ジーン・ワルツのレビュー・感想・評価
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盛り上げたいのは理解しますけど・・・
産婦人科医療の問題に正面から向き合う女性医師の物語
「チームバチスタの栄光」を書いた海堂尊の作品が原作のようですね。
今回の作品も、日本の医療問題に鋭く切り込んでいます。
冒頭にあった医者が逮捕された事件は、「福島県立大野病院産科医逮捕事件」がモチーフでしょうか。この事件は私も記憶があって、医療側の戸惑いと絶望感に共感したことを覚えています。Wikiを流し読みすると、確かに担当医に慢心もあったように思いますし、遺族の方の気持ちも理解出来ますが、「患者の死」と絶えず隣り合わせの医者からすれば、「逮捕」までが隣にあるのは耐え難いことのように感じます。
映画は、逮捕された医者の同僚医師である主人公が、その逮捕をきっかけに新しい産婦人科医療を進める姿を描きます
但し、映画的に盛り上げようとし過ぎていて、極端になり過ぎたように思います。クライマックスのシチュも、流石にそこまでしなくても・・・と思い、寧ろ興ざめ。映画としての評価を大きく下げました。
また、中絶に関する考え方の押し付けも、「邦画あるある」でしょうか?勿論、安易に中絶して欲しい・・・と思ってはいませんが、若い女性のその後の人生に係ることです。感動押し付けのデフォルト展開は、個人的にはマイナスに感じます。
私的評価は2にしました。
代理母の問題が主題ではあるが、産婦人科医というか、医療現場そのもの...
代理母の問題が主題ではあるが、産婦人科医というか、医療現場そのものが抱える難題がテーマ。
台風の日、残された3人の妊婦が同時に産気づくという修羅場。
待望の赤ちゃんが誕生した時の感動は涙を誘う。
ワンメータ
まるでホラー映画が始まるかのような冒頭部分。帝王切開手術で母親を死亡させたとして大森南朋演ずる三枝医師が逮捕される。一方で、不妊治療のスペシャリスト曽根崎(菅野)は「生命の誕生はそれ自体が奇跡なのです」と講義する。
閉院間近のマリアクリニックの妊婦4人。いつも流産してる荒木浩子(南果歩)39歳、堕胎希望の青井ユミ(桐谷美玲)20歳、経済的事情で中絶を考えてる甘利みね子(白石)27歳、双子を顕微授精で授かった山咲みどり(風吹ジュン)55歳だ。病気で引退の三枝茉莉亜院長(浅岡ルリ子)は逮捕された大森南朋の母親。最後の4人をしっかり見守りたいと願う三枝と曽根崎・・・しかし、曽根崎は明らかに50歳を越える妊婦がいることに代理母出産の疑いを持たれるのだ。曽根崎は清川(田辺)と過去に関係もあったし、子宮頸がんのため卵巣摘出手術を彼に頼んだという過去もあったのだ。
甘利夫妻の経済状況、旦那が派遣打ち切りで苦しいということ。かなり現実に即したシビアな内容だ。しかも、胎児は無脳症。その悲しい現実であっても、5分間だけ生きたという夫妻の闘いを青井に教えると、彼女は産む決意をしたのだ。
山咲は曽根崎の実の母親だというサプライズ。しかも自分の子どもを代理出産させようというショッキングな展開。清川は体制側で改革したいという夢を持っていたが、大学教授の屋敷(西村雅彦)の曽根崎つぶしという命令を受ける。そんな状況下で、曽根崎は清川に帝王切開を依頼するのだ。代理出産の件の返答次第では断ろうとしていた矢先、折しも大型台風に見舞われ、分娩器材も壊れ、医師も足りない最悪の状況となり、他の青井、荒木も陣痛が始まってしまう。3人の患者、しかも医師が足りない・・・そして究極の選択、死期が迫る茉莉亜先生にも手伝ってもらったのだ。
前半はすごく良かった。産婦人科の抱える問題・・・1万人に1人という難病だったのに、不当逮捕された医師。何でも裁判沙汰にしてしまう風潮のため医師の減少。不妊のための代理母の問題。経済状況のため中絶を希望する夫婦の問題などなど。後半ではそれらすべて放り投げして、新しい命の誕生を感動的に描くだけ。とても残念なハッピーエンディング。菅野、田辺の演技もイマイチ。他の役者がかなりいいので、これも残念。注目すべきは白石美帆と桐谷美玲。
