。息子のお披露目の儀式に選んだ手段とは・・・
一番盛り上がるところだと思うのに、なぜか前半部分でその断捨離大作戦と倹約ぶりが描かれていて、後半には家族の不幸もあるものの尻すぼみ状態になったのが非常に残念なところでした。美術も演技もいいのに勿体ない脚本となってる。しかも剣を使わないというテーマもあるのに、息子や孫は海軍に入ってしまうとか・・・まぁ、明治という新しい時代でしたからね。
個人的には、お救い米や「ひもじいわいや」とシュプレヒコールを上げる1857年の米騒動をもっと描いてほしかったし、7人が捕らえられ処刑され七稲地蔵として祀られたことも忘れてはならない。東山茶屋街からちょっと歩けばお地蔵さんが見られます。
【2010年12月映画館にて】
あらためてwowowで鑑賞。タイしか覚えてなかった・・・
こんにちは
私はこの作品、好きでして・・。何が好きかと言うと堺雅人さんの母を演じた松坂慶子さんが”その振袖だけは・・・”などと、息子の断捨離攻撃に屈していく様が、正に我が身のように思えてしまい・・。
家人に対して、”お願いだから、本の処分200冊にしてくれない?”とか、”あ、それはエレファントカシマシの貴重なDVDでこの中でしか”太陽の季節”のライブが見れないんだよ・・”とか、映画のパンフレット問題とか、もう堺さんの”バサッ”と家宝を笑顔で断捨離していく過程がもう、自分と重なり、不憫で不憫で・・。
では、又。
ー今のところ、今作の算盤型のパンフレットは”死守”しております・・。ー