それにしてもタクシー料金がワンメーターかどうかでその日の運を決めるなんてのはなぁ。いい迷惑や。
ある意味パニック映画。
サスペンスと謳ってはいますが、医療ドラマとして観た方が肩透かしを食らわなくて済みました。話が大胆過ぎてリアリティに欠けるからです。
母親に反対されながら父親のいないこどもを産むギャルユミ。経済的な背景も見えず、「奇跡」と、きれい事だけでこどもを産んでは先行きが不安です。
母親に代理母を頼むクール女医理恵、自分に置き換えて考えると、なんだかちょっと、、、代理母問題も最終的にも有耶無耶になった感じで、釈然としないままでした。
終盤、台風で助産師が来れず3人の妊婦が同時に産気づく辺りなんかは、もうパニック映画でした。病床から復活するまりあ先生が超クール。
映画的。あまりに如何にもな展開で、なんだか笑ってしまった。
でも、そんなことは置いといて、
出産って不思議だなあとか、生まれてくるって奇跡なんだなあとか、すごく素直に入ってきました。
「いやいやいや」って突っ込みながら泣いちゃう、みたいな感じです。
こどもがいない私でさえこれだけジーンと(駄洒落じゃないです。ガチです)しちゃうのですから、お母さん方は号泣だったんじゃないかなと。
でも、大森南朋はどうなったんでしょうか。ラスト見当たらなかったんですけど、、、。
あ、あと特典映像のドラマが、もう、泣いちゃうホラーです。
すごいいい話。
不発…。
産婦人科院の現状、代理出産、命の尊さ…このままシリアスな内容で話は進んでいくのかと思っていたら…、
後半、風吹ジュン、南果歩、桐谷美玲の3人が同時に産気づき、台風で停電になり、人手が足りず困っていた所、浅丘ルリ子演じる寝たきりだった院長が駆け付け…って、コントかい!
最近見た観月ありさの「BABY BABY BABY!」とそっくり。
あっちはコメディだからまだ笑って見れたが、こっちは一応シリアスドラマだから荒唐無稽な展開がキツい…。
緊張感が全く感じられないのも痛い。
せっかく豪華役者陣が揃っているのに、何だか残念。
命って・・・
本当に大変なんですよ、産婦人科界。イレギュラーなお産や悲しい思いをしている女性って本当に多いんです。映画のように幸せな気持ちで終われる内容ではありませんが、子どもを産むことができない女性や病気の子どもがお腹にいる女性には有りな映画なんじゃないかなと思いました。
皆元気に生まれて、幸せに育ててもらえればいいのにね・・・
キャストが豪華なわりに残念です。
今週のおはシアは~
“ジーン・ワルツ”をご紹介しました。
『チーム・バチスタの栄光』の原作者で、現役医師でもある海堂尊の
ベストセラー小説を映画化した医療ミステリー。
さらに菅野美穂主演(結構好きなの)と聞いて期待して観に行きました。
オープニングは受精卵が赤ちゃんに育っていく様子が
ゆるゆると映像化されていて、なんとも好きな雰囲気。
こりゃ、当たりか!と思いきや
本編に入ってからは、どうもつまらない・・・。
物語は~
主人公の女性産婦人科医が、現在の産科医療の現状を改善するべく
大学病院を辞め、体制の外側からの改革を図ろうとするわけですが
代理出産を実現させたものの、なかったことにしてみたり
突っ張っているわりに、すぐに上司に助けを求めたり
芯の通ったキャラクターじゃないのが、スッキリしないのよね。
登場する妊婦さんたちのエピソードで、ちょっとうるっときそうにはなるけど
涙ポロリには至らないし・・・。
脇役には上手い人を揃えているだけにもったいないの一言。
大杉蓮・風吹ジュン・南果歩・西村雅彦・それに浅丘ルリ子まで
嵐の夜、出産が3件重なってしまうのだけど
スピード感がなくて、緊迫した雰囲気が伝わらないし・・・。
う~~~~~ん。
原作はベストセラーだったそうなので、脚本がイマイチだったってことかなぁ
“ジーン・ワルツ”大変残念ですが、星は~
1つです。
原作と全く違ってたっていいじゃない
きれいに原作飛ばしてました。これはこれであり、菅ちゃんとってもきれいだし、ほんわかチックに仕上がっています。
原作に寄りかかって、医療用語バンバン、社会啓発がっちがち、菅ちゃん不感症的演技のオンパレード、ってことだと、最も伝えたい「お産の悦び」が、書物にはない映像、音楽、肉声のセリフなどによって、ぼけてしまいそうだったのであえて避けたのだと思います。
僕の昨年度観た中での最高作品である、「玄牝」(げんぴん)にインスパイアされた造り、といっても過言じゃないと思います(もともと両作品の原作は、タッチこそことなれ、非常に近しい主張が展開されています)。
この場を借りて恐縮ですが、「玄牝」一度ご覧くだされば幸いです。
コメントでも絶賛してますが、素晴らしいドキュメンタリー「映画」でしたので。
親になること。
海堂尊の医療ミステリーは映画やドラマで観てきたが、
今作は色合いの違うヒューマンドラマという仕上がりで、
あまりミステリーにはなっていない。
先日観た「うまれる」によく似た、産婦人科の話になるが、
今現在の法律では代理母出産は○×…というのも含めて、
勉強にはなった。でもとどのつまりは、赤ちゃんが欲しい。
自分達の子供が…。と切に願う夫婦の前に立ちはだかる
不妊、婦人病、染色体異常、などの問題に今後の医療は
どう対処していくべきなのか。ということなのだろうと思う。
今の日本の法律を変えるのはかなり難しいようだ。
菅野美穂が演じる曾根崎理恵という医師は、
自身が勤めるマリアクリニックで、ある疑惑を持たれている。
彼女の講義を聞いていると、確かに出産への意志がかなり
強固なものであり、何かあるのだろうな…というのに気付く。
子供を持ちたくてもなかなか恵まれない夫婦や、中絶希望の
ヤンキー女子、かなりの高齢出産、とワケありの患者ばかり
が訪れているそのクリニックに隠された謎とは何か…。
原作ではこの主人公はもっと冷徹で合理的、あまり感情の
行き来が描かれていないそうだが、映画版ではなかなか
そのあたりを巧く見せていた。核となる高齢出産の女性が
実は誰だったのか。というのを中盤でネタばらししたうえで、
話をさらに広げている。理恵の辛い過去や、上司の清川との
関係も段々明らかになってくるが…。
扱われているテーマは、記憶に新しい妊婦たらい回し事件、
実母を使った代理母のニュースなど、リアルに迫っているが、
それらをどう変えていくか(今の状態を)という挑戦らしい。
体制の内側から、外側から、理恵の計画はそういうことらしい。
どんな治療を施し、夫婦で力を合わせ、他人の力を借りてでも、
欲しいものは欲しい。という強い熱意はとても分かる。
でもその半面、子供が生まれることは奇跡であって欲しいと、
やはりそんな風にも思ってしまうのだ。
そのことだけに何年も月日を費やし、夫婦で疲れ果ててしまう
生活というのは、私には見ていて辛かった。
子供のいる私には、簡単に分かりはしない苦労に違いないが、
でも、夫婦ってそのためだけに存在しているんじゃないはずだ。
今作でも描かれる父親のいない子供を出産した女の子にしても
これからの生活の方が、ずっと長く大変なのである。
産めば幸せ=これには違いないが、ただそれだけではないと
いう決意、のようなものが今作で描かれればいいのにと感じた。
そんな意味では一組、難病胎児中絶を決断した夫婦の内情が
他とは違ってリアルに胸に響いた。こんな思いをした夫婦には
命の尊さがどれだけ強く刻まれることだろう。その奇跡や尊さが
生きていくためにどれだけ大切になっていくか。が感じられた。
そして理恵の母親。さらにマリア院長。
彼女達の決断は(良い悪いを別として)子供を持つ全ての母親に
通じるものを感じた。自分の命を賭してでも守りたいものが何か。
ミステリーとしてはいまいち、やはりドラマとして観るべきか。
(浅丘ルリ子はさすがの厚化粧^^;ながら、見せ場を奪う名演技。)
泣けるが…
ストーリーは淡々と流れて行く感じで、肝心な部分が何なのかがイマイチ訴えてこない作品でした。
しかし、患者増加による医療機関と救急による受け入れ困難は現実社会でも問題になっていますが、なかなか答えの出ない状態ですので、この作品をきに進展すればとは思います。
ちょっと肩透かし
『チーム・バチスタの栄光』と同じ原作者ということで、勝手に医療ミステリーというイメージを持っていたのですが、『ジーン・ワルツ』は、私が思うところのミステリーではないかなあ。
かといって、天才外科医が死の危機にさらされた命を救うような医療ドラマとも違います。
そもそも、菅野美穂演じる主人公は人工授精技術を持っているようですが、その腕をふるうシーンはちょっとしか出てきません。超音波診断と帝王切開もちょっと。
つまり、それ以外は妊婦と医者の会話、または医者と医者の会話ということになります。その中に、産科医療の課題は何か?理想は何か?ということが含まれていたり、産みたくないのに子どもができた人、産みたいのに子どもができない人など、妊娠、出産にまつわる様々な立場が描き出されています。
最初から、そういう作品だと思っていればそれなりによかったような気もするのですが、ミステリーとして期待してしまっていたせいか、ちょっと肩透かし感がありました。
やさしい気持ちにさせてもらえる映画です。
とてもヒューマンな社会派エンターテインメントです。ベストセラー作家の原作だけあって、とてもよく練られたストーリー展開です。
主人公の産科医が沈着冷静な中に時折みせる女性としての心のゆらぎを、菅野美穂さんが見事に表現しています。
観終わった後に、やさしい気持ちにさせてもらえる映画です。
最善を尽くすことの重みは感じるが…
「チームバチスタの栄光」や「ジェネラル・ルージュの凱旋」に比べると、舞台となる病院が小さく、スケールも小さくなってしまったのはやむを得ずといったところか。
それでも海堂尊の作品らしく、現代医療が抱える問題の提起はしっかり行われている。
まず冒頭の産科医逮捕事件は福島で実際にあった事件がモデルと思われる。産婦が帝王切開手術中に死亡し、医療ミスとして逮捕、裁判、報道されたが、現在は“医療ミス事件”ではなく“医師逮捕事件”となっており、逮捕そのものが間違いだったという判断がされている。
完全な予測が不可能な医療に於いて、医療ミスか否かを問う基準だけを設ける前例を作ってしまうと、だれも医師になる人がいなくなってしまう。そうした現実を導入線に据え、日本では基本認められていない代理母問題に触れていく。
ここでも代理母の是非を問うのではなく、自分の子供がほしいと思う人のことを考えることが大事であると謳うに留まっている。この点は、通常妊娠の患者に対しても同じ気持ちで接することが基本だと訴えているのではないか。
なんの仕事でも同じで、相手の気持ちになって処理できているかが問われるべきであって、そこがミスか偶発的なものかの分岐点になるような気がする。
最善を尽くすことの重みは裁判の判決に関係なく自分自身が納得できる。
映画的には・・・
観た映画館がスクリーン上部のピントが甘くはっきりは言えないが、少し前ピンが多いように思う。それにプリント状態が最悪。粒子が粗く、ハイライトが飛んでいた。
菅野美穂が少し構えすぎ。
ラスト、浅丘ルリ子演じる茉莉亜は、まさにマリアさまのようだった。
いったい理恵はどんなところに住んでるんだよってなロケーションに首を傾げる。
全体にTVの2時間ドラマの枠を出ない安っぽさ。
産むことの喜びと感動に満ちていて、重いテーマが全然気になりませんでした。
本作は、産婦人科の医師不足や妊婦のたらい回し、そして医療事故による産婦人科医の逮捕、人工出産による生命倫理など、一通りの産婦人科にまつわる問題点を、問題提起しています。よく2時間のなかで、原作の長大なテーマをコンパクトにまとめて、深く考えさせられました。
しかし本作の一番感動したところは、出産賛歌を貫いて、劇中登場する妊婦たちがひとりの子供も中絶させなかったことです。台詞では、理恵非常勤の医師として勤務するマリアクリニックの院長茉莉亜が語る、胎児に一度は光を見せてあげようというひと言。このひと言で、生まれてきてもすぐ死んでしまう未熟児を宿してしまった妊婦も、堕胎ばかり考えていた未成年の妊婦も、出産に希望を持つのでした。
そして主人公の理恵の、誰にでも出産のチャンスを提供したいという強い思いにも共感できました。妊婦と医師が一体となって、困難な状況のなかでも、出産にチャレンジしていくシーンは、大きな感動に包まれたのです。
だからもし、堕胎しようかどうか、迷っている人がいたら、ぜひ本作を見ていただきたいと思います。
生まれてこようとする魂に罪はありません。子供を堕ろすか、産むかの判断は、両親の身勝手な判断で決めて良いものでしょうか。それは生まれる前から、親子の縁を固く約束されてきたことです。本作の登場人物のように、産めばそこに大きな希望が花開いていくのです。菅野美穂も本作を演じてみて、無性に子供を産みたくなったそうです。
どうか本作がヒットして、一人でも多くの女性の方が、子供を産む勇気と希望を掴んでいただきたいし、水子となる魂を無くしたい、そう強く小地蔵は願います。
本作の台詞に、「出産には奇跡が起こる」ということも語られます。そんな神秘も味わっていただければと思います。
本作ではなんといっても主演の菅野美穂の演技が素晴らしかったです。代理出産に向けて秘密を隠している前半では、何か隠している怯えた表情。そして、代理出産に取り組みを具体化させる中盤では、使命感を感じさせる思い詰めた表情。そして、全てを成し遂げる後半では、希望に満ちあふれれ、慈しみに溢れた表情に変わっていくのです。その
演じ方の変化のなかに、理恵が目指した代理母出産の置かれた状況と、自分の立場の相克が見事に浮かび上がっていったのです。
現状では、日本では代理母出産はできません。それは産婦人科学会の自主的な倫理規定が、禁止しているからです。けれども理恵には、納得できません。なぜなら理恵自身、ガンで子宮摘出してしまった体だからだったのです。「産みたい人に産ませたい」とは、理恵本人の切実な願いだったのです。学会が変わるのを待っていられない理恵は、好意を寄せる同僚の医師清川准教授の制止を振り切って、学会に反逆。代理母出産に向けた「実力行使」を行っていたのでした。その方法とは、想像を絶するウルトラCだったのです。
こんな複雑な状況に置かれた理恵の心理を、的確に菅野美穂は演じきっていました。
それにしても、自分の子供の代理出産を目指した理恵ではあったのですが、清川の父親は好きな人なのか?という問いに頷いていました。じゃあどうやって、その「好きな人」から精子を気付かれずに採取したのか、疑問です。気がついた人は教えてください(^_^;)
さて本作の舞台となるマリアクリニックには、5人の妊婦が通院していました。ひとりひとりの出産シーンでも感動的だったでしょう。けれども本作では、妊婦たちが終盤でまとめて陣痛のため、クリニックに押し寄せることで、ドラマに一波乱を起こさせたのです。しかも台風一過で停電。強風で診療室の窓が割れて診療不可に、さらに看護婦は電車が止まり通勤不能に。こうした状況下で、理恵と清川の二人だけで、帝王切開を含む妊婦の出産に対峙しなくてはいけなくなりました。
このどうにもならない状況のなかで。登場するのが「奇跡の助っ人」。綱渡りのようなラストの出産ラッシュシーンは、困難な状況を越えて生まれてくる生命の強さにとても感動しました。
こんな緊迫したシーンなのに、被る音楽が素敵なのです。ゆったりと刻まれるワルツのテンポは、まるで永遠の生命を貫くジーン(遺伝子)の女神の息吹が脈々と流れているかのようでした。
最後にこれだけの内容のある原作を上手く詰め込んで、なおかつ登場人物の心理描写も巧みに浮かび上がらした大谷監督の手腕は、なかなかのものです。『NANA』から間が空いてしまっていましたが、なるべく早く次回作も見てみたいものだと願います。
重い映画に仕上がってしまいました。
海堂尊の医療ミステリーシリーズの映画化。海堂尊の名を世に広めたバチスタシリーズとは違う系列の物語。もっとも、世界は繋がっていて、東城大学や帝華大学、極北市など、海堂尊の物語に出てくる大学・地名がこちらでも出てきている。
この映画の原作は、一応『ジーン・ワルツ』と言う事になっていますが、映画化に際して、原作の設定が一部改められています。大きい改変が、極北市で起きた産科医逮捕事件の医師が、実は三枝茉莉亜の息子であり、且つ、理恵や清川と交流があったということ。『極北クレイマー』では、その辺りの事も書かれていますが、『ジーン・ワルツ』では描かれていなかったと思います。まぁ、映画にするとしたら、そうやってうまく話に取り込んだ方が良いのかも知れません。合わせて、マリアクリニックに通院する妊婦も、1名減っています。また、そのサイドストーリーの『マドンナ・ヴェルデ』の話も一部入っていませんか? 山崎みどりに関する背景の描写は『マドンナ・ヴェルデ』に依るもののような気がしました。
バチスタシリーズでは、ドタバタとコミカルに進行していきますが、こちらは、シリアスに静かに進行していきます。産科医にまつわる様々な問題に焦点が当たるようになっていたなと言うのが、正直な印象。結構メッセージ性が強いです。原作では、それほどのメッセージ性は感じませんでしたが、映像化するに際して、その辺りを強化した様に思えました。
菅野美穂の曾根崎理恵ですが、“クール・ウィッチ”と言う事が、描ききれていない感じです。あまり冷徹と言う感じがしませんでした。清川も、軽妙洒脱で面倒事は好まないと言う性格が描ききれていなかった気がします。
この映画、産科医を取り巻く環境と代理母問題が主人公ですね。海堂尊が、その辺りに問題意識を持っているということがよく判りました。
悲しき七三分け
「チーム・バチスタの栄光」で知られる海堂尊原作の医療ミステリーを、「NANA」の大谷健太郎監督が映画化。
「命とは」「出産とは」この2つのテーマを軸に、菅野美穂演じる産婦人科医が仕掛けた秘密を解き明かすと共に、出産を前に戸惑う4人の女性の戸惑いと苦しみ、そして希望を描き出す重厚な作品。その背景に海堂作品に付きまとう医療への不審、抵抗が加わり、何層にも入り乱れるミステリーが展開されていく。
だが、そうかといってこの作品を手放しで傑作と賞賛することが出来るかと言われると、そこは大いに困惑せざるをえない。何故か。物語全体に漂う消化不良の不快感が、いくら拭っても拭っても消えないのだ。前衛舞台の台詞回しの如く耳障りな会話の応酬。肝心の手術シーンに流れる怠惰な会話。いらない間。原作の中でこそそれらは活きたのだろうが、果たして映像に置き換えた上での効果を考えたのか。
そう、原作のもつ良質なエッセンス、要素を丁寧に抽出してこそ映画として完成するはずの世界が、何とか物語を無駄なく繋げようと原作の台詞を無理に引きちぎり、取って付けてしまったような乱雑な歪さが鼻につく。「ラフ」のような良質かつ瑞々しい作品を作り上げる技量を持つ大谷監督と、数々のテレビ、映画で活躍する林民夫脚本のチームならここまで適当な作り方はしないはずだが、原作が生まれでてからそれほど時間が経たない、今このときの映画化。田辺誠一にキュートな七三分けをさせて可愛く見せても、見切り発車の面は拭えない。
それこそ、産みの苦しみを逃げようとはしていないか。単なる痛み回避のための帝王切開ならば、こちらから願い下げである。
淡々と...。
『チームバチスタの栄光』
『ジェネラル・ルージュの凱旋』の
医師作家の海堂尊さんのベストセラー小説の
映画化ということで、期待していったのですけれど...。
どうなのでしょうか??
ちょっと、期待はずれでした。
全体として物語が淡々と進んでいって...。
最後にちょっと盛り上がりを見せるものの、
『えっ、おわり...。』という感じでした。
まぁ、感動作なのですけれど...。
ちょっと、残念...。
